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第三部 仲良し姉妹
55 就活開始、そして19歳、夏
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航がアルバイトを辞めて、顔を合わす日にちは減ったけど、話す時間は増えた。
バイト中は休憩が合わないと話す時間はほとんどなかった。今はバイト上がりに時間があれば、少し顔を見て、冷蔵庫の中の作りおかずがちゃんと減っているか確認しにいく。
「ちゃんと食べてるね」
「オカンと麻帆のお陰だよ。旨い飯食ってたら集中力上がったわ」
一カ月もすると実家戻ってもいいかなあ、と言いだしている。実際に帰る気があるのかは知らないけど。
顔色はずっと良くて、体調も安定しているみたいだった。
たまに浮上してくるお姉ちゃんに、航が元気になっていることを報告すると、良かったと安心していた。
年が明けて、後期試験があった。終わったとほっと一息をつく間もなく、あたしの就職活動が始まった。
企業の合同説明会や自社説明会に参加したり、セミナーにエントリーしたり。
学業と就活とバイトで、毎日があっという間に過ぎていく。
アルバイトでは、盛り付け補助からフライヤー担当になり、ポテトやエビフライなどを揚げつつ、盛り付けと新人教育も任された。
仕事を任されると責任感が増すけど、評価してもらえたんだなと思うと嬉しくて、やる気に繋がると知った。
また新人さんの相手をすることで、教え方や伝え方、言い方の勉強になった。
お金を稼ぐのと、料理の上達のために始めたバイトだったけど、あたし自身も成長できたんじゃないかなと思えた。
この経験は就活にとても役立った。
サークルに入っていないあたしには、胸を張れるような華々しい活動や、社会に貢献できる活動がない。
アルバイトでの経験や、知人が倒れたことで食の大切さを再確認したことなどを、面接官に一生懸命話した。
耳を傾けてくれる面接官がいれば、興味を持たない面接官もいて。アピールの難しさを痛感した半年だった。
「よろしくお願いいたします。ありがとうございました。失礼いたします」
7月中旬、あたしは希望していた食品メーカーの内定をもらった。
♢
「どーも。航っす。招待ありがとう、っておい、麻帆の内定祝いだろ。なんで本人が飯作ってんだよ」
「ママよりあたしの方が美味しい物作れるから」
「麻帆の飯はたしかに旨いけど」
内定もらったから、家でパーティするって、来ない?
そんなメッセージを航に送ったのは、内定をもらったその日。大喜びのパパとママが「ホームパーティをするぞ」と盛り上がり、両祖父母と、立野家のみんなを招待しようと連絡をしたのが始まりだった。
志乃ちゃんは、パーティの日は海外旅行で不在。でもメッセージを送ってすぐに、「おめでとう!」と電話をくれた。久しぶりにたくさん話をした。
木戸さんにも連絡したけど、実習と勉強で相変わらずの忙しさだった。順調にいけば、あたしたちは同時期に社会に出る。卒業したら会おうねと約束して、あたしは木戸さんにエールを送った。
「麻帆ちゃん、こんな感じでいいのかしら」
青井のお祖母ちゃんが、お皿を持ってきた。
「うん。いいよいいよ。手伝ってくれてありがとう」
「お祖母ちゃん、こんなハイカラな物見たことないから不安だわ」
そう言いながら、お祖母ちゃんは残りのスタッフドエッグを作りにいってくれた。
「旨そう。おしゃれな卵料理だな」
「航も見たことないか。スタッフドエッグって言ってね、ゆで卵の黄身をくり抜いて、調理してからまた戻す料理だよ」
今回は卵を半分に切り、黄身にツナとマヨネーズとキュウリの柴漬けを混ぜてある。上にパセリをぱらぱらと混ぜれば彩もきれい。
「キュウリの柴漬け入ってんのか。食感良さそう」
「楽しみにしといて」
テーブルの上の料理に目を奪われている航を置いて、あたしはキッチンに向かった。
まだ仕上がっていない料理は、野菜たっぷりの生春巻きだけ。
テーブルには、スタッフドエッグの他に、餃子の皮をカップにしたアボカドサラダ、ピンチョス、ご飯はパエリアと赤飯を並べてある。
今日の赤飯は、青井のお祖母ちゃんのお手製。代々受け継がれてきたものらしいので、あたしもいずれ教えてもらおうと思ってる。
「そろそろ焼いて行くぞ」
庭にいるパパが、うきうきした声を上げた。
メインはパパの仕事。庭でのバーベキュー。
パパはアウトドアが大好きで、キャンプ場や川に釣りに行ってくれた。でもお姉ちゃんの事故以来、あたしたちはどこにも行かなくなった。行けなくなった、が正確かな。
気持ちの問題だけじゃなくて、怖いというのが本音。もし、また家族が事故に遭ったらと思うと、きっと立ち直れない。日常に潜む事故も怖いけど、遊びに出かけた先でのトラブルは、想像だけでも脅威だった。
風が強ければ、バーベキューはやめようと言ってたけど、今日は凪いでいる。
照りつける太陽の下で、リビングの窓を開け放ち、冷房の風をサーキュレーターで回している。
午後2時。遅めのランチをとりながら、パーティが始まった。
♢
パパが汗だくでお肉を焼く。
みんなは談笑しながら、あたしが作った前菜を食べる。
お肉が焼き上がると、あたしと航で取りに行き、みんなに配る。
パエリアも赤飯も、足りないかなと思うぐらいに、あっという間にみんなのお腹に収まった。
お祖母ちゃんのお赤飯は、ふっくら炊きあがっていて、もちもち食感と塩味の加減がちょうど良くて、とても美味しかった。
デザートにはチーズケーキを作った。
お腹いっぱいなのに入っちゃうわね。
わしは甘いもんは苦手だけどな、麻帆ちゃんが作ったものだけは食べられるな。
うちの孫は天才ね。
身内贔屓がすごすぎて、照れるのを通り越してやや呆れてしまう。
でも悪い気はやっぱりしない。過剰でも褒めてくれると嬉しいし、なにより美味しい美味しいと頬張ってくれる様子を目の前で見られて、言葉以上に伝わってくるものがあった。
でも、足りない。
パズルのピースを失くしてしまったような、埋められない喪失感がある。
「どうした? 浮かない顔して」
隣に座っている航に気づかれた。自分を祝うためにみんな集まってくれたから、顔や態度に出さないようにと思っていたのに。
「なんでもないよ」
「汐里さんか?」
どきっとした。どうしてわかったんだろう。
「超能力者みたいだね、航は」
「麻帆のことは、生まれた時から知ってんだからな」
「酔った顔でドヤんないで」
航はうっすら赤い顔に笑みを浮かべた。
今日集まった大人たちはママ以外みんなお酒を飲んでいる。
お祖母ちゃんたちも、今日はお祝い事だから少しいただくわね、とビールを口にしていた。
ママは、飲めるけど今日はホストだから、とやめていた。パパは気にせず飲んでいる。
立野のおじさんとおばさんも、注いだり注がれたりしながら、ビールやチューハイを飲んでいた。
そして航も。
陽気な大人たちがちょっぴり羨ましい。
成人したとはいえ、飲酒年齢に達してないから、フルーツを漬けたグレープジュースを飲んでいる。
お酒が飲めたら、陽気になって、寂しさがましになるのかなあ。
でもそんな方法で寂しさを紛らわすのもなんだかなあ。
思っている所を、航に気づかれた。
姉の不在が、とてつもなく寂しかった。
写真はいつもリビングに置いている。赤ちゃんの頃から、19歳の頃まで。
せめて頭にいる姉が起きていてくれればな、寂しさを感じることはないのに。
姉と話したのはいつぶりだろう。まだ内定の報告もできていない。
そろそろ出て来て欲しい。
「お姉ちゃんと話したいな」
心で呟いたはずなのに、独り言は口から零れていた。
突然、髪をぐしゃぐしゃにされた。
頭に航の手が乗っていた。
子どもの頃はほとんど毎日一緒にいた。遊んで、ご飯を食べて、昼寝をして、また遊んで、お風呂に入って。帰っちゃ嫌だと駄々をこね、いきなり外泊させることもしばしば。
あたしはお姉ちゃんと航に挟まれて眠るのが好きだった。
いびきがうるさい両親と眠るより、安定して眠れた。
姉がお泊り保育でいないときは、航と一緒に寝た。
成長にともない、徐々に距離を開いていくようになったけど、航が隣にいてくれると安心するのは、今も変わらなかった。
バイト中は休憩が合わないと話す時間はほとんどなかった。今はバイト上がりに時間があれば、少し顔を見て、冷蔵庫の中の作りおかずがちゃんと減っているか確認しにいく。
「ちゃんと食べてるね」
「オカンと麻帆のお陰だよ。旨い飯食ってたら集中力上がったわ」
一カ月もすると実家戻ってもいいかなあ、と言いだしている。実際に帰る気があるのかは知らないけど。
顔色はずっと良くて、体調も安定しているみたいだった。
たまに浮上してくるお姉ちゃんに、航が元気になっていることを報告すると、良かったと安心していた。
年が明けて、後期試験があった。終わったとほっと一息をつく間もなく、あたしの就職活動が始まった。
企業の合同説明会や自社説明会に参加したり、セミナーにエントリーしたり。
学業と就活とバイトで、毎日があっという間に過ぎていく。
アルバイトでは、盛り付け補助からフライヤー担当になり、ポテトやエビフライなどを揚げつつ、盛り付けと新人教育も任された。
仕事を任されると責任感が増すけど、評価してもらえたんだなと思うと嬉しくて、やる気に繋がると知った。
また新人さんの相手をすることで、教え方や伝え方、言い方の勉強になった。
お金を稼ぐのと、料理の上達のために始めたバイトだったけど、あたし自身も成長できたんじゃないかなと思えた。
この経験は就活にとても役立った。
サークルに入っていないあたしには、胸を張れるような華々しい活動や、社会に貢献できる活動がない。
アルバイトでの経験や、知人が倒れたことで食の大切さを再確認したことなどを、面接官に一生懸命話した。
耳を傾けてくれる面接官がいれば、興味を持たない面接官もいて。アピールの難しさを痛感した半年だった。
「よろしくお願いいたします。ありがとうございました。失礼いたします」
7月中旬、あたしは希望していた食品メーカーの内定をもらった。
♢
「どーも。航っす。招待ありがとう、っておい、麻帆の内定祝いだろ。なんで本人が飯作ってんだよ」
「ママよりあたしの方が美味しい物作れるから」
「麻帆の飯はたしかに旨いけど」
内定もらったから、家でパーティするって、来ない?
そんなメッセージを航に送ったのは、内定をもらったその日。大喜びのパパとママが「ホームパーティをするぞ」と盛り上がり、両祖父母と、立野家のみんなを招待しようと連絡をしたのが始まりだった。
志乃ちゃんは、パーティの日は海外旅行で不在。でもメッセージを送ってすぐに、「おめでとう!」と電話をくれた。久しぶりにたくさん話をした。
木戸さんにも連絡したけど、実習と勉強で相変わらずの忙しさだった。順調にいけば、あたしたちは同時期に社会に出る。卒業したら会おうねと約束して、あたしは木戸さんにエールを送った。
「麻帆ちゃん、こんな感じでいいのかしら」
青井のお祖母ちゃんが、お皿を持ってきた。
「うん。いいよいいよ。手伝ってくれてありがとう」
「お祖母ちゃん、こんなハイカラな物見たことないから不安だわ」
そう言いながら、お祖母ちゃんは残りのスタッフドエッグを作りにいってくれた。
「旨そう。おしゃれな卵料理だな」
「航も見たことないか。スタッフドエッグって言ってね、ゆで卵の黄身をくり抜いて、調理してからまた戻す料理だよ」
今回は卵を半分に切り、黄身にツナとマヨネーズとキュウリの柴漬けを混ぜてある。上にパセリをぱらぱらと混ぜれば彩もきれい。
「キュウリの柴漬け入ってんのか。食感良さそう」
「楽しみにしといて」
テーブルの上の料理に目を奪われている航を置いて、あたしはキッチンに向かった。
まだ仕上がっていない料理は、野菜たっぷりの生春巻きだけ。
テーブルには、スタッフドエッグの他に、餃子の皮をカップにしたアボカドサラダ、ピンチョス、ご飯はパエリアと赤飯を並べてある。
今日の赤飯は、青井のお祖母ちゃんのお手製。代々受け継がれてきたものらしいので、あたしもいずれ教えてもらおうと思ってる。
「そろそろ焼いて行くぞ」
庭にいるパパが、うきうきした声を上げた。
メインはパパの仕事。庭でのバーベキュー。
パパはアウトドアが大好きで、キャンプ場や川に釣りに行ってくれた。でもお姉ちゃんの事故以来、あたしたちはどこにも行かなくなった。行けなくなった、が正確かな。
気持ちの問題だけじゃなくて、怖いというのが本音。もし、また家族が事故に遭ったらと思うと、きっと立ち直れない。日常に潜む事故も怖いけど、遊びに出かけた先でのトラブルは、想像だけでも脅威だった。
風が強ければ、バーベキューはやめようと言ってたけど、今日は凪いでいる。
照りつける太陽の下で、リビングの窓を開け放ち、冷房の風をサーキュレーターで回している。
午後2時。遅めのランチをとりながら、パーティが始まった。
♢
パパが汗だくでお肉を焼く。
みんなは談笑しながら、あたしが作った前菜を食べる。
お肉が焼き上がると、あたしと航で取りに行き、みんなに配る。
パエリアも赤飯も、足りないかなと思うぐらいに、あっという間にみんなのお腹に収まった。
お祖母ちゃんのお赤飯は、ふっくら炊きあがっていて、もちもち食感と塩味の加減がちょうど良くて、とても美味しかった。
デザートにはチーズケーキを作った。
お腹いっぱいなのに入っちゃうわね。
わしは甘いもんは苦手だけどな、麻帆ちゃんが作ったものだけは食べられるな。
うちの孫は天才ね。
身内贔屓がすごすぎて、照れるのを通り越してやや呆れてしまう。
でも悪い気はやっぱりしない。過剰でも褒めてくれると嬉しいし、なにより美味しい美味しいと頬張ってくれる様子を目の前で見られて、言葉以上に伝わってくるものがあった。
でも、足りない。
パズルのピースを失くしてしまったような、埋められない喪失感がある。
「どうした? 浮かない顔して」
隣に座っている航に気づかれた。自分を祝うためにみんな集まってくれたから、顔や態度に出さないようにと思っていたのに。
「なんでもないよ」
「汐里さんか?」
どきっとした。どうしてわかったんだろう。
「超能力者みたいだね、航は」
「麻帆のことは、生まれた時から知ってんだからな」
「酔った顔でドヤんないで」
航はうっすら赤い顔に笑みを浮かべた。
今日集まった大人たちはママ以外みんなお酒を飲んでいる。
お祖母ちゃんたちも、今日はお祝い事だから少しいただくわね、とビールを口にしていた。
ママは、飲めるけど今日はホストだから、とやめていた。パパは気にせず飲んでいる。
立野のおじさんとおばさんも、注いだり注がれたりしながら、ビールやチューハイを飲んでいた。
そして航も。
陽気な大人たちがちょっぴり羨ましい。
成人したとはいえ、飲酒年齢に達してないから、フルーツを漬けたグレープジュースを飲んでいる。
お酒が飲めたら、陽気になって、寂しさがましになるのかなあ。
でもそんな方法で寂しさを紛らわすのもなんだかなあ。
思っている所を、航に気づかれた。
姉の不在が、とてつもなく寂しかった。
写真はいつもリビングに置いている。赤ちゃんの頃から、19歳の頃まで。
せめて頭にいる姉が起きていてくれればな、寂しさを感じることはないのに。
姉と話したのはいつぶりだろう。まだ内定の報告もできていない。
そろそろ出て来て欲しい。
「お姉ちゃんと話したいな」
心で呟いたはずなのに、独り言は口から零れていた。
突然、髪をぐしゃぐしゃにされた。
頭に航の手が乗っていた。
子どもの頃はほとんど毎日一緒にいた。遊んで、ご飯を食べて、昼寝をして、また遊んで、お風呂に入って。帰っちゃ嫌だと駄々をこね、いきなり外泊させることもしばしば。
あたしはお姉ちゃんと航に挟まれて眠るのが好きだった。
いびきがうるさい両親と眠るより、安定して眠れた。
姉がお泊り保育でいないときは、航と一緒に寝た。
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