【完結】ルガルの星―冷徹な社長は、僕の運命を知っていた―

綾波絢斗

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第31話 無自覚

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カナメの肩越しに向けられる、見知らぬ女性たちの熱を帯びた視線。上から下へと、遠慮なく値踏みするように動く男性たちの期待混じりの目線。

そのどれもが、はっきりとアオとカナメを狙っているのがわかった。

「……カナメ、本当に自覚してんのかな。助け船、逆効果じゃん」
小さく吐き捨てるように言いながら、リョクは人だかりをかき分ける。

「はいはい、ごめんね~。……2人とも、こっち」
カナメとアオの手を掴み、人混みから引き離す。

その瞬間、ふと視線を感じて顔を上げた。会場の奥――レイと目が合う。静かな怒りを宿した黒い瞳に、リョクの背筋がわずかに震えた。

……アオ、あとがヤバいな。

控室に戻ると、リョクは深く息をつき、二人を見据えた。
「ねえ、2人とも。もう少し自覚ってものを持ってくれる?」

「リョク? 僕はいつも通りだよ?」とアオ。

「アオはもっと自覚したほうがいい。危なっかしくて見てられない」
カナメが呆れ気味に口を挟むと、すかさずリョクが釘を刺す。

「いや、カナメもだよ?」

「俺は……わざとだけどね?」
軽く言い逃れしようとするカナメに、リョクの瞳が細まった。

「ふーん。じゃあ、それは正解だったね。今夜、覚悟しておいて」
その声音は低く甘く、それでいて確実に嫉妬心を帯びていた。

「……いや、今日は……体調が」
「大丈夫。俺がつきっきりで『看病』するから」
リョクの想像以上の嫉妬に、カナメはわずかに後悔の色を浮かべる。アオはそのやり取りを、静かに見守るしかなかった。

「あと……アオ。今夜は覚悟しておいたほうがいいよ」
「え、どうして?」
「レイさん、めちゃくちゃ怒ってた」
報告するリョクに、アオは首を傾げる。
「えっ……どうして。僕、何もしてないのに」
何もわかっていないアオ。
「そうだね。その『無自覚』が問題なんだよ」
やれやれと肩をすくめるカナメ。

そこへアキトが控室に現れた。
「2人とも、大丈夫だった?」

「レイが今、質問攻めにあっててアオくんのところに行けなくてね。ストレスが限界っぽいから、ここは僕とキョウカで対応することにした。レイはもうすぐ戻るから、アオくんは先に用意してある車へ向かって」

そう言い残し、アキトは足早に会場へ戻っていく。

「車まで一緒に行くよ」
「もう! そんな心配しなくていいって。レイもすぐ来るって言ってたし。リョクはカナメさんと帰っていいよ」
「でも……」
「大丈夫! じゃあね!」

アオはそのまま会場を後にし、車へと向かう。――その時。

「アオ!」

思いがけない声に、アオの足が止まった。
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