【完結】ルガルの星―冷徹な社長は、僕の運命を知っていた―

綾波絢斗

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第36話 新たな人物?

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タクミの農園には、見渡す限りの広大な敷地に色とりどりの花々が咲き誇っていた。ビニールハウスの中では、オーダーに応じた品種や企業と共同開発中の新種が丁寧に育てられている。

レイの運転する車には、リョクとカナメも同乗していた。結局断りきれず同行することになったカナメだったが、窓から差し込む風に髪をなびかせ、どこか機嫌は良さそうだ。

「いらっしゃい!」眩しい笑顔で、タクミが一行を迎える。

「アオ!! 久しぶり~!」そう言って、ダイチが勢いよくアオを抱きしめた。

「わっ! ダイチくん! 久しぶり! 元気そうだね~」
「聞いたよ、今日はこっちに泊まらないんだって? 僕、楽しみにしてたのに」
「うん、今回はヴィラを予約したんだ」
「そっか……じゃあ今度は絶対泊まってよ。夜はいつもの場所で、星を見ながら寝よう」
「うん、いいよ!」
「約束だよ」

ダイチに抱きしめられたまま、アオは楽しそうに笑っている。そのやり取りを見つめるレイの視線に、アオはまったく気付いていなかった。

「あ、レイ! 紹介するね」アオが笑顔で振り向く。「タクミさんとダイチくん。タクミさんはこの間ホテルで会ったでしょ? ダイチくんはタクミさんの元生徒で、今は農園を手伝ってる研究員だよ」

「アオがいつもお世話になっています」レイは冷静を装って挨拶するが、その目の奥は笑っていない。
「いえいえ。今日はゆっくり楽しんでいってください。……リョクくんは、このまま研究所に直接行く感じでいいかな?」
「うん、行く。カナメも行くでしょ?」
「行かない」
「え~」不服そうにリョクが言った。

「じゃ、カナメさん、僕とレイと一緒に行きましょう!」屈託のないアオの提案。

「そんな恐ろしい提案、飲めるか」低くつぶやき、カナメは首を振った。「大丈夫だ。ひとりを満喫したい」久しぶりに自由な時間を味わいたいらしい。

「この農園から出ないって約束なら、いいけど」リョクはまだ心配そうだ。
「大丈夫」

「じゃ、これ、農園のマップです」ダイチがカナメに地図を差し出す。

「ありがとう。おすすめの場所や立ち入り禁止の場所を教えてほしい」
「あ、そうですね。おすすめは——」

二人が地図を広げて話し込む様子に、リョクは距離が近すぎるとハラハラしていた。

「ダイチ! 研究所行くよ!」
「あ、わかった!」もう近づいて欲しくないと思ったリョクは、ダイチを急かした。そしてタクミ、リョク、ダイチは連れ立って研究所へ向かう。

「じゃ」そう言って、カナメも別方向へ歩いて行った。

「レイは僕が案内するね」アオは屈託のない笑顔でレイに手を差し出す。その笑顔は、花々よりも眩しく見えた。
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