【完結】ルガルの星―冷徹な社長は、僕の運命を知っていた―

綾波絢斗

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第27話 番になったのは

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レイは、リョクが1か月程度で戻ってくると話していた。しかし、さらに2週間遅れて会社にやってきた。

「お久しぶりで~す!」明るく響く声とともに社長室に現れたのは、長らく音信不通だったリョク。そしてその隣には、カナメの姿もあった。

「どうして彼がいるの?」キョウカさんの声が一段低くなる。

「僕の番だからだよ?」

……空気が、一瞬で凍りついた。

「は?」キョウカの盛大な「は?」がフロアに響く。

「リョクって、ルガルだったの?」的外れな反応をしてしまったのは、他ならぬ僕だった。

カナメの首がもげそうなほどの勢いで抱きつくメロメロのリョク。それでも、カナメはポーカーフェイスを崩さない。

「どうして来たの」キョウカさんの声音が鋭くなる。
最愛のアキトさんを連れ去った張本人が目の前にいるのだから、当然の反応だ。

そんな中、ただ一人レイは静かに言った。

「……思ったよりも遅かったな」
「へへっ。ちょっとねー。今日は説明もしたかったし、お詫びも兼ねて提案に来たんだ~」

リョクはそう言って、ルガルであるレイとキョウカを連れて社長室へと消えていった。

残されたのは、アキトさんと僕とカナメ。

社長室
「リョクくん、ちゃんと説明して」
キョウカさんが腕を組んで詰め寄る。

「ちゃんと説明するよ~」そう言いながら、リョクは鞄から小瓶を並べ始めた。香水、入浴剤、マッサージオイル——どれも、ほんのり心地よい香りが漂っている。

リョクはあの時からの経緯を話し始めた。アキトさんと一緒にいるカナメを見たとき、僕の紋章が反応したこと。前にも会社の下で感じたことがあって、同じだと思ったこと。

「でもリョクくんの気持ちだけじゃ、番になれないでしょ?」
「うん。だからこれ」

広げた小瓶を手にして、リョクはニヤリと笑う。

「全部ね、『番』の反応に合わせて作ったんだよ~」
「カナメってば、最初は警戒心丸出しで反抗してたんだ。ぜんぜん心を開いてくれないから、まずはこの入浴剤を使って様子を見たんだ~。ほら、前にキョウカさんに渡したやつ」
「あぁ……あの時の」

キョウカもその効果を思い出す。

「カナメも力が強いから、素直に受け入れられなかったみたいでね。だから時間をかけて、ゆっくり慣らしていった」

途中、その時の様子を思い出したのか、リョクは笑う。

「5日目くらいかな。カナメが自分から動いてくれたんだ。このアイテムは感情に合わせて反応するから、受け入れたタイミングで効果が最大になった。あの時のカナメ、かわいかったな~」

またも思い出してひとりの世界に入るリョク。

「で、そこから僕はカナメの希望を全部聞いてあげて、2週間くらいしたら警戒心も溶けてきたんだ。で、次はこの香り」

緑色のガラスの瓶を指す。

「これはムルの気持ちが高まった時に効果があるんだけど、それを使っている間、僕は手を出さなかった。カナメもそれが僕の駆け引きだってわかってるから、ずっと我慢してたんだ」

ガラスの瓶を指で触れながらリョクは続ける。

「この強めの香りで我慢できたのも、やっぱりカナメのムルの力が強いからかなと思って、どうしようかな~って悩んだんだけど、素直になってくれなかったら嫌だなと思って、最後にこの入浴剤を使ったんだ」

薄紫の瓶を指す。

「これはカナメ用に調整した入浴剤。これが当たりでね、カナメが自分から動いてくれたんだ。僕もずっと我慢していたからさ~。ふふっ。もうね~。ふふふ」

その時の情景を思い出してリョクの笑いが止まらない。

「で、僕の想いを伝えたら、受け入れてくれて番になったんだ。すぐに来てもよかったんだけど、カナメが可愛すぎて。気づいたら時間が経ってた」
「軽く話してるけど、中々のことしてるわねリョクくん」
半ばあきれたようにキョウカさんが言う。

「でも、心配しないようにレイさんには送ったでしょ?自信作だったんだけど。アレ」ちらりとレイを見やる。
「買い取る」
一言だけ、レイがつぶやく。

「やったね。でね。お願いってのは、この製品の販売権をレイさんの会社に預けたい。その代わり、マンションのワンフロア全部、研究と住居スペースとして提供してほしいんだ~。もちろん無料で」
「見返りは?」
「アオ専用のシリーズを定期的に提供するってどう?」
「アオ専用?」
ピクリとレイが反応する。

「そう、『いつもと違うアオ』とか、『レイさんの思う通りのアオ』とか、レイさんの要望に合わせて作れるよ」
「……ワンフロア渡す」
「おぉっ。話がわかる~。で、キョウカさんへのお願いは、カナメにアキトさんの力を貸してほしいんだ」
「アキトの?」

「カナメは今まで独自の情報を管理していたんだけど、限界があるから。管理をアキトさんにお願いしたい。カナメには表の世界にいてほしいから」

キョウカの目がすっと細まる。

「もちろんアキトさん専用のものを提供するよ。アキトさん用のアイテムも作れるけど、少し情報が足りなくてね。5分だけ、2人きりにさせてもらえたら必要なデータは取れるかな~?」

「まぁ、アキトがいいなら。私は」
「じゃ、情報の管理は協力してもらえるってことで。アキトさんには聞いてみるね」
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