【完結】ルガルの星―冷徹な社長は、僕の運命を知っていた―

綾波絢斗

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第18話 入浴剤の力?

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部屋に戻ると、レイがネクタイに手をかけながら「先にシャワーを浴びる」と言い出した。
「え? 入浴剤、一緒に使わないんですか?」

その言葉に、レイの手がピタリと止まった。

「一緒に入るってこと?」

そう聞かれて、慌てた。

「ち、違います! 僕がお風呂の準備をするので、レイが先に湯船につかればいいかなって……ぼ、僕はひとりで入れます!」

否定したはずなのに、どうしてこうなったんだろう。

レイと向かい合わせで湯船につかっている。レイはまったく気にした様子もなく、湯船のお湯を僕の腕に優しくかけてくる。

「リョクの入浴剤、どう? リラックス効果とか、元気が出るようにって、僕に合わせて作ってくれて……すごく好き」

「うん、いい。リョクはいつごろから作り始めたの?」

「どうだろう……最初は、リョクが小学校の時にバスボムを作ってくれて……それから、かな」

「そっか。そんな時から。あと、会社の噂は明日までになくすから。ごめん」

「えっ?」

「イヤな思いさせて、ごめん」

「ちが……」

否定しようとしたものの、そもそもキョウカさんと「二股みたいな状態」になっているのが原因のひとつじゃないかと思い始めて……レイのせいじゃない、という気持ちにもなってくる。

「だ、大丈夫。ただ……キョウカさんが、レイと僕が一緒にいるとちょっと悲しむんじゃないかなって」

「どうして?」

「だって、レイの家に僕がいるって知ってるよね?」

「うん」

「だったら……」

「キョウカのことは気にしなくていい」

気にしなくていい——なんて。そんな不誠実なこと、できない。

そう思った時、レイが近づいてきて唇が触れた。突然のキスに戸惑いながらも、久しぶりの心地よさにすぐに受け入れてしまう。

満足そうなレイの顔。もっと……そう思った時、ふと唇を離された。

「アオがひとりで入れるの、わかったから。オレは先に出るよ」

そう言って、レイは湯船から出ていった。

僕は少し拍子抜けしながら、ひとり湯船につかる。

「……ん~、なんだよ、もう」

キスのあとの「続き」があると思っていた。
——僕だけが、したいのかな。もう、全然わからない。

しばらく湯船につかって気持ちを落ち着かせてから、お風呂を出た。

今日は少しスパイシーな香りの入浴剤だったからか、体が熱い。

湯上がり、髪をタオルで押さえながらリビングへ行くと、レイが手を伸ばしてきた。

「あっ……なんだかすごく熱くて。もう少し涼んだら服を着ます」
さすがにだらしなかったかなと思って、慌てて言う。
冷蔵庫から水を取り出していると——

「髪、乾かすから。おいで」

レイの声がした。

言われるままに、いつものようにレイの前にちょこんと座る。背後から温風が当たり、指先が優しく髪を梳いていく。

そして、もたれるようにレイの体に寄りかかる。

この体勢、髪を乾かすにはちょっと不自然なんだけど……レイと体をくっつけていると、すごく安心するからやめられない。

体勢を直してほしいとも言われないから、いつもこうしている。

当たり前のように髪を乾かしてもらっているけど——今日は、レイの体温がいつもより熱い気がする。

あっ……違う。僕の体温が熱いんだ。
入浴剤の効果がまだ続いている。
ぼーっとしている僕に、レイが心配そうに声をかけてきた。

「大丈夫? のぼせた?」

レイの方にそっと顔を向けて、「ううん、大丈夫」

そう言いながら、無意識にレイの唇を触っていた。

「どうした?」

そう聞かれて、僕はレイの唇を見た。お風呂でされたキスのお返しのように、深く、ゆっくりと近づく。レイは初めは驚いていたようだったけど、僕に応えてくれた。

レイの手が僕の髪を触り、首筋に下りてくる。レイの手が冷たくて、気持ちいい。
ずっと、この時間が続けばいいのに。
そう思う自分がいた。
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