転生して捨てられたけど日々是好日だね。【二章・完】

ぼん@ぼおやっじ

文字の大きさ
39 / 57
第二章・リウ君のそこそこ平穏な日常

第19話 異変の始まり

しおりを挟む
第19話 異変の始まり


 さて、このシッポタヌキ、なにがけったいかというと尻尾がけったいだった。
 ボディは狸なのよ、普通に。
 そんで尻尾も狸なのよ。ちょっと変わった。  

 どういうことかというと尻尾が胴体よりも一回りぐらい大きくて、しかも模様のせいか狸のように見えるというね。
 しかもそれが三本も生えている。

 つまり見た目は一匹のタヌキのおしりに三匹のタヌキがくっついているように見えるのさ。
 おしりの所を中心に、四方向に狸がいて、『本物はどーれだ?』みたいな感じ?
 しかも。

《これはある種のトカゲと同じで自切できる尻尾ですよー、尻尾を置いて逃げるですよー》

 ということらしい。
 まあたぶんそんなことなんだろうとは思った。  

 でも触ってみるとシッポは芯が通っているだけで、狸に見える部分はすべて毛で出来ている。しかもものすごく上質な毛ですっごいフサフサ。

 しかも風が吹くとさわさわと動いて狸が動いているというか蠢いているようにも見えるのだ。
 確かにこれなら尻尾を切り離せば敵の注意を引き付けられるかもしれない。

《しっぽを切ったばかりだと、自分でうねうね動くですよー》 

 そう言う機能まで! なお、リアルだね。

 でもそのシッポ。芯があるだけなのでまとめるとぐぐっと小さくなる。 

 行動を阻害することはないわけだ。
 多分そういう方向に進化した魔物なのだろう。  

「あの…、尻尾ももらっていい?」  

「どうすんだこんなもん?」 

 振り回して遊ぶのか?
 それともドッキリにつかうのか?   

「売ると高く売れる」  

「ああ、手触りいいもんな。
 分かったいいぞ、もってけ、仲良く分けろよ。
 喧嘩したらクソムシに逆戻りだぞ」  

 さて、解体だ。  

 シッポは根元から切り落とす。
 偽狸が三匹。  

 足を縛って吊りなおしてこれから本格的に解体である。
 教わったよ。 

 まず首を斬る。 

 スパッ! 
 ボトっ! 

「ひぃっ」

 むむっ、この程度で悲鳴を上げるとは軟弱な。 

「よっ、よくきれるないふですね…」 

 ああっ、なるほど、ナイフの切れ味に驚いていたのか、まあ、アダマンタイト製だからな。 

《たぶん違うですよ~》 

 ここからは苦手な人は読まなくてOKだよ。 

 まず手順の説明だね。
 一番、血抜き 
 二番、内臓の処理
 三番、皮はぎ
 四番、解体
 の、順番だ。

 じゃあまず一番の血抜きから。

 血抜きをしないとお肉が生臭くなったりするみたい。これは生物の体の中のもので血が一番腐敗しやすいからなんだって。
 本当はまだ心臓が動いているうちに血抜きをしないとうまくいかないのだけど、今回はナイフの投射で一撃必殺してしまったので最初からご臨終だったから仕方ない。

 それでも木につるしてできるだけ抜きました。あと操魔でぎゅっとして少し頑張りました。
 これが今回の精一杯。

 ここがもし地球だったら、川とか池に放りこんでしばらく冷やさないといけないのだけど、まあそうする人もいるのだけど、ここは魔法の世界だから魔法で代用してしまうケースもある。
 僕も当然、操魔の冷却で全体をヒンヤリする。
 そしたら次は内臓の処理だ。 

 まず、初めに胸から股間までを切開し、胸骨と骨盤を切断します。切り開いた部分から内臓を取り出し、鮮度が良ければ心臓とか肝臓とか食べることもできます。
 でも今回はめんどくさいから全部廃棄。それにこの動物に関するデータがないから無責任なことできません。 

 内臓を取り出して綺麗にしたら次は皮の剥ぎ取りだね。

 足首の所を丸く切って、さらに縦に切り込みを入れ、そこからベリベリと剥がす感じで皮を剥ぎ取ります。
 皮と肉の間に刃を当てて削いでいく感じだね。 

 僕一人でやるのは大変なので、もちろん操魔も総動員します。

 魔素はエネルギーで、それ自体が力場を発生させるので、対象となる毛皮のいたるところに力の作用するポイントが発生するような感じになるんだ。
 大人数で適切な方向に引っ張りながら作業する感じかな。すごくやりやすい。 

 そしたら最後は解体。つまり枝肉に切り分ける作業だよ。ただこれは解説するとちょっとグロくなるから割愛しましょう。 

 というわけで無事、お肉と呼べる枝肉が完成しました。 

 以上。解体終了。
 ここまでね。

「すげー、皮って簡単に剥げるんだー」

「にくうまそー」

「薬草も取れたしはやくかえりてー」 

 うん、さすがこの世界の子供。動物の死骸は死骸じゃなくてお肉です。

 そしてじっと僕を見ています。

 一部誤解が発生したような気もするけど、まあそこまでは知らないよということで。 

「ではとりあえず今日の授業はここまでである。各自肉お持ち帰り、しっかり食って力をつけること。
 以上解散」 

「「「「「軍曹殿、ありがとうございました」」」」」 

 そう言うと子ども冒険者たちは、肉と薬草と毛皮と素材を担いで喜び勇んで町に帰っていった。
 大人冒険者ほったらかしだね。

 いいのか? まあいいか。

 ◇・◇・◇・◇ 

 僕も『ドムドム』しながら家に帰りました。当然僕の方が早いです。
 でも脱走がばれました。
 なぜって、『ニジリュウノツカイ』を出したから。 

「じいちゃん、これいる?」

 は、我ながらなかったと思う。うん、失敗失敗。 

 そんでちょっとは怒られたんだけど、魔塔の魔法使いたちはすごかった。
 石膏版みたいなもので綺麗に型を取り、あっという間に彩色し、立体的な魚拓? を作ってしまった。
 記念品だってさ。

 そしたら次はあっという間に解体し、ニジリュウノツカイは食材にクラスチェンジ。

「ここが一番うまいんだぜ」 

 とか言いながらその日は、なんとお寿司パーティーになった。

 こっちの方ではお寿司とは言わないんだよね。こういうにぎり寿司は『エドマーエ』って言うんだってさ。
 多分江戸前だと思う。

 いろんなネタが用意されて、盛大なお寿司パーティーを満喫した僕だった。
 うわーん、ご飯だー。お寿司だーっ。うれしーっ。

 あれ、そういえばこいつら魔法使いじゃなくて医者じゃなかったか? 

 ◇・◇・◇・◇  

 お腹いっぱいになって、お風呂にゆっくり浸かって、温泉旅行気分でゆっくり休んだ次の日は微妙な喧騒で目が覚めた。 

「あっ、リウたん、起きたんだ」 

 パタパタとフウカ姉ちゃんがやって来た。
 その腕には、デアネィラが抱かれている。 

「おはよう」

「おあよう」(byデアネィラ) 

 デアネィラも昨日、初めてのお寿司をいっぱい食べて、うれしそうにしてたね。
 その後いつもどおりフウカ姉ちゃんと一緒に寝てた。
 フウカ姉ちゃんはおっぱいが大きいからデアネィラちゃんは大好きです。
 最近はいつも穏やかで幸せそうにしているのがとてもいいと思います。 

 うれしそうに手を伸ばしてくるのでフウカ姉ちゃんから受け取ってコアラ抱っこ。 

「姉ちゃん騒がしいけど何かあったの?」 

 フウカ姉ちゃんは眉をひそめた。 

「私もまだはっきりとわからないんだけどー、冒険者ギルドの方で何かあったみたいなのよねー
 夜のうちに緊急の治療依頼があって、それが結構ひどいみたいで医療チームが組まれて、運び込まれてきた冒険者たちの治療が行われているみたいなのー」 

「へー、なんか強いのでも出たのかな?」 

「うーん、結界があるからそんなはずないんだけどなあー」 

 あーそうか、結界があるからあまり強いのは近くに来ないんだった。
 じゃあ一体何なんだろう。 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・

Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・ 転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。 そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。 <script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

狼になっちゃった!

家具屋ふふみに
ファンタジー
登山中に足を滑らせて滑落した私。気が付けば何処かの洞窟に倒れていた。……しかも狼の姿となって。うん、なんで? 色々と試していたらなんか魔法みたいな力も使えたし、此処ってもしや異世界!? ……なら、なんで私の目の前を通る人間の手にはスマホがあるんでしょう? これはなんやかんやあって狼になってしまった私が、気まぐれに人間を助けたりして勝手にワッショイされるお話である。

ダンジョン美食倶楽部

双葉 鳴
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。 身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。 配信で明るみになる、洋一の隠された技能。 素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。 一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。 ※カクヨム様で先行公開中! ※2024年3月21で第一部完!

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

処理中です...