24 / 57
第二章・リウ君のそこそこ平穏な日常
第4話 爺ちゃんは極悪非道だ!
しおりを挟む
第4話 爺ちゃんは極悪非道だ!
うーん、おデブ子爵じゃ失礼かもしれないな。えっと、なんだっけ。くっ? くく? …クプクプ子爵か。たぶんそんなのだった。
彼の運命を思うと涙がちょちょ切れるよね。
爺ちゃんは確かに公爵だけど特務公爵だそうで、それがどのぐらい偉いのかよくわからないから何とも言えないのだけど…
「あら~、マシスさまはもともと公爵様よ。特務が付いているのは治療厚意に関しては王様よりすごいぞってことなの~」
「えー、すごすぎない?」
「まあ、すごいんだ」
なんと、爺ちゃんは普通の公爵プラス特務公爵だったのか。話を聞いたら治療行為のためならば王様をぼこぼこにしてもいいんだって。
なるほど、どんなに偉い人も医者のいうことはきくべきだってことなんだな。
でも王様を治療するために王様をぼこぼこって…意味あるのか?
でも今はそれは関係ない。問題はクプクプさんだ。クプクプさんはじいちゃんを前にして真っ青になってガタガタ震えている。
でもまだ目が死んでいなかった。
「わわわわ、私は、勇者さまをよう、擁する。その、シュメルクローテ公爵家の派閥に属するもので、たっ、たとえ、大医王…様であろうとも、このような仕打ちを受けるいわれはなななない」
強気なのか弱気なのかよくわからないツッパリだ。
虎の威を借る狐という感じ。
「ふん、それがどうした。
勇者なんぞ功績を上げて初めて敬われるのだ。未熟なガキになんの権威がある」
でも爺ちゃんに鼻で笑われたよ。
「それにおめえ、わかってねえだろここで無礼うちになる貴様らに、あのろくでなし公爵の権威など何の意味もねえぜ」
爺ちゃんが椅子でふんぞり返り、ニニララさんがナイフでクプクプさんの頬をぺちぺち叩いた。これは絶対貴族の所作ではないな。
さらにこの人たち普通じゃないからね。
ニニララさんはそのまま鋭いナイフをクプクプさんの太ももに〝どすっ〟とぶっさしたわけさ。
「ひぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!! いだいいだいいだいいだいああぁぁぁぁっ」
足を押さえて転げまわるクプクプさん。
護衛の中にも真面目な人がいたみたいで動き出そうとしたんだけど。
「あらあらだめよ、お悪戯《いた》をしたならちゃんと反省しないと」
次の瞬間その人たちは手とか足が変な方向に曲がっていたりするのだ。
いやー、フウカ姉ちゃんこわいわー、まじこわいわー。
「よっしゃ、リウ、練習だ。魔法使っていいから治したれ」
うんやっぱりこうなった。
良く村の近くの獣相手とかだとやるんだよねこれ。
「でも僕の魔法は秘密だったのでは?」
だから魔法での治療は獣相手しかやったことないんだよね。
「大丈夫。こいつらはぜったに裏切らねえから」
あー、はいはい、つまりこの人たちは二度と逆らう気が出なくなるまで痛めつけられるわけね。かわいそうに。
僕は順番にけが人を治療していく。
もちろん本当の意味では魔法は使えないので、魔素治療だよ。
魔素使って傷口を張り合わせる。そのうえで患部に魔素を注ぐと傷はきれいに治るのだ。
魔素は生命の根源だから。
骨折も治す。
フォースハンドで折れた骨をもとの位置に戻すんだ。体の中にも手を伸ばす感じでね。ちゃんと骨を元に戻して魔素を注ぐわけさ。回復をイメージしてね。
すると魔素は回復魔法のように回復力をブーストしてすぐに傷が治っていく。
魔素は万物の根源だからね、どんなことをして欲しいかイメージするとちゃんとそれなりに作用するんだ。
どうしようもなく壊れたところは魔素を使って疑似的に肉体を再建する。そうすると一見治ったように見えて、実は時間経過で定着していく。どうせばれないんだからそこら辺も練習させてもらおう。
そんで僕が直す尻からけが人が量産されるわけ。
フウカ姉ちゃんは体術が得意な人だ。合気道見たいなものらしい。関節技とか。
そこに医学知識を盛り込んで的確に人体を破壊したりするわけさ。
それって何か間違っているような気が…
あとね、扇子が凶悪。
金属と宝石で出来たキラキラ奇麗な扇子なのに岩とか砕けるんだぜ。腕とかぽっきりだ。
うちのメンバーまともな人がいないぜ。
だもんだから。
「申し訳ございません、もう、二度と、このような生意気な口は叩きません、お許しください」
傷を治されたクプクプさんが、米つきバッタみたいに地面に頭を叩きつける勢いで謝っている。
心もぽっきり折れたみたい。
「おう、そうかよ、ちったあ分かったみてえだな」
「はっ、はいはい、それはもう」
たった一度の怪我と回復で平身低頭するクプクプさんはメンタル弱すぎだと思います。
だけど爺ちゃんの性格はとても悪いぞ。
「だがまだ反省がたらんな。
リュメルクローテってのはせがれが勇者の加護を与えられたってんで調子こいてるバカ野郎だろ。
ずいぶん人様に迷惑かけているらしいじゃねえか、てめえもいい話は聞かんぜ」
「ひい」
メンチ切りながらずいっと顔を近づけます。
「許してくれ~なんて言ってる段階じゃ、全然反省なんぞしてねえってこった。
自分の罪が分かってんなら自分が許されるべきじゃねえってことぐらいわかりそうなもんだからよ。
きっちり反省ができるようになるまで俺が性根を叩きなおしてやるぜ。なあ」
なあとか言ってるけど治すのは僕の仕事だよね。たぶん。
少しは手伝ってくれるといいなあ。
とか思ってたら爺ちゃん腰のベルトに手を伸ばしてそれを取り出した。
なるほどそう来たんだね、それだったら思いっきりやっていいぞ。わーいやれやれー。
「あれってリウたんが作ったやつよね~?」
「うん、そう」
爺ちゃんが腰のベルト、ぶっちゃけちゃうとホルスターから抜いたのは『コルトSAA』と呼ばれる拳銃だった。あっ、本物じゃないからばったもん?
勿論フウカ姉が言った通り僕が作ったんだ。
大賢者さんの残した資料に細かい設計図があったあれやこれやの一つになります。
一つ一つの部品を丁寧にビルドアップで粒子を積み上げて作って、組み立てたんだよ。
すごく時間がかかったけど、その代わりにかなり安定した作品になった。精密機械を作る練習にちょうどよかったよ。
次からはもうちょっと手抜きができると思う。
完成した途端に爺ちゃんに持っていかれたけどね。まあ、僕の小さい手じゃ持てないからいいんだけどさ。
さて、この銃、地球では有名な銃だよね、かなり古い銃なので構造的にまだまだという感じはあるけど、『ピースメーカー』なんて呼ばれて愛された拳銃だ。
僕の作ったそれも構造は地球のそれとほとんど同じ。
違うのは銃弾の発射に魔法が使われることだろうね。
秘密はハンマーとシリンダーと薬莢。
薬莢に弾をはめ込んで使うのはおんなじなんだよね。でも火薬とか使わない。それはシリンダーに刻印された魔法陣が肩代わりします。
薬莢の中には小さい魔石が入っていて、ハンマーが雷管を叩くとこの魔石が魔力になって流れ出すのだ。
流れた魔力はシリンダーに刻印された爆発の魔法陣を作動させ、シリンダー内部、つまり、薬莢の内部で莫大な圧力を発生させるのだ。
薬莢は魔力の供給減であり、同時にこの圧力を後ろに逃がさないためのものだったりする。
この圧力は当然に銃弾を勢いよく撃ちだしてくれて、だからこれが銃として機能するわけだ。うんうん、大賢者さんはいい仕事している。
完成させた僕の腕も大したものだと思うよね。
でも構造がピースメーカーだからね、よく知られている拳銃よりも手間がかかる。
ハンマーはいちいち自分で起こさないといけないし、撃ったらイジェクターロッドという、銃身の横についた棒でいちいち薬莢を押し出さないといけない。
装填はその逆で一発ずつ詰めて蓋をする感じになる。
僕から見るとロマンという観点以外ではあまり使い勝手のいいものじゃないとおもう。
でも、ここにいるのはその大賢者さんの系譜の人たち。大賢者さんのロマンが現実になったとなるともう大喜び。
だから爺ちゃんも大喜び。大喜びで凶行に走ってるぜ。
爺ちゃんは銃を気軽に構えるとバスン、バスンと二発撃った。
クプクプさんの足に向けて。
「ひぎゃーーーーーーーーーーーーっ」
「ひいっ」
クプクプさんの悲鳴を聞いてうめき声を上げた護衛や使用人の人たち。当然だよね、この暴挙だもん。
でも慈悲はないのだ。
声を上げた何人かも爺ちゃんの凶弾に倒れた。
バスンバスン。本当に容赦がない。
「よっしゃ、治したれ」
はいはい。
そんで僕が治療するんだよね。いい練習だよ。
その間に爺ちゃんは次の弾を装填している。うん、なかなかかっこいいな。
その弾はというと、途中僕のことを人質に取ろうとした男の体に全弾ぶち込まれたけど。
爺ちゃんちゃんと急所外してうってます。
「ふいー」
治療を終わって額の汗をぬぐう。
治療ってちょっと気を使うよね。
「ねえねえ、あれって~、結構使える?」
「ううん、ぜんぜん」
興味深そうにフウカ姉ちゃんが聞いてきた。でも僕はきっぱりと否定した。
「あれは玩具。ほとんど役に立たないよ」
「そうなの?」
そうなのだ。
まあ、ちょっとした魔獣なら仕留められるけど魔物ってかなり強力な生き物なのだ。上位の魔物だとほとんど効かない。
じゃあ人間は? というはなしになるんだけどこれも中途半端。
地球で剣だとか鎧だとかが使われなくなったのは銃が台頭してきたからだって読んだことがある。つまり鎧や盾の性能の問題なんだよね。
この世界の鎧や盾、魔物素材で作られたそれらはかなり高性能で、ピストル弾ぐらい、弾いちゃうのが結構ある。
つまりチンピラとかの防御力捨ててる人には有効だけども一流の装備を持った人間、上位冒険者とか騎士とかには効かないのだ。
だから中途半端。
だからこの世界では普及しなかったんだと思う。
誰でも弱めの程度の魔物を倒せるようになるっていうのはすごい事なんだけどね、そんなこともできないような冒険者は拳銃を入手できるようなお金は持ってないと。
「というわけで趣味のものだと思う」
「そっか~、でもかっこいいよね~」
「じゃあ今度フウカ姉ちゃんにデリンジャーを作ってあげるね」
あれも構造単純だからね。
スカートをめくって太ももからデリンジャーを…
うん、危険だ。
よし、やって見よう。
「おう、りう、治療だ」
「はーい」
彼らの地獄はまだ続くのだ。
うーん、おデブ子爵じゃ失礼かもしれないな。えっと、なんだっけ。くっ? くく? …クプクプ子爵か。たぶんそんなのだった。
彼の運命を思うと涙がちょちょ切れるよね。
爺ちゃんは確かに公爵だけど特務公爵だそうで、それがどのぐらい偉いのかよくわからないから何とも言えないのだけど…
「あら~、マシスさまはもともと公爵様よ。特務が付いているのは治療厚意に関しては王様よりすごいぞってことなの~」
「えー、すごすぎない?」
「まあ、すごいんだ」
なんと、爺ちゃんは普通の公爵プラス特務公爵だったのか。話を聞いたら治療行為のためならば王様をぼこぼこにしてもいいんだって。
なるほど、どんなに偉い人も医者のいうことはきくべきだってことなんだな。
でも王様を治療するために王様をぼこぼこって…意味あるのか?
でも今はそれは関係ない。問題はクプクプさんだ。クプクプさんはじいちゃんを前にして真っ青になってガタガタ震えている。
でもまだ目が死んでいなかった。
「わわわわ、私は、勇者さまをよう、擁する。その、シュメルクローテ公爵家の派閥に属するもので、たっ、たとえ、大医王…様であろうとも、このような仕打ちを受けるいわれはなななない」
強気なのか弱気なのかよくわからないツッパリだ。
虎の威を借る狐という感じ。
「ふん、それがどうした。
勇者なんぞ功績を上げて初めて敬われるのだ。未熟なガキになんの権威がある」
でも爺ちゃんに鼻で笑われたよ。
「それにおめえ、わかってねえだろここで無礼うちになる貴様らに、あのろくでなし公爵の権威など何の意味もねえぜ」
爺ちゃんが椅子でふんぞり返り、ニニララさんがナイフでクプクプさんの頬をぺちぺち叩いた。これは絶対貴族の所作ではないな。
さらにこの人たち普通じゃないからね。
ニニララさんはそのまま鋭いナイフをクプクプさんの太ももに〝どすっ〟とぶっさしたわけさ。
「ひぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!! いだいいだいいだいいだいああぁぁぁぁっ」
足を押さえて転げまわるクプクプさん。
護衛の中にも真面目な人がいたみたいで動き出そうとしたんだけど。
「あらあらだめよ、お悪戯《いた》をしたならちゃんと反省しないと」
次の瞬間その人たちは手とか足が変な方向に曲がっていたりするのだ。
いやー、フウカ姉ちゃんこわいわー、まじこわいわー。
「よっしゃ、リウ、練習だ。魔法使っていいから治したれ」
うんやっぱりこうなった。
良く村の近くの獣相手とかだとやるんだよねこれ。
「でも僕の魔法は秘密だったのでは?」
だから魔法での治療は獣相手しかやったことないんだよね。
「大丈夫。こいつらはぜったに裏切らねえから」
あー、はいはい、つまりこの人たちは二度と逆らう気が出なくなるまで痛めつけられるわけね。かわいそうに。
僕は順番にけが人を治療していく。
もちろん本当の意味では魔法は使えないので、魔素治療だよ。
魔素使って傷口を張り合わせる。そのうえで患部に魔素を注ぐと傷はきれいに治るのだ。
魔素は生命の根源だから。
骨折も治す。
フォースハンドで折れた骨をもとの位置に戻すんだ。体の中にも手を伸ばす感じでね。ちゃんと骨を元に戻して魔素を注ぐわけさ。回復をイメージしてね。
すると魔素は回復魔法のように回復力をブーストしてすぐに傷が治っていく。
魔素は万物の根源だからね、どんなことをして欲しいかイメージするとちゃんとそれなりに作用するんだ。
どうしようもなく壊れたところは魔素を使って疑似的に肉体を再建する。そうすると一見治ったように見えて、実は時間経過で定着していく。どうせばれないんだからそこら辺も練習させてもらおう。
そんで僕が直す尻からけが人が量産されるわけ。
フウカ姉ちゃんは体術が得意な人だ。合気道見たいなものらしい。関節技とか。
そこに医学知識を盛り込んで的確に人体を破壊したりするわけさ。
それって何か間違っているような気が…
あとね、扇子が凶悪。
金属と宝石で出来たキラキラ奇麗な扇子なのに岩とか砕けるんだぜ。腕とかぽっきりだ。
うちのメンバーまともな人がいないぜ。
だもんだから。
「申し訳ございません、もう、二度と、このような生意気な口は叩きません、お許しください」
傷を治されたクプクプさんが、米つきバッタみたいに地面に頭を叩きつける勢いで謝っている。
心もぽっきり折れたみたい。
「おう、そうかよ、ちったあ分かったみてえだな」
「はっ、はいはい、それはもう」
たった一度の怪我と回復で平身低頭するクプクプさんはメンタル弱すぎだと思います。
だけど爺ちゃんの性格はとても悪いぞ。
「だがまだ反省がたらんな。
リュメルクローテってのはせがれが勇者の加護を与えられたってんで調子こいてるバカ野郎だろ。
ずいぶん人様に迷惑かけているらしいじゃねえか、てめえもいい話は聞かんぜ」
「ひい」
メンチ切りながらずいっと顔を近づけます。
「許してくれ~なんて言ってる段階じゃ、全然反省なんぞしてねえってこった。
自分の罪が分かってんなら自分が許されるべきじゃねえってことぐらいわかりそうなもんだからよ。
きっちり反省ができるようになるまで俺が性根を叩きなおしてやるぜ。なあ」
なあとか言ってるけど治すのは僕の仕事だよね。たぶん。
少しは手伝ってくれるといいなあ。
とか思ってたら爺ちゃん腰のベルトに手を伸ばしてそれを取り出した。
なるほどそう来たんだね、それだったら思いっきりやっていいぞ。わーいやれやれー。
「あれってリウたんが作ったやつよね~?」
「うん、そう」
爺ちゃんが腰のベルト、ぶっちゃけちゃうとホルスターから抜いたのは『コルトSAA』と呼ばれる拳銃だった。あっ、本物じゃないからばったもん?
勿論フウカ姉が言った通り僕が作ったんだ。
大賢者さんの残した資料に細かい設計図があったあれやこれやの一つになります。
一つ一つの部品を丁寧にビルドアップで粒子を積み上げて作って、組み立てたんだよ。
すごく時間がかかったけど、その代わりにかなり安定した作品になった。精密機械を作る練習にちょうどよかったよ。
次からはもうちょっと手抜きができると思う。
完成した途端に爺ちゃんに持っていかれたけどね。まあ、僕の小さい手じゃ持てないからいいんだけどさ。
さて、この銃、地球では有名な銃だよね、かなり古い銃なので構造的にまだまだという感じはあるけど、『ピースメーカー』なんて呼ばれて愛された拳銃だ。
僕の作ったそれも構造は地球のそれとほとんど同じ。
違うのは銃弾の発射に魔法が使われることだろうね。
秘密はハンマーとシリンダーと薬莢。
薬莢に弾をはめ込んで使うのはおんなじなんだよね。でも火薬とか使わない。それはシリンダーに刻印された魔法陣が肩代わりします。
薬莢の中には小さい魔石が入っていて、ハンマーが雷管を叩くとこの魔石が魔力になって流れ出すのだ。
流れた魔力はシリンダーに刻印された爆発の魔法陣を作動させ、シリンダー内部、つまり、薬莢の内部で莫大な圧力を発生させるのだ。
薬莢は魔力の供給減であり、同時にこの圧力を後ろに逃がさないためのものだったりする。
この圧力は当然に銃弾を勢いよく撃ちだしてくれて、だからこれが銃として機能するわけだ。うんうん、大賢者さんはいい仕事している。
完成させた僕の腕も大したものだと思うよね。
でも構造がピースメーカーだからね、よく知られている拳銃よりも手間がかかる。
ハンマーはいちいち自分で起こさないといけないし、撃ったらイジェクターロッドという、銃身の横についた棒でいちいち薬莢を押し出さないといけない。
装填はその逆で一発ずつ詰めて蓋をする感じになる。
僕から見るとロマンという観点以外ではあまり使い勝手のいいものじゃないとおもう。
でも、ここにいるのはその大賢者さんの系譜の人たち。大賢者さんのロマンが現実になったとなるともう大喜び。
だから爺ちゃんも大喜び。大喜びで凶行に走ってるぜ。
爺ちゃんは銃を気軽に構えるとバスン、バスンと二発撃った。
クプクプさんの足に向けて。
「ひぎゃーーーーーーーーーーーーっ」
「ひいっ」
クプクプさんの悲鳴を聞いてうめき声を上げた護衛や使用人の人たち。当然だよね、この暴挙だもん。
でも慈悲はないのだ。
声を上げた何人かも爺ちゃんの凶弾に倒れた。
バスンバスン。本当に容赦がない。
「よっしゃ、治したれ」
はいはい。
そんで僕が治療するんだよね。いい練習だよ。
その間に爺ちゃんは次の弾を装填している。うん、なかなかかっこいいな。
その弾はというと、途中僕のことを人質に取ろうとした男の体に全弾ぶち込まれたけど。
爺ちゃんちゃんと急所外してうってます。
「ふいー」
治療を終わって額の汗をぬぐう。
治療ってちょっと気を使うよね。
「ねえねえ、あれって~、結構使える?」
「ううん、ぜんぜん」
興味深そうにフウカ姉ちゃんが聞いてきた。でも僕はきっぱりと否定した。
「あれは玩具。ほとんど役に立たないよ」
「そうなの?」
そうなのだ。
まあ、ちょっとした魔獣なら仕留められるけど魔物ってかなり強力な生き物なのだ。上位の魔物だとほとんど効かない。
じゃあ人間は? というはなしになるんだけどこれも中途半端。
地球で剣だとか鎧だとかが使われなくなったのは銃が台頭してきたからだって読んだことがある。つまり鎧や盾の性能の問題なんだよね。
この世界の鎧や盾、魔物素材で作られたそれらはかなり高性能で、ピストル弾ぐらい、弾いちゃうのが結構ある。
つまりチンピラとかの防御力捨ててる人には有効だけども一流の装備を持った人間、上位冒険者とか騎士とかには効かないのだ。
だから中途半端。
だからこの世界では普及しなかったんだと思う。
誰でも弱めの程度の魔物を倒せるようになるっていうのはすごい事なんだけどね、そんなこともできないような冒険者は拳銃を入手できるようなお金は持ってないと。
「というわけで趣味のものだと思う」
「そっか~、でもかっこいいよね~」
「じゃあ今度フウカ姉ちゃんにデリンジャーを作ってあげるね」
あれも構造単純だからね。
スカートをめくって太ももからデリンジャーを…
うん、危険だ。
よし、やって見よう。
「おう、りう、治療だ」
「はーい」
彼らの地獄はまだ続くのだ。
33
あなたにおすすめの小説
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
神々に見捨てられし者、自力で最強へ
九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。
「天職なし。最高じゃないか」
しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。
天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
狼になっちゃった!
家具屋ふふみに
ファンタジー
登山中に足を滑らせて滑落した私。気が付けば何処かの洞窟に倒れていた。……しかも狼の姿となって。うん、なんで?
色々と試していたらなんか魔法みたいな力も使えたし、此処ってもしや異世界!?
……なら、なんで私の目の前を通る人間の手にはスマホがあるんでしょう?
これはなんやかんやあって狼になってしまった私が、気まぐれに人間を助けたりして勝手にワッショイされるお話である。
ダンジョン美食倶楽部
双葉 鳴
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。
身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。
配信で明るみになる、洋一の隠された技能。
素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。
一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。
※カクヨム様で先行公開中!
※2024年3月21で第一部完!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる