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「私は、殿下の婚約者になります」
「決まりだ。ならば行くぞ」
「え、どこにですか?」
「決まっているだろう。せっかく会場にはお前の父や姉がきているんだ」
彼は私の手を引く。
強引だけど優しく、力強い手で握る。
私は殿下に引っ張られてパーティー会場に戻ってきた。
未だに多くの人たちが王族の周りに集まっている。
金髪の、おそらくエリクシール様であろう方の隣に、父とエレナの姿がある。
あの様子だと、上手く謁見まではできたらしい。
「リアリス、お前の父はどこにいる?」
「あそこです」
「兄上と一緒か。ちょうどいい。行くぞ」
「ちょっ!」
彼に手を引かれて会場内を歩く。
必然、周囲の視線を集める。
王族であるエドワード殿下と手を握って歩いているんだ。
誰もが疑問を抱く。
なぜ落ちこぼれの無能力者が、と。
父やエレナが私たちに気付き、訝しむように見る。
「兄上、グレイン公爵、少々いいか?」
「エドワードか。どうした? そちらの女性は……」
容姿で理解したのだろう。
私がエレナの妹だと。
「報告をしておこうと思う。俺は、彼女を婚約者に迎えることにした」
「……ほう」
「なっ……」
「え?」
ニヤリと笑みを浮かべるエリクシール殿下。
父とエレナは驚愕して目を大きく見開いている。
驚いているのは私も同じだった。
まさかこんな大勢がいる場で堂々と宣言するなんて。
当然、周りにも聞こえている。
ざわつきだす中で、エリクシール殿下が尋ねる。
「冗談では、なさそうだね」
「ええ、俺は本気です。兄上」
第一王子と第六王子が視線で火花を散らす。
その横で、エレナが私を睨んでいた。
言わなくてもわかる。
どうしてあなたが、と心で叫んでいる。
私は心の中で溜息をこぼす。
しばらく平穏とは無縁の生活が待っていそうね。
けど、少しスッキリはした。
この日を境に、私の人生は大きく変わる。
才能ある姉に隠れていたもう一つの才能が、世界に露見したの
「決まりだ。ならば行くぞ」
「え、どこにですか?」
「決まっているだろう。せっかく会場にはお前の父や姉がきているんだ」
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強引だけど優しく、力強い手で握る。
私は殿下に引っ張られてパーティー会場に戻ってきた。
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「ちょっ!」
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誰もが疑問を抱く。
なぜ落ちこぼれの無能力者が、と。
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「兄上、グレイン公爵、少々いいか?」
「エドワードか。どうした? そちらの女性は……」
容姿で理解したのだろう。
私がエレナの妹だと。
「報告をしておこうと思う。俺は、彼女を婚約者に迎えることにした」
「……ほう」
「なっ……」
「え?」
ニヤリと笑みを浮かべるエリクシール殿下。
父とエレナは驚愕して目を大きく見開いている。
驚いているのは私も同じだった。
まさかこんな大勢がいる場で堂々と宣言するなんて。
当然、周りにも聞こえている。
ざわつきだす中で、エリクシール殿下が尋ねる。
「冗談では、なさそうだね」
「ええ、俺は本気です。兄上」
第一王子と第六王子が視線で火花を散らす。
その横で、エレナが私を睨んでいた。
言わなくてもわかる。
どうしてあなたが、と心で叫んでいる。
私は心の中で溜息をこぼす。
しばらく平穏とは無縁の生活が待っていそうね。
けど、少しスッキリはした。
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