【完結】ルガルの星―冷徹な社長は、僕の運命を知っていた―

綾波絢斗

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第55話 新たな関係

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「指示されたデータを抜き取りました」

僕は神宮寺さんにスマホで報告を送った。彼のことだ——僕がイルジオンのシステムに侵入した痕跡や経路は、リアルタイムで監視されているはずだ。

僕を通じて自分たちが出入りできるようにする。それが狙いなのか……。

『データ確認しました。痕跡を残さずこれを取り出すとは、さすがですね、神川くん。次の指示を出したいので、一緒に食事をしましょう』

短くそう告げられ、通話は切れた。

しばらくすると、従者を伴った神宮寺さんが現れた。彼が指示を出すと、従者は慣れた手つきで食事の準備を整えていく。

僕はソファに腰を下ろしたまま、その光景を静かに眺めていた。

「頭痛はおさまりましたか?」神宮寺さんがこちらを見ながら、穏やかに声をかけてくる。

「ここに来てからずっと頭痛が止まらなくて。でも、神宮寺さんが来てから少し軽くなった気がします」

そう答えると、彼はためらいなく僕の隣に腰を下ろした。

香りが一層強まり、さっきまで重く淀んでいた頭の奥がふっと楽になる。「そうですか。寄りかかっても大丈夫ですよ」促されるまま、僕は神宮寺さんの肩に頭を預けた。

その瞬間、不思議なくらい頭の痛みが和らぎ、呼吸まで深くなる。

その日を境に、仕事の合間に頭痛がひどい時は神宮寺さんに連絡を入れ、彼の肩を借りるようになった。

ある日、どうして神宮寺さんの香りだけが頭痛を鎮めるのか尋ねてみた。

彼は一瞬だけ目を細め、「理由はわからないけれど、神川くんとの関係性にあるのかもしれませんね」とだけ答えた。

*───────

「……まただ。情報が抜かれている」アキトさんが険しい顔でレイに報告していた。

「セキュリティは強化したはずだろう?」レイが低く問う。

「うん。でもトラップにも引っかからない。痕跡そのものが消し去られているんだ」

「特定は?」

「まだ、できてない」

レイの横顔が静かに歪んだ。怒りを押し殺している。その気配を和らげるように、僕は後ろからレイを抱きしめた。

「レイ? 大丈夫?」レイは僕の腕をそっと解き、正面から優しい笑みを向けてきた。

「大丈夫。心配してくれてありがとう、トウヤ」

僕に微笑みかけているレイを見ながら優越感に浸る。レイを困らせているのは、大好きだった神川アオだから。けれど、そんなことを教える気はない。

もうレイは僕のものだから。

「ねぇ、レイ。今日……しない?」
「今回の件もあるし、対応に集中したいんだ」
「そばにいようか?」
「無理はさせたくない。トウヤには、好きなことをしてほしい」
「……じゃあ今日は、友達とごはんに行こうかな」
「わかった。前に行きたいって言ってたレストラン、予約しておくよ」
「えっ!? あの予約が取れないところ? いいの?」
「ああ。トウヤのためだから」
「……嬉しい!」
思わずレイに抱きつく。

——神川アオ、もうレイは僕のものだよ。僕のために、ここまで尽くしてくれる。今のレイの姿を知ったら、君はどんな顔をするのだろう。
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