目線の先には。僕の好きな人は誰を見ている?

綾波絢斗

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4 離れる決意

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朝の光が、カーテンの隙間から少しずつゆっくりと差し込んできて、
部屋全体を柔らかく、まるで温もりを持つかのように照らし出している。

陸はまだ深い眠りの中にいるようだけれど、
僕のことを抱き枕のようにしっかりと、強く抱きしめている。
その寝顔は無防備で、警戒心のかけらもない。
昨夜の二人の間に漂っていた独特な空気を思い出すと、胸の奥がじんわりと熱くなる。

目を合わせてしまえば、きっとまた胸が締め付けられる――
息苦しくなる感覚に襲われそうで、怖くなる。
だから、気づかれないように、そっと陸の腕から抜け出そうとする。

「……おはよう、湊」

まだ寝ぼけた、少しかすれた声がすぐそばから耳に届く。
反射的に振り向くと、陸も僕をじっと見つめていて、視線がぶつかる。

「おは……」
言葉を途中で途切れさせて、慌てて視線を逸らす。
昨日の夜に起こったことが、鮮明に頭に残っているからだ。

「告白しそうになった自分」と、「気づかれないよう耐えた自分」。
二つの相反する感情が胸の奥で絡み合い、もどかしさと恥ずかしさで耐えられなくなる。
今すぐこの場から逃げたくなった。

「もうちょっと寝たい」
何も知らない陸は、力強く僕を抱き寄せ、また静かに目を閉じた。
唇までの距離は数センチ、指先ほどしかない。
跳ね上がる心臓の音を、僕は必死に抑える。

「俺、湊といると本当に安心するんだ」
ぎゅっと抱きしめながら、無邪気に言う。
僕のことなんて何とも思っていない――ただの友達としか考えていないからこそできる距離感。
その冷たい事実が、胸に深く突き刺さる。

でも、この距離感、この関係を失いたくない自分もいる。
もし陸が花井さんと距離を縮めていったら、
僕のことから少しずつ離れていったら、僕はどうなってしまうのだろう。

もう今のうちに、傷が深くなる前に離れるべきなのかもしれない――
そう、心の奥でそっと思った。
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