転生して捨てられたけど日々是好日だね。【二章・完】

ぼん@ぼおやっじ

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第二章・リウ君のそこそこ平穏な日常

第27話 始まった山狩りと最初の発見

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第27話 始まった山狩りと最初の発見


 クラウスさんがやってきたので、町の主要な人たちとの打ち合わせが始まる。

 魔物をなんとかするための山狩りなんだけど、驚くほどたくさんの人たちが係わっていた。

 まず公爵領に所属する騎士さんたち。つまりノヴァ公爵家の騎士団だね。
 だから当然その団長が打ち合わせに来ている。
 じいちゃんは公爵なので、突き詰めるとこの集団のトップはじいちゃんではある。

 そしてじいちゃんの弟子たちも参加している。
 神威心闘流の人たちだから基本戦闘力は高い。

 そして爺ちゃんの弟子なので医療関係者が多いわけで、言ってみれば戦闘もできる衛生兵と言えるだろう。

 けが人が出て『メディーーック』とか叫ぶと『隣にいるぞー』とか…うぷぷ。面白い。

 ちなみに騎士団の人たちも爺ちゃんから神威心闘流をならっている。
 ただこれは弟子ということではないようだ。

「騎士団てのはよ、集団での戦闘が基本だからな、個人の武力を突き詰める武術流派とは相性があまり良くねえんだ」

 と、じいちゃんが言っていた。

 騎士というのは、まあ、役割分担はあるんだけど、基本は重装備で、盾を装備して、槍、剣、槌などで集団戦闘をする人たちなので、個人の武勇を鍛えてもあまり意味がないのだそうな。
 神威心闘流は一人で多数の敵と戦うための武術だからね。

 でも基本的な身体能力の上げ方とか、体の使い方とかは優れているので、騎士さんたちの基礎訓練として導入されているらしい。
 日本で言えば警察の人たちがどこかの道場に剣道とか柔道とか習いに行くような感じなのかもしれない。

 そして冒険者たちが参加するので、そのまとめ役であるギルマスのクラウスさんが当然参加している。

 他にも、この街の流通などを管理する商業ギルドのギルドマスターもいたりする。
 完全に非戦闘員だが、山狩りとなると色々必要なものとかもあるので、それを調達する役割の人も必要になるのだ。

 町の有志で結成された自警団の人たちとかもいる。
 彼らは炊き出しなどの後方支援を担当する。他にも町の治安維持とかにも走り回る予定だ。

 彼らの中には町のお医者さんとか、鍛冶屋さんとかもいて、そういった方面でも協力してくれるひともいる。

 こうしてみると本当に軍隊というか、大規模な戦闘をするのにどれだけ手間ひまとお金がかかるのかというのが見ていてよくわかるよね。

 ああ、あともちろんクエルさんも参加している。お弟子さんを連れての参加だが、彼らの扱いは結構難しいようだ。
 魔法使いじゃない人とうまくいかないんだよね。
 クエルさんにくっついてきた魔法使いの中には本気で人を見下しているのもいるみたいだし。
 困ったものだ。

 ◇・◇・◇・◇

 さて、打ち合わせは、町の外に設えられたテントと言うか、陣幕の中で行われたのだ。
 ここは予定でいうところの第一エリアというやつ。

 冒険者たちが森の入り口を索敵し、邪魔なものを掃討し、安全が確保されたエリアに作られた第一拠点というべきものなのだ。
 順次、北に押し上げられて行く予定なのだが、現在はまだ町のすぐ外と言ってもいい辺りにある。

 そして何故か僕もそこに居る。なぜだろう?

「いや、だって、リウを置いてきてもおとなしくしてないだろ? 勝手に抜け出されるより手元に置いて監視した方が確実だってことさ」

 がーん。なんて失礼な、邪魔なんかしないのに。

 ちょっと見物したいだけだ。
 そしてちょっと試してみたいことがあるだけだ。
 できれば前線で魔物と戦ってみて…

 うん、やっぱり爺ちゃんは正しいな。年の功というやつだ。おそれいったぜ。
 まあ、今はおとなしく説明を聞こう。

 ◇・◇・◇・◇ 
 
「さて、現在までの状況だが、まずは冒険者ギルドから。
 諸君らが一番気にしているであろうレッサーマンティコアについてだが、斥候隊が森の中を順次探索しているが、現在まで発見に至っていない」

「森全体ということか?」

 クラウスさんの報告にクエルさんが補足を求める。

「公爵様との相談で、森全体を16のエリアに分けて、斥候隊をだしている。
 第2エリアまでは詳細な調査が終わっている。第3エリアは現在進行中、第三エリアの安全確保が終わり次第、この陣地を一段階押し上げることになっている。

 それとは別に、実力者のみ編成した斥候部隊が森の奥まで侵入している。
 この部隊は詳細な調査ではなく、大まかな異変の把握を優先してもらっている部隊だが、現在は第8エリアまで進んでいると報告を受けている。
 この辺りだな」

 クラウスさんが地図で示したのは森の半分を超えたあたりまでだった。
 とは言ってもあくまでも地図に載っている範囲ということで、地図に載っていない最奥と、その手前あたりは今回の山狩りの対象エリアには入っていないようだ。

 僕は隣に立っているラウールさんに視線を向ける。
 ラウールさんは相変わらず公爵様(じいちゃん)の護衛という形でじいちゃんのそばに侍っている。
 ニニララさんは今話に出た実力者のみの斥候部隊にいて、フウカ姉ちゃんはデアネィラちゃんのお守りということで魔塔に残っていたりします。

『この森はどこまで続いているかわからんし、森の奥は完全に人外領域だからな。それに山狩りと言ってもっても際限なくできるわけじゃない。
 この範囲の安全が確認出来たら御の字。ということだろう』

 うむ、尤もな話だ。

「ただ確かに、この森における魔物の動向に変動が見られる。
 詳しいデータが揃っているのが第2エリアまでだが、少し奥のエリアから魔物が流れている状況が確認できている。
 それにエリア内の群れの動きもおかしい。
 群れの拡散などを考えると…」

 そう言うとクラウスさんはもう一枚の地図を広げる。それは第1エリア第2エリアにおける、魔物たちの生息場所の変動を矢印で記したものだった。

 それは一見ぐちゃぐちゃな矢印に見えたのだ。だがクラウスさんが紙を重ね補足をすると、まるで魚の群れの中心に石を放り込んだときのように、そこから一斉に放射状に魔物が動いたのがみてとれる。

 そして動いた先にまた石を放り込んだかのように魔物が拡散する。

 それを何回か繰り返すと、最初の紙と同じような一見ぐちゃぐちゃな矢印の群れが描き出されるのだ。
 こうなると状況は明白だろう。

「レッサーマンティコアは飛行が得意でないとは言え一応空が飛べるからな。
 弱い魔物の集団を狙って、空から襲撃。
 時間が経ったらまた別の場所を襲撃。
 それを繰り返した結果、このような魔物の乱れた動きが発生したものと考えられる」

「ということは、レッサーマンティコアが、このあたりで活動していることは間違いないってことか」

「やれやれめんどくせえ、となると、目標のレッサーマンティコアを見つけだし、ぶち殺さねぇと事態は収拾しねってことだな」

 じいちゃんがまとめるがまさにそのとうり。
 続けるのがなかなか大変な山狩りを、簡単に終えるわけにはいかないということになってしまったようだ。

 そんな時、外でがやがやと言い合う声が聞こえてくる。
 緊急連絡、そんな言葉が混じっているように聞こえる。

 耳を強化して音を拾う…

「おう、かまわねえ、通せ!」

 うわーい、〝キーン〟てした。
 聴力強化をしたタイミングで大声は出さないでほしい。

「レッサーマンティコアが見つかりました」

 キーンキーンキーン!!

 間に合いませんでした。
 耳を押さえて変な踊りを踊ってしまったよ。

「よし、予定外だが、精鋭部隊を送り込んでレッサーマンティコアの討伐だ」

 騎士団長が気炎を吐く。
 だが、事はそう簡単ではなかった。

「違うんです、そうじゃないんです。
 見つかったのは…」

 報告に駆け込んできた斥候の人の言葉を聞いてそこにいたみんながぎょっとしたのだった。
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