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第40話 それぞれの
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リョクがヴィラの部屋へ戻った時、薄いベージュのシーツの上でカナメがゆっくりと瞳を開いた。
いなかったことには気づいていたのだろう。けれど身体はまだ完全に回復しておらず、再び眠りに落ちていたらしい。
「……おかえり。どこに行ってた?」
少し掠れた声で尋ねられ、リョクはベッドの縁に腰を下ろした。
「ちょっと。レイさんと話してた」
「何を?」
カナメのやわらかな視線に、胸の奥から罪悪感がせり上がる。固く唇を噛みしめたあと、リョクは小さく告げた。
「……カナメ、昨日、無理させてごめん」
「どうした?」
優しすぎる声だった。
「あのね。カナメに、2つ目の紋章が出てたんだ」
「え?」カナメの瞳が静かに揺れる。
「だから俺、カナメが俺以外の誰かに心を許したのかと思って。怖くて、止められなかった」
カナメは何も言わず、そっと指先でリョクの頬に触れた。それだけで、十分に伝わる。
「バカだな。リョクだけだよ」
淡く微笑みながらふわりと腕を広げる。リョクは堰を切ったように胸に飛び込み、肩を震わせた。
「うん。信じられなくて、ごめん。でも……怖かった」
「大丈夫。俺は、ずっとお前の番だ」
耳元で囁くその声に、リョクの表情がようやくほどける。
「でも、どうして紋章が?」
「レイさんは分かったみたい。お昼すぎに、『答え合わせ』をするって」
「ほんと、あの人は」
苦笑しながら、カナメはリョクの髪をゆっくり撫でた。
「ねえ、昼まで、抱きしめてて」
「いいよ。おいで」
カナメの胸に顔をうずめながら、リョクはやっと安堵の息をついた。
*---------------
その頃アオは、まだぼんやりとまぶたの奥に眠気を留めたままだった。
「……レイ?」
「まだ寝てていい」
レイは鳴り続けるスマホを取った。
「アキトから電話だ」
アオの髪を撫でながら、レイはそのままベッドの縁で通話を続ける。
こういう時にわざわざ席を外さないのは、やましいことが何もないというレイなりの誠意だ。
アオはぼんやりと、そんなことを思いながら背中に頬を押しつけた。
『——やっぱりそうか。かなり力が強い。本人の承諾が取れたら正式に調べてみる。また連絡する』
そう言って電話が終わる。
「レイ? 何かあったの?」
「ん? アオの心を奪って、紋章をつけた奴の正体が分かった」
「え? ぼ、僕に紋章? えっ? え?」
慌てるアオを見て、レイは少し意地悪そうに笑った。
「アオが、俺以外のヤツに心を許すなんて。……浮気者だな」
「ぼ、僕!? 浮気なんてしてないっ、してないよ! レイだけだよっ?」
必死になっているアオを、レイはやさしく撫でて息を落とす。
「分かってる。分かってるよ。今回はちょっと疲れた。今はアオを抱きしめたまま寝かせて」
ぽつりと言って、レイは再びアオを胸に抱き寄せた。
アオは何も言えなくなる。ただ、背中に回された腕のぬくもりと規則正しい寝息に包まれながら、そっと目を閉じた。
いなかったことには気づいていたのだろう。けれど身体はまだ完全に回復しておらず、再び眠りに落ちていたらしい。
「……おかえり。どこに行ってた?」
少し掠れた声で尋ねられ、リョクはベッドの縁に腰を下ろした。
「ちょっと。レイさんと話してた」
「何を?」
カナメのやわらかな視線に、胸の奥から罪悪感がせり上がる。固く唇を噛みしめたあと、リョクは小さく告げた。
「……カナメ、昨日、無理させてごめん」
「どうした?」
優しすぎる声だった。
「あのね。カナメに、2つ目の紋章が出てたんだ」
「え?」カナメの瞳が静かに揺れる。
「だから俺、カナメが俺以外の誰かに心を許したのかと思って。怖くて、止められなかった」
カナメは何も言わず、そっと指先でリョクの頬に触れた。それだけで、十分に伝わる。
「バカだな。リョクだけだよ」
淡く微笑みながらふわりと腕を広げる。リョクは堰を切ったように胸に飛び込み、肩を震わせた。
「うん。信じられなくて、ごめん。でも……怖かった」
「大丈夫。俺は、ずっとお前の番だ」
耳元で囁くその声に、リョクの表情がようやくほどける。
「でも、どうして紋章が?」
「レイさんは分かったみたい。お昼すぎに、『答え合わせ』をするって」
「ほんと、あの人は」
苦笑しながら、カナメはリョクの髪をゆっくり撫でた。
「ねえ、昼まで、抱きしめてて」
「いいよ。おいで」
カナメの胸に顔をうずめながら、リョクはやっと安堵の息をついた。
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その頃アオは、まだぼんやりとまぶたの奥に眠気を留めたままだった。
「……レイ?」
「まだ寝てていい」
レイは鳴り続けるスマホを取った。
「アキトから電話だ」
アオの髪を撫でながら、レイはそのままベッドの縁で通話を続ける。
こういう時にわざわざ席を外さないのは、やましいことが何もないというレイなりの誠意だ。
アオはぼんやりと、そんなことを思いながら背中に頬を押しつけた。
『——やっぱりそうか。かなり力が強い。本人の承諾が取れたら正式に調べてみる。また連絡する』
そう言って電話が終わる。
「レイ? 何かあったの?」
「ん? アオの心を奪って、紋章をつけた奴の正体が分かった」
「え? ぼ、僕に紋章? えっ? え?」
慌てるアオを見て、レイは少し意地悪そうに笑った。
「アオが、俺以外のヤツに心を許すなんて。……浮気者だな」
「ぼ、僕!? 浮気なんてしてないっ、してないよ! レイだけだよっ?」
必死になっているアオを、レイはやさしく撫でて息を落とす。
「分かってる。分かってるよ。今回はちょっと疲れた。今はアオを抱きしめたまま寝かせて」
ぽつりと言って、レイは再びアオを胸に抱き寄せた。
アオは何も言えなくなる。ただ、背中に回された腕のぬくもりと規則正しい寝息に包まれながら、そっと目を閉じた。
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