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第一章 異世界暮らし
第23話 シャドウオーガと哀れなレイチェル
しおりを挟むシャドウオーガの攻撃を後退しながら躱す。攻撃の糸口を見つけれない俺は試しにもう一度一文字を放った。そうすると再び「ヒュッ」と消えた。周りを見渡すがどこにもいない。
「ん?」そこで違和感に気づく。ヤツがいた場所に伸びていた影からもこもこっと何かが移動する気配を感じる。
なるほどあいつは影の中に隠れて移動していたのか!それならヤツを影のない場所に移動する………いや もっと良い方法を思いついた。「ニシシ!」
影の気配を追うとそこからポコっと出て来たのを確認する。
シャドウオーガは影を飛ばしてくるが、そこは冷静に受け流し、相手が動き出すのを待つ。
こちらに向って来た。気がついてから見てみるとよく分かる。アイツは影からは出て来ない。いつでも逃げれるように準備をしているわけだ。
よく見るんだあいつの逃場が一箇所しかなくなった時を狙って……………………
………「ここだ!『一文字 一閃』」
予定通りスポンっといなくなった。
さてさて行き先はあそこだな!
来る!『一文字 一閃』
「ズバッと」胸に大きく刻まれる一撃、ダメージを負ったシャドウオーガはフラつきながら逃げる。
影のそばに行くと飛び込むように入った。
しかし!
「種が分かれば大した事はなかったな!」
…………………『破魔のふで払い』
影からシャドウオーガが出て来る。
驚き動揺するシャドウオーガ。
ドトメだ!『一筆書き一閃 乱』
筆の乱れ書きによる連続斬撃でシャドウオーガは黒い煙を吐いて消滅した。
「ふ~危なかった!イレギュラーはもういいつーの」
先の戦いを含めてなんとか生き延びたとホッと一息ついた。
「いや~なかなか有意義な実験だったね!」
「レイチェル、どの辺が有意義なんだよ(怒)」
「え⁉ そうだね~まずは影を使う個体は始めてだし影移動はカッコよかったよね~それからそれから」
「あ!もう良いです。有意義で良かったです……」
レイチェルと俺では感性が違う。
「蒼字(そうじ)さん怪我は?」
「リル大丈夫だよ!今回怪我はほとんどしてないよ。ただ神経すり減らすギリギリの戦いだった。疲れた~」
「あ!疲れたなら休んでく?私の家すぐそこだから」
指を指し「寄ってく」みたいなポーズを取るレイチェル、正直関わりたくない気もするけど疲れて休みたい。
「レイチェル寄らせてもらうよ!」
「了解!久しぶりのお客さんだ~」
スキップをしながら門の方へと歩いていく。
………………▽
ここは20階層、普通ならボスが居そうな場所のはずなのだが、リゾートにでも来たような素晴らしい。山、川、湖………空気が美味しい~
「なんじゃここは………?」
呆然とする俺とリルを気にせずズイズイと進んでいくと可愛らしい家とその隣にいかにも実験棟みたいな建物が立っていた。一瞬不安になったが、可愛らしい家の方に案内してくれた。
家に入ると結構普通、なんか変に期待してしまった自分がいた事に少し恥ずかしくなった。
「本当に久しぶりのお客さんだよ!1年ぶりかな?」
「ここって誰か来るんのか?」
「うん、二人ね!二人共忙しいからなかなか来れないけど友達なんだ~」
話によると二人は幼馴染みで一人は勇者、一人は大魔導師を目指し、今も活躍していると嬉しそうに話してくれた。
………………▽
話は変わりこの場所について聞いてみた。
「あ~そうだよね私は二十階層で暮らしている。目的は発明と術の開発、ここは様々な魔物が居てね。材料にも困らないし実験をしても誰も文句を言わないから良いんだよね~」
「こんな危ない所で良く暮らせるな~。普通なら20階層ってボスがいるんじゃないのか?」
「うん、そうだよ。でもね~出てこれなくしたんだ~すごいでしょ~」
「⁇……そんな事出来るのか?」
「そうなんだよ!私は天才だからね!余裕余裕これについてはまだ色々と不明点があるけどボスが生まれる過程を調べた事でボスを出現させない方法を確立したんだ!偉いだろう!」
凄いけどレイチェルを見ているとそのまま賛辞を送れないのは何故だろう。取り敢えずリルと一緒に拍手しておいた。
「それで、それはどんな方法なんだ?」
「おいおい蒼字(そうじ)くんそんな事、簡単に言える分けないだろ!」
「それはそうですよね!分かりました」
「仕方ないそこまで言うなら教えてあげよう!」
結局聞いてほしんだよね~………
レイチェルはウキウキワクワクしながら語ってくれた。
魔物はダンジョンから生まれる。魔石を核として身体を魔力で生成する。これはボスと言われる魔物も同じで魔力を素に身体ができている。それではどうすれば良いか実に簡単である。魔力が集まらない様にすれば良いだけの事、レイチェルは20階層の至る所に魔力を拡散させる装置を設置してボスの出現を阻止することに成功した。しかしここで疑問が残った。
確かにそうすればボスが現れないとは思うのだが最初にここに来た時にはボスが居たはず、倒したのか?
その疑問にもレイチェルは答えてくれた。先程話に出て来た親友の二人、このダンジョンに初めて潜った時にパーティーを組んで来たらしい。この二人の協力のもと20階層のボスを倒しその後、安住の地を手に入れる為、せっせと装置を作り設置した。
このことからここは安全なのだと安心することができた。そして安心すると腹が減った。「ぐ~」と鳴るお腹の音、食料はまだある程度ある。
レイチェルお腹が減ったんだけど……
「はい!」
「?」
俺の手の上には小さな錠剤が?
「レイチェル、なにこれ?」
「ん?お腹空いたんでしょ!食べていいよ」
「いや、これ」
レイチェルこれで終わらせるのか?
これはあくまでも栄養補助する為の物だぞ!」
「はい!」
「ん~~~‼‼」
目の前には皿いっぱいの錠剤。
「そっか!一個だけだとお腹が膨れないもんね!たくさん食べていいよ!バリバリ、バリバリ」
皿いっぱいの錠剤をスプーンですくって食べている。
レイチェルのその姿を見て俺は哀れに思ってしまった。
「リル~~ご飯だ!いつもよりもうまい飯を作ろう」
リルは無言で頷いた。
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