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プルとベル、二匹の猫だけじゃない。
私はとにかく動物には好かれる。
外を歩けば小鳥が肩に乗り、人間になれていない野生の動物ですら警戒せずに近寄ってくる。
獰猛な肉食動物も、私の前ではただの愛玩動物になる。
理由はよくわからない。
動物に好かれる香りでも発しているのだろうか。
それとも人間に嫌われることを引き換えに、動物には好かれる特別な力でもあるのだろうか。
「ねぇ、どうなの? どうして私を選んだの?」
「みぃー」
「ミャー!」
「ふふっ、わからないわね」
動物の言葉がわかるわけじゃない。
好意を示してくれていることはハッキリ伝わる。
二匹の頭を撫でてあげる。
「あなたたちがいれば……いいわ」
いくら人間に嫌われようと、こうしてすり寄ってくれる猫たち。
他にも外に出れば愉快な仲間たちはたくさんいる。
動物にすがる寂しい女ですって?
それでいいのよ。
私は何も、人間には期待していない。
もう、何も期待できない。
私の肩書だけで集まって、瞳の不気味さだけで離れていくような人たちに何を期待することがあるの?
トントントン――
唐突に扉をノックする音が聞こえる。
プルとベルはビクッと反応して、再びベッドに下に潜り込む。
「フリルヴェール、私だ」
お父様の声だ。
二匹がそそくさと隠れた理由がよくわかる。
私もあまり気が乗らないけど、部屋まで訪ねてきたのに無視はできないわね。
「どうぞお入りください」
扉を開け、お父様が顔を出す。
私にはまったく似ていない。
髪の色も、目の色も、漂う雰囲気も何一つ。
だけど私たちが血のつながった親子だ。
自分でも疑いたくなるけど。
「どうかなさいましたか? お父様」
「先ほど聞いたと思うが、婚約の件は白紙に戻ったようだな」
「ええ、破棄するとお聞きしました」
「……これで何度目かわかっているのか?」
「五回目です」
お父様の表情が険しくなっていく。
私は依然として普段通りに、ニコやかに接する。
「……はぁ、なぜ平然としていられる? 我がジルムット家は名門だ。その家の長女が五回も婚約の話を破談にされているというのに」
「五回も、同じ理由で破棄されているのです。慣れてしまいましたわ」
「それでは困るのだ。お前は早々に婚約し、この屋敷を出て行きなさい」
「私もそうしたいと思っていますわ」
この人も、私のことが嫌いだ。
実の娘なのに、憎たらしいと心底思っている。
肉親にも嫌われるなんて、本当に私って何者なのかしら?
「そうか。ならば私としても都合がいい。次の婚約の相手を用意した。早急に準備しなさい」
「準備? また顔合わせですか?」
「そうだが、これまでとは違う。すでに先方はお前との婚約を了承済みだ」
「あら、珍しいですね」
いつもなら考える時間がほしいと言われ、一週間ほど時間をあけたり、一度会ってから決めることがほとんどだった。
六人目の婚約者はよほど肝が据わっているのか……。
それとも単に権力しか見ていないのか。
どちらにしても、こういう場合は長続きしない。
「この部屋を出る準備をしなさい。お前には明日から、婚約者のもとで暮らしてもらう」
「明日から? 唐突ですね」
「だから急げと言っている。今日中に荷物をまとめておきなさい。もちろん、その寝床の下にいる汚らしい動物も一緒だ」
「──!」
お父様はベッドの下に視線を向ける。
私はとにかく動物には好かれる。
外を歩けば小鳥が肩に乗り、人間になれていない野生の動物ですら警戒せずに近寄ってくる。
獰猛な肉食動物も、私の前ではただの愛玩動物になる。
理由はよくわからない。
動物に好かれる香りでも発しているのだろうか。
それとも人間に嫌われることを引き換えに、動物には好かれる特別な力でもあるのだろうか。
「ねぇ、どうなの? どうして私を選んだの?」
「みぃー」
「ミャー!」
「ふふっ、わからないわね」
動物の言葉がわかるわけじゃない。
好意を示してくれていることはハッキリ伝わる。
二匹の頭を撫でてあげる。
「あなたたちがいれば……いいわ」
いくら人間に嫌われようと、こうしてすり寄ってくれる猫たち。
他にも外に出れば愉快な仲間たちはたくさんいる。
動物にすがる寂しい女ですって?
それでいいのよ。
私は何も、人間には期待していない。
もう、何も期待できない。
私の肩書だけで集まって、瞳の不気味さだけで離れていくような人たちに何を期待することがあるの?
トントントン――
唐突に扉をノックする音が聞こえる。
プルとベルはビクッと反応して、再びベッドに下に潜り込む。
「フリルヴェール、私だ」
お父様の声だ。
二匹がそそくさと隠れた理由がよくわかる。
私もあまり気が乗らないけど、部屋まで訪ねてきたのに無視はできないわね。
「どうぞお入りください」
扉を開け、お父様が顔を出す。
私にはまったく似ていない。
髪の色も、目の色も、漂う雰囲気も何一つ。
だけど私たちが血のつながった親子だ。
自分でも疑いたくなるけど。
「どうかなさいましたか? お父様」
「先ほど聞いたと思うが、婚約の件は白紙に戻ったようだな」
「ええ、破棄するとお聞きしました」
「……これで何度目かわかっているのか?」
「五回目です」
お父様の表情が険しくなっていく。
私は依然として普段通りに、ニコやかに接する。
「……はぁ、なぜ平然としていられる? 我がジルムット家は名門だ。その家の長女が五回も婚約の話を破談にされているというのに」
「五回も、同じ理由で破棄されているのです。慣れてしまいましたわ」
「それでは困るのだ。お前は早々に婚約し、この屋敷を出て行きなさい」
「私もそうしたいと思っていますわ」
この人も、私のことが嫌いだ。
実の娘なのに、憎たらしいと心底思っている。
肉親にも嫌われるなんて、本当に私って何者なのかしら?
「そうか。ならば私としても都合がいい。次の婚約の相手を用意した。早急に準備しなさい」
「準備? また顔合わせですか?」
「そうだが、これまでとは違う。すでに先方はお前との婚約を了承済みだ」
「あら、珍しいですね」
いつもなら考える時間がほしいと言われ、一週間ほど時間をあけたり、一度会ってから決めることがほとんどだった。
六人目の婚約者はよほど肝が据わっているのか……。
それとも単に権力しか見ていないのか。
どちらにしても、こういう場合は長続きしない。
「この部屋を出る準備をしなさい。お前には明日から、婚約者のもとで暮らしてもらう」
「明日から? 唐突ですね」
「だから急げと言っている。今日中に荷物をまとめておきなさい。もちろん、その寝床の下にいる汚らしい動物も一緒だ」
「──!」
お父様はベッドの下に視線を向ける。
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