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第63話 本当の力
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「アオの動きはこちらでずっと把握していた。おかしな行動はなかったはずだ……」
神宮寺は戸惑いを隠せず、言葉を吐き出す。
「アオくんの能力を見くびっちゃだめだよ。そっちの監視システムに映っていたプログラムと、こちらに渡していた信号は別々に作って動かしていたんだ。要は、最初から二重構造だったってことさ」
アキトは呆れと嘲笑が混じった表情で言った。
「……!」
「それにアオ、すごく疲れていなかった?」
神宮寺の頭に、胸の中で眠るアオの姿が浮かんだ。撫でると安心して眠りにつく姿。
「思い出した? あれはアオが能力を使いすぎていた証拠。それにも気づかないなんて、まだまだだね」
リョクは冷たく言い放ち、肩をすくめた。
あれは甘えではなく、能力の酷使による疲弊の証だったのだ。
「レイさん……レイさんは本当に僕のこと、何とも思っていなかったの? 一度でも心が動いたことは……なかったの?」
トウヤの目には涙がにじんでいた。
代わりにアキトが静かに答えた。
「一度でも社長室のプライベートルームに入ったことがあった? レイの住んでいる場所に呼ばれたことは? それが答えだよ」
カチャリ――。
ドアが開き、カナメに連れられたアオが姿を現した。
「アオ? 来なくてよかったのに」
リョクが心配そうに声をかける。
「……神宮寺さんたちの処分が気になって」
アオは小さく答えた。
「レイ……神宮寺さんは僕にひどいことは一度もしなかった。ずっと、気を使ってくれたんだよ」
その言葉に神宮寺は驚愕し、かすれた声を漏らした。
「アオ……」
しかしレイは冷酷な瞳のまま告げる。
「今回の件はムガルの裁判にかけられ、処罰が決まる。その前に、あなたからアオの記憶は消させてもらう」
裁判と言っても、おそらく想像以上に厳しい結果となるだろう。
「裁判にかけられるくらいなら……ここで、全員を道連れにする!」
神宮寺の叫びに、その場の空気が震えた。
彼の力は、周囲のものを焼き尽くす灼熱の力。レイやリョクの能力があっても、神宮寺が命と引き換えに最後の暴走を起こせば、この場の誰一人無事では済まない。
ゴウッ――。
力の奔流が暴れ出し、爆発の前兆が走ったその瞬間。
「自分を傷つけるのはやめて!! 僕の大切な人を、これ以上傷つけるのもやめて!!!」
アオの叫びが響いた。
次の瞬間、青白い光が部屋を包み込み、そこにいる全員の力を吸収していった。リョクの支配の力も、レイの威圧の力さえも例外ではなかった。
「……これが……失われたはずの、ムル最大の能力……」
青白い光が消え、静寂が戻る。神宮寺は床に崩れ落ち、動かなくなっていた。
アオは胸が締め付けられるようにその姿を見つめる。
「……どうして、こんなことに……」
「アオ」
レイがそっとアオの肩に手を置いた。
「もういい。自分を責めることはない」
それでも、アオの胸には複雑な思いが溢れていた。
やがて拘束班が到着し、意識を失った神宮寺と、蒼白な顔で座り込むトウヤを連行していった。裁判にかけられ、その処遇が決まるだろう。
「キョウカから神宮寺の研究所の処理が終わったって連絡があったよ」
アキトがスマホを見ながら淡々と告げる。
「アオが狙われた理由はこの力だったんだ」
リョクが静かにアオを見つめた。
「失われたムル最大の能力。すべての力を無効化する力……欲しがる人は多いだろうね」
カナメが息を呑み、言葉を続けた。
アキトは全員を見回すと、やわらかく微笑む。
「アオとレイは部屋に戻って、ちゃんと話し合って。あとの処理は僕たちでやるから」
アオは一瞬ためらったが、レイの腕に導かれるように立ち上がる。
「……レイ」
「行こう」
二人は言葉少なに頷き合い、そのままプライベートルームへと戻っていった。
神宮寺は戸惑いを隠せず、言葉を吐き出す。
「アオくんの能力を見くびっちゃだめだよ。そっちの監視システムに映っていたプログラムと、こちらに渡していた信号は別々に作って動かしていたんだ。要は、最初から二重構造だったってことさ」
アキトは呆れと嘲笑が混じった表情で言った。
「……!」
「それにアオ、すごく疲れていなかった?」
神宮寺の頭に、胸の中で眠るアオの姿が浮かんだ。撫でると安心して眠りにつく姿。
「思い出した? あれはアオが能力を使いすぎていた証拠。それにも気づかないなんて、まだまだだね」
リョクは冷たく言い放ち、肩をすくめた。
あれは甘えではなく、能力の酷使による疲弊の証だったのだ。
「レイさん……レイさんは本当に僕のこと、何とも思っていなかったの? 一度でも心が動いたことは……なかったの?」
トウヤの目には涙がにじんでいた。
代わりにアキトが静かに答えた。
「一度でも社長室のプライベートルームに入ったことがあった? レイの住んでいる場所に呼ばれたことは? それが答えだよ」
カチャリ――。
ドアが開き、カナメに連れられたアオが姿を現した。
「アオ? 来なくてよかったのに」
リョクが心配そうに声をかける。
「……神宮寺さんたちの処分が気になって」
アオは小さく答えた。
「レイ……神宮寺さんは僕にひどいことは一度もしなかった。ずっと、気を使ってくれたんだよ」
その言葉に神宮寺は驚愕し、かすれた声を漏らした。
「アオ……」
しかしレイは冷酷な瞳のまま告げる。
「今回の件はムガルの裁判にかけられ、処罰が決まる。その前に、あなたからアオの記憶は消させてもらう」
裁判と言っても、おそらく想像以上に厳しい結果となるだろう。
「裁判にかけられるくらいなら……ここで、全員を道連れにする!」
神宮寺の叫びに、その場の空気が震えた。
彼の力は、周囲のものを焼き尽くす灼熱の力。レイやリョクの能力があっても、神宮寺が命と引き換えに最後の暴走を起こせば、この場の誰一人無事では済まない。
ゴウッ――。
力の奔流が暴れ出し、爆発の前兆が走ったその瞬間。
「自分を傷つけるのはやめて!! 僕の大切な人を、これ以上傷つけるのもやめて!!!」
アオの叫びが響いた。
次の瞬間、青白い光が部屋を包み込み、そこにいる全員の力を吸収していった。リョクの支配の力も、レイの威圧の力さえも例外ではなかった。
「……これが……失われたはずの、ムル最大の能力……」
青白い光が消え、静寂が戻る。神宮寺は床に崩れ落ち、動かなくなっていた。
アオは胸が締め付けられるようにその姿を見つめる。
「……どうして、こんなことに……」
「アオ」
レイがそっとアオの肩に手を置いた。
「もういい。自分を責めることはない」
それでも、アオの胸には複雑な思いが溢れていた。
やがて拘束班が到着し、意識を失った神宮寺と、蒼白な顔で座り込むトウヤを連行していった。裁判にかけられ、その処遇が決まるだろう。
「キョウカから神宮寺の研究所の処理が終わったって連絡があったよ」
アキトがスマホを見ながら淡々と告げる。
「アオが狙われた理由はこの力だったんだ」
リョクが静かにアオを見つめた。
「失われたムル最大の能力。すべての力を無効化する力……欲しがる人は多いだろうね」
カナメが息を呑み、言葉を続けた。
アキトは全員を見回すと、やわらかく微笑む。
「アオとレイは部屋に戻って、ちゃんと話し合って。あとの処理は僕たちでやるから」
アオは一瞬ためらったが、レイの腕に導かれるように立ち上がる。
「……レイ」
「行こう」
二人は言葉少なに頷き合い、そのままプライベートルームへと戻っていった。
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