転生して捨てられたけど日々是好日だね。【二章・完】

ぼん@ぼおやっじ

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第二章・リウ君のそこそこ平穏な日常

第2話 さあ、出発だ!

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第2話 さあ、出発だ!


「まあ、りうってばまだ10歳なのに…速すぎるんじゃないかしら…」

「なに心配はいらないのである。リウは賢い子だ。それに公都に同行させるということはリウに広い世界を見せたいという師匠の親心。
 良い機会なのである」

 僕の公都行きの話を聞いておかあちゃんは心配そうにちょっと眉を顰め、父さんは誇らしげに胸を張った。

 ちなみに公都行きというのは大医王マシス・ノヴァ爺ちゃんのお仕事のことだ。
 マシス爺ちゃんは最近この村で暮らしているけどちゃんとこの国(名前知らない)の公爵さまで、自分が治める領地があるんだって。
 大きな町とその周辺らしい。医術の聖地みたいな町らしいね。
 どんな処かは詳しくは知らないんだけど、今は爺ちゃんの高弟と言われる人たちが何人かで回しているらしい。
 でも爺ちゃんの領地であることは間違いないし、責任もあるっていうんで春から夏にかけて3か月ぐらいそっちでお仕事してる。

 それに同行しなさいって話だね。

 大都会っていうのは生まれて初めてだからちょっと興味がある…いえ、すみません、むっちゃワクワクしてます。
 出発は半月ぐらい後だね。わーい。

「となると支度をしなくっちゃ」

 せっせせっせ。

「りう、なにをしているの?」

「え? 荷物を詰めているよ?」

「…それってステフのオムツよね」

「うん、半月後って言ってもまだオムツ無しは無理だよ。ちゃんと準備しないと」

「「「・・・・・・・・」」」

「うわーん、やだーーーーーっ、すてふといっしょがいいーーーーーーっ」

「無理です!」

 ああ……くそう、ステフの荷物を取り上げられてしまった。
 まあ、連れていけるとは思っていなかったけどね、それでもステフと一緒がいいんだとアピールせずにはいられないんだよ。

「あーにー」

「うううっ、ステファニア、兄ちゃんは寂しいです。兄ちゃんのこと忘れちゃいやだよ」

「うあー」

 ああ、なんという愛らしい笑顔、こんなにかわいい赤ん坊がこの世にいるとは、マジ天使、よだれすごいけど。あと分かってないけど。

《キャーですよー》

 あっ、しーぽんが捕まった。

《しんみりした空気に油断したですよー、助けてーですよー》

 えー、でもステフが喜んでいるからなあ…

《ブルータスお前もかーですよー》

 あー、ここら辺は地球のサブカルに詳しい神様の影響かな。割としょうもない情報集めるの好きな神様だし。

《いやー、それほどでもー》byダイラス・ドラム神

「ん? なんか?」

 まあ、とりあえず今日はステフから離れないぞっと。

「うえーい」

 そうそう、そんな感じ。

《どんな感じですよー》

◇・◇・◇・◇

 冗談はさておき、いや、ステフラブはマジなんだけど、俺も子供じゃないからね《10歳ですよ?》、やるベきことはやる。

 今日はお勉強の日なのだ。

 うちの師匠は『大医王』なんて呼ばれている。それは正式な『職称号クラスコード』なんだけど、同時に爺ちゃんの今までの活動に対する人々の敬意でもあるんだ。
 かっとんだ爺ちゃんだけど尊敬されている。
 そんでその原点がどこにあるかというと『大賢者』という存在に端を発する。らしいんだ。

 その大賢者って人はマシス爺ちゃんがまだ若かったころに大活躍したすごい人で、医術の系譜とか、技術者の系譜とか、武術の系譜とかいろいろのものの始祖に当たる人だったりするんだって。
 なんかすごいよね。

 マシス爺ちゃんはその大賢者のお弟子さんの一人で、大賢者さんに医学のことを叩き込まれたって言ってた。
 そんで大賢者さんからたくさんの遺品や書物を、大賢者さんが記した書物を受け継いでいるんだ。
 アベンチュリンさんの愛してやまない魔動車とかもその一つだね。

 確かにあれはすごい発明だと思う。僕は以前、これを作った人は地球の知識を持った人だ。と言ったことがあるけど、大当たりだった。
 一門のライフワークの一つとして大賢者の残した書物の解読というのがあってね、正式に門人つまり一門に迎えられるとその解読を手伝わされるんだよ。
 僕も手伝っていたりするんだ。それば修業であり、義務なんだ。

 そして見てびっくり。
 大概のものはこの世界の言葉で書かれているんだけど、ごく私的なもの、だと思うんだけど一部の書物は何と日本語で書かれていたりするんだ。
 つまり大賢者さんは日本人だったんだ。

 この世界では当然謎文書になるよね。

 なので一門の弟子たちは大賢者の偉業を知るという意味もあってそのよくわからない暗号を読み解く努力をせねばならないのだーーーっ。

 僕? 当然読めますよ。
 日本語って複雑怪奇だからね。おまけに大賢者の人はちょっと昔の人みたい。言い回しが古臭くて、しかも漢字が多い。
 僕でも読むのちょっと大変。

 そりゃこの世界の人には難解の極みだと思う。

 そしてなんで日本語で書かれているか、というと、読んでみると一目瞭然で、この書物。一言でいうとあれだ。かなり私的なメモ書き見たいな存在ものなんだと思う。もっと言うと『僕の考えた最強兵器』とか『僕の考えた無敵戦車』とかそう言った感じの落書きでした。

 俗にいう黒歴史だね。

 これは確かにみんなが読める形では残せない。でも僕には読める。
 偶然だと思うけど大賢者グッジョブ。

 今風に言えば『俺のパソコンをお風呂に沈めて電気を流してくれ…ガク』みたいなやつだよ。

 まあ、全体としてはそういうものなんだけど、価値自体もすごくって、いろいろなものの設計図とか概略図とかたぶん記憶にあるものを書き留めていたんだと思うんだけどそういうのもあって、たぶんちゃんと読んだら宝の山みたいなものだと思うよ。

 具体的に言うとトンプソン・サブマシンガンの設計図とか、コルト・SAA《シングル・アクションアーミー》とか、T型フォードとかそんなものの情報満載。

 年代的にある程度の所に収まっているから、たぶんそんな時代の人なんだと思う。
 そして技術者もしくは研究者で、しかも軍関係にかかわりの深い人。
 なんと戦車の基本構造とかもあったんだ。これって普通に軍事機密だったと思う。大砲の作り方とか火薬の調合の仕方とか。

 詳しく調べればたぶん再現できるかな。この世界風の魔道具みたいにして。
 トンプソンとかロマンを感じるよね、ドラムマガジンだ。いえー。

 まあ、10歳の僕だとサイズ的に使えないんだけど、そこんところを重点的に読み解いてます。ああ、早く大きくなりたい。

 あっ、因みに大賢者さんの発明品はそれにとどまらず、前述のマヨとか醤油とか味噌とかの基礎もこの人の発明だった。実にいい仕事をしている。それだけでも彼を尊敬できそうな気がするさ。

 ありがとうおいしいご飯よ。
 大賢者とかより絶対そっちの方がすごいよ。

◇・◇・◇・◇

 そんなわけで半月後僕たちは村を旅立った。そして公都に向かっていた。
 もっと言うと魔動車でかっとんでいた。

 運転しているのはマシス爺ちゃんなんだけど。本当にすごいスピードで景色が後ろに吹っ飛んでいく。クラッシックカーなのに。

 しかもこの魔動車結構手が込んでいて、なんとステレオ付きだったりするんだ。
 と言っても記録されている音楽は三曲だけで、そのどれかを選んで流す感じだね。

 現在かかっている曲はロックだ。
 軽快なギターのリズムが気分を盛り上げる。

 運転しているのがアメリカンでヤンキーなジジイだからベストマッチ。
 ここが太陽輝く西海岸だったりしたらみんな納得だとおもう。
 ちなみにマシス爺ちゃんのリーゼントと黒のグラサンは風にもびくともしない。これも理屈がわからない。うん。

 あと同乗しているのはニニララさん。テンテン姉のお父さんだね、リアル●ルバニアな獣人の人で凄腕の斥候《スカウト》だ。

 もう一人が剣士のラウールさん。彼も爺ちゃんのお弟子の一人。ちょっと年配の人で、あんまりお付き合いはないんだけどこの人も結構な達人だと思う。
 なんのって剣の。
 美髯を整えた洒落者で、テンガロンハットかぶったカウボーイな人だ。でも剣士だよ。

 あと一人、こちらは女の人でフウカさん。
 美人のお姉さんだ。20代後半ぐらい。おかあちゃんと同じぐらいかな。
 一言でいうと色っぽいお姉さんだね。
 いつもトロンとネムそうにしている人なんだ。
 スレンダーなのにオッパイとかお尻とか立派。とっても立派。

 村の男どもなんかフウカ姉ちゃんが通ると前かがみになってるんだぜ。男ってバカばっか。

 そのフウカ姉ちゃん扇子を持っていて、でもその扇子が金属とか宝石とかで補強されていて、殴られたらとっても痛そう。
 彼女も爺ちゃんのお弟子の一人だ。
 …まともなひとがひとりもいないよー。

 僕は後部座席でニニララさんとフーカさんに挟まれている。みんなスリムだからね三人で余裕。
 ちなみにしーぽんは頭の上だ。
 うあー、全ての方向がふさがれてる。うふふふふっ。

 ちなみに父さんはいない。

「吾輩にはギルドマスターとして仕事がある故な」

 とか言って頭をなでてくれたけど、父さんが乗ると二人乗れなくなるからだと僕は思う。
 そうそう忘れてた。村に新たに作られた冒険者ギルド支部のギルドマスターは父さんが就任したんだ。
 父さんも真面目だからね。僕たちも新しいギルド会館の二階に引っ越したりしてます。いつでも仕事ができるから。
 少しは休めコンチクショウ!

 寂しいかって? もちろん寂しい。
 ステフがいないから。ステフ成分はたっぷり補充してきたけど、三か月だろ? 絶対足りなくなるんだよね。ステフニウムとかいうやつが。

 父さんは関係ないよ。

「ね~え、前になにかいるわよ~」

 そんなことを考えていたらフウカ姉さんが僕にのしかかるようにして前を指さした。
 別にのしかかる必要はないと思う。そんな必要は全然ない。
 もっと言うとおっぱいが邪魔。重い。乗っけるな!

「ああん、りうたんのHぃ~」

 押しのけたら変な声だすし。

「フウカ姉は痴女だとおもう」

「ああん、リウたんの言葉攻め、すごいわ~」

 くねくねすんな。フウカ姉は子供の教育にくないと思う。
 あとおもい、マジで重い。オッパイ邪魔。
 文句を言ってやろうと思ったら…
 
「おっ、なんだ盗賊か? 
 ひゅーっ、面白れぇじゃねえか」

 次の瞬間車がぐんと加速した。
 ジジイはもう少し落ち着きを持つべきだと思います。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 二章二話をお届けします。
 リウ君は元気に旅立ちました。どんな旅行になるんでしょうか?
 私気になります。

 もし同じように気になるという方は応援かお願いします。
 本当に力が湧いてくるんです。
 小説のことだけではなくて。
 作者は皆様の喜びで生きています。

 それでは次回もよろしくお願いします。

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