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第三部 仲良し姉妹
44 合格発表
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デジタル時計がカウントアップするのを、じっと見つめる。
58 59 12:00
正午になった。合格発表のリンクをタップする。
4桁の数字がぱーっと表示された。
文化祭の投票の時みたいに、心臓がどきどきする。
逸る気持ちを抑えて、あたしの受験番号の辺りまで送って、見落とさないように一つひとつ数字を見ていった。
「あった!」
「うん! あった! やったね、合格、おめでとう!」
今日は受験した短大の合格発表があった。
ママもパパも仕事で、あたしはお姉ちゃんと正午を待っていた。
画面をスクショして、家族のグループラインに送る。
パパからすぐに返信があった。
『頑張ったな、麻帆。合格おめでとう! 今日はケーキ買って帰るな』
「やった、ケーキ」
ケーキなら自分で作れるけど、やっぱりプロが作った物は美味しいし、買って帰ってきてくれるというその気持ちも嬉しい。
気にかけてくれていた航にも、合格したとメッセージを送った。
『合格おめでとう! 良かったな』
バイトかなって思っていたら、すぐに返信があった。
ママからは30分後に返信がきた。
『おめでとう!!! 赤飯買って帰るね』
「また赤飯!?」
お姉ちゃんと二人で爆笑する。
「ママは赤飯好きだね。私の高校合格の時も赤飯だった」
「お姉ちゃんは小豆苦手なのにね」
「小豆だけ、麻帆のお茶碗に入れたよね」
「そうそう。小豆があるから美味しいのに」
隣に座ったお姉ちゃんが、小豆が出てくるたびにあたしのお茶碗にぽつぽつと移してくる。小豆好きのあたしは喜んで食べた。
懐かしい思い出が脳裏に浮かぶ。
「ほんとにおめでとう、麻帆。よく頑張ったね」
しみじみとお姉ちゃんが言う。なんだか泣きそうになってきた。
「お姉ちゃんの夢を奪っちゃって、その夢を代わりに叶えることもできなくて、自分が嫌いになってバカなこともしちゃったけど、お姉ちゃんのお陰で立ち直れた。お姉ちゃんがいなかったら、きっと無理だった。お姉ちゃん、ありがとう」
「ううん。私のせいでつらい思いさせちゃったから、麻帆が元気になってくれて良かった。お姉ちゃん、嬉しい」
心なしか、姉の声も鼻声に聴こえた。
「う……ん……」
「ほら、泣かないの。ね」
滲む涙をティッシュで拭う。
「お姉ちゃん、まだいるよね、どこかに行かないよね」
「まだまだ心配だから、お姉ちゃん、ここから動けないね」
「そうだよ。卒業制作観てもらわないといけないし、短大行ったらまた勉強教えて欲しいから」
「やる事たくさんだね。じゃあ、また二人で頑張ろう」
「うん、よろしくお姉ちゃん」
「はあい。かわいい妹」
お姉ちゃんに頭を撫でてもらいたい。言葉だけじゃなくて、お姉ちゃんの手の温もりを感じたい。
もちろん無理だから、記憶を引っ張ってくるしかない。
姉はいつまでいられるんだろう。
あたしの一生を、一緒に過ごすのもぜんぜん構わないんだけどな。
とりあえず、姉にはまだまだ不安だから、傍にいてねと伝えておく。
進路が決まってほっとしたけど、姉がいきなり消えてしまわないか、不安だった。
姉との今の生活が、当たり前になっていて、息をするように自然になっている。
現象的には不可思議な事だから、いつか姉がいなくなってしまう可能性はある。考えられないし、考えたくもないけど。
いつまでも姉に頼っていてはいけないのもわかっているけど、頼らなくなった時が姉のいなくなる時じゃないか。そんな心配もあって、課題を一つクリアする度、怯えるあたしがいた。
だからといって、姉に心配ばかりかけるのも嫌だし、逃げたくないと思うあたしもいる。
あたしの人生だし、料理に関することは頑張りたい。
姉と自分の人生、どっちを優先させるかなんて選択はありえない。姉の存在が不自然なものでもあっても、あたしにとっては大切な姉だから。
58 59 12:00
正午になった。合格発表のリンクをタップする。
4桁の数字がぱーっと表示された。
文化祭の投票の時みたいに、心臓がどきどきする。
逸る気持ちを抑えて、あたしの受験番号の辺りまで送って、見落とさないように一つひとつ数字を見ていった。
「あった!」
「うん! あった! やったね、合格、おめでとう!」
今日は受験した短大の合格発表があった。
ママもパパも仕事で、あたしはお姉ちゃんと正午を待っていた。
画面をスクショして、家族のグループラインに送る。
パパからすぐに返信があった。
『頑張ったな、麻帆。合格おめでとう! 今日はケーキ買って帰るな』
「やった、ケーキ」
ケーキなら自分で作れるけど、やっぱりプロが作った物は美味しいし、買って帰ってきてくれるというその気持ちも嬉しい。
気にかけてくれていた航にも、合格したとメッセージを送った。
『合格おめでとう! 良かったな』
バイトかなって思っていたら、すぐに返信があった。
ママからは30分後に返信がきた。
『おめでとう!!! 赤飯買って帰るね』
「また赤飯!?」
お姉ちゃんと二人で爆笑する。
「ママは赤飯好きだね。私の高校合格の時も赤飯だった」
「お姉ちゃんは小豆苦手なのにね」
「小豆だけ、麻帆のお茶碗に入れたよね」
「そうそう。小豆があるから美味しいのに」
隣に座ったお姉ちゃんが、小豆が出てくるたびにあたしのお茶碗にぽつぽつと移してくる。小豆好きのあたしは喜んで食べた。
懐かしい思い出が脳裏に浮かぶ。
「ほんとにおめでとう、麻帆。よく頑張ったね」
しみじみとお姉ちゃんが言う。なんだか泣きそうになってきた。
「お姉ちゃんの夢を奪っちゃって、その夢を代わりに叶えることもできなくて、自分が嫌いになってバカなこともしちゃったけど、お姉ちゃんのお陰で立ち直れた。お姉ちゃんがいなかったら、きっと無理だった。お姉ちゃん、ありがとう」
「ううん。私のせいでつらい思いさせちゃったから、麻帆が元気になってくれて良かった。お姉ちゃん、嬉しい」
心なしか、姉の声も鼻声に聴こえた。
「う……ん……」
「ほら、泣かないの。ね」
滲む涙をティッシュで拭う。
「お姉ちゃん、まだいるよね、どこかに行かないよね」
「まだまだ心配だから、お姉ちゃん、ここから動けないね」
「そうだよ。卒業制作観てもらわないといけないし、短大行ったらまた勉強教えて欲しいから」
「やる事たくさんだね。じゃあ、また二人で頑張ろう」
「うん、よろしくお姉ちゃん」
「はあい。かわいい妹」
お姉ちゃんに頭を撫でてもらいたい。言葉だけじゃなくて、お姉ちゃんの手の温もりを感じたい。
もちろん無理だから、記憶を引っ張ってくるしかない。
姉はいつまでいられるんだろう。
あたしの一生を、一緒に過ごすのもぜんぜん構わないんだけどな。
とりあえず、姉にはまだまだ不安だから、傍にいてねと伝えておく。
進路が決まってほっとしたけど、姉がいきなり消えてしまわないか、不安だった。
姉との今の生活が、当たり前になっていて、息をするように自然になっている。
現象的には不可思議な事だから、いつか姉がいなくなってしまう可能性はある。考えられないし、考えたくもないけど。
いつまでも姉に頼っていてはいけないのもわかっているけど、頼らなくなった時が姉のいなくなる時じゃないか。そんな心配もあって、課題を一つクリアする度、怯えるあたしがいた。
だからといって、姉に心配ばかりかけるのも嫌だし、逃げたくないと思うあたしもいる。
あたしの人生だし、料理に関することは頑張りたい。
姉と自分の人生、どっちを優先させるかなんて選択はありえない。姉の存在が不自然なものでもあっても、あたしにとっては大切な姉だから。
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