【完結】ルガルの星―冷徹な社長は、僕の運命を知っていた―

綾波絢斗

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第33話 違う?

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「お風呂入れてくるね」
アオは俺の疲れを気遣ってくれている。
そんな些細な優しさが、妙に胸に染みた。

アオが風呂場に向かう間、俺はリョクに電話をかける。

「もしもし? 今、ちょっと手が離せなくて」

受話口から聞こえる、微かに息の乱れた声。
……カナメの声か。リョクも相変わらずだ。

「すぐ済む。タクミってやつ、知ってるか? アオとはどういう関係だ?」

「えっ? アオと? ん~、昔から可愛がってくれてるけど、そんな深い仲じゃないよ。どっちかっていうと、俺の方が仲いいし」

「悪かった。カナメには今度お詫びすると伝えておけ」
「はぁ~い」

通話を切り、ソファに腰を沈めて天井を仰ぐ。
……あいつじゃないのか。

アオの背中にある紋章——すぐに確かめたい。

「レイ? 大丈夫? 疲れてるよね?」
戻ってきたアオが、覗き込むように顔を近づけてくる。

「ん。少し疲れたみたい」

「お風呂、一緒に入る?」

まさか、アオからそんな提案が来るとは。
ニヤリとしたいのを抑えつつ、その申し出に甘えることにする。

「ありがとう。助かる」
少し大げさに疲れているふりをしてみせる。

アオは長年リョクの世話をしてきたせいか、手際が自然だ。

*---------------

「お世話するって言ったのに、これじゃ髪洗ってあげられないよ?」
湯船に一緒に浸かったけれど、俺の前にアオがいる。
背後から抱きしめるだけで十分癒やされるが、本人はその事実を知らない。

「もう少し、このままで。ダメ?」
抱きしめる腕に力が入る。

「……いいけど」

そう言いながら、首筋にそっと額を寄せる。

背中の痣は濃くなっていない……やはり、タクミではないのか。
痣に軽くキスを落とすと、「くすぐったい」と笑いながら返してくる。
俺との紋章ではない——その事実が、胸の奥で静かに疼く。

次に、耳の後ろにある痣を指でなぞり、確かめるように見つめる。
「んっ…」
さっきとは違う反応。確実に感じている。
すでにある紋章も、よりはっきりと浮かび上がる。
アオは間違いなく俺のものだ。

「こっち向いて」
俺の言葉に、アオは首を傾げながらも体の向きを変える。

チュッ、チュッ……とキスをする。
アオは小さく息を漏らしながら、すべてを受け入れてくれる。

「今日は疲れてるんだし、早く寝よう? あっ、この間リョクがくれた『アオ専用』の中に、リラックスできるやつあったよね? あれ使おうか?」

「いいの?」

「えっ? ダメ? レイの疲れが取れるよ、きっと。お風呂上がったら準備しておくね。アロマタイプのだから」

「ん。じゃあ、お願いする」

張り切って準備に向かうアオ。
『アオ専用』の意味を、わかっていない。

さて……俺の前にどんな姿で現れるのか。
想像しながら、髪を洗い始めた。
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