パーティーの役立たずとして追放された魔力タンク、世界でただ一人の自動人形『ドール』使いになる

日之影ソラ

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第二章

30.昇天

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 俺は気づいていた。
 彼女たちが俺に近づいていることに。
 つながる感覚がより強まっていたことに。
 だから信じた。
 彼女たちは必ずここへ来ると。

「あの死者どもを退けたきたか」
「はっ! あんなもん屁でもねーんだよ! 無事だな? マスター!」
「ああ、最高にいいタイミングだよ」
「当然です。私たちはラスト様のドールですから」
「連れてきたのはシータ」
「ありがとう、みんな」

 おかげで力が入る。
 余裕が生まれた俺と対照的に、リッチーは苛立ちを見せる。

「人形どもめ。貴様らに用はない」
「私たちはあるんです」
「そうだぜ腐敗臭野郎! うちのマスターを監禁しやがって!」
「天罰」

 三人がリッチーに向かう。
 反撃するように鞭による攻撃を放つ。
 アルファが素手で触れたが無事のようだ。

「ドールに即死は効きませんよ!」
「くぅ……」

 彼女たちは魔力で動いている。
 つまり、俺が生きている限り肉体が破壊されなければ死ぬことはない。
 リッチーは俺を殺すために彼女たちと引き離した。
 そう思っていたが少し違うらしい。
 彼女たちを遠ざけるために俺を移動させたんだ。
 自身の天敵である自動人形と戦うことを恐れて。

「アイススピア!」
「気炎」

 リッチーの魔術をシータの炎が相殺する。

「魔術で勝てると思わないほうがいい」
「貴様ぁ!」

 彼女たちのおかげで隙ができた。
 リッチーは今、自分と相性の悪い三人に意識がそがれている。
 俺はそれを見逃さない。
 すかさず距離を詰める。
 最大の魔力を足に込め、今出せる最高速度で。

「ようやく――」

 近づけた。
 リッチーの懐に、手が届く距離に。
 リッチーの肉体は外からの攻撃には強い。
 だが、その身体はあくまでアンデッド、聖なる力には弱い。
 不死性を保てるのは、聖なる力を相殺しているからに過ぎない。
 つまり、内側から聖なる力を流し込まれれば、リッチーといえど一たまりもない。 

「貴様!」

 リッチーに俺の手が触れる。
 うってつけの能力が俺にはある。

「ラスト様!」
「やっちまえマスター!」
「がんばってー」
「存分に使いなさい。私の力を――」

 スキル『コネクト』。
 俺とリッチーは繋がり、俺の中に流れる聖なる力がリッチーにも注がれる。

「ぐ、うおああああああああああああああああああああああああ」

 リッチーの肉体は青白い炎に包まれる。
 内側から流し込まれた力によって、リッチーは浄化されていく。
 これまでため込んだ魔力が放出され、炎のように見えるんだ。

「力が、力が抜けていくううううううううううううう」
「それは殺した人から奪った力だ。お前自身の力じゃない。他人の力を使いたいなら、ちゃんと了承を取らないとだめだぞ?」

 それが似た力を持った俺からのアドバイスだ。
 もっとも、活かす機会は永遠に訪れないだろうけど。

「さようなら、リッチー。殺された人たち」 
 
 どうか安らかに眠ってほしい。
 敵は討ったよ。

 空間が消滅していく。
 気づけば俺たちは街の中に戻っていた。
 どうやら空間の位置は現実と重なっていたようだ。

「みんな無事か?」
「はい」
「ピンピンしてるぜ」
「疲れた」
「はははっ、いつも通りだな」

 彼女たちを見ていると安心する。
 緊張が途切れて、全身が脱力する。

「お見事だったわ」
「エリーシュ様」

 彼女も無事のようだ。

「ありがとうございます。エリーシュ様のおかげでリッチーを倒せました」
「倒したのはあなたよ」
「エリーシュ様に助けられたおかげですよ。最後の攻撃も、コネクトで聖なる力を共有していたから倒せたんです」
「それも、あなたの力でしょう?」

 彼女は笑ってそう言った。
 どこまでも俺を立てるように。

「やっぱりあなたに頼んで正解だったわ。いえ、あなたたちにね。三人もありがとう。おかげで一つ目標が達成できたわ」
「いえ、私たちはラスト様の意思に従っただけです」
「こっちこそありがとな! マスターを助けてくれたんだろ?」
「意外といい人?」
「ふふっ、そうよ。意外と、いい人なの」

 意外は余計だな。
 彼女が悪い人間であるはずがない。
 だったら俺たちに力を貸すことも、こんな危険な場所について来ることもない。
 誰よりまじめで、優しい人だから。
 俺は心からそう思う。

「照れるわね」
「ぅ……そうだった」

 心の声も聞こえているんだった。
 恥ずかしいな。

「けど、本心です」
「わかっているわ。あなたの心はいつも青空みたいに綺麗だもの」
「見えるんですか? 心そのものが」
「感じるのよ。あなたと一緒にいると、大空をゆったり漂う雲の気分を味わえるわ。信じて委ねて、自由に浮かんでいられる」

 大空……か。
 だったら、三人は俺の太陽だな。

「恥ずかしいセリフね」
「言わないでくださいよ」
「黙っていてほしいの? だったら条件を出すわ」
「条件?」

 彼女はいたずらな笑顔で言う。

「これからも、私のことを守ってね?」
「そんなことでいいなら」
「そう? ありがと。じゃあ先にお礼ね」
「え?」

 チュッと、唇がほほに触れた。

「なっ!」
「ちょっ!」
「わーお」
「エリーシュ様!?」

 俺はキスされた頬に手を触れる。

「ふふっ、やっぱりあなたをからかうのは面白いわね」
「……悪い人ですね」

 予感がする。
 これからもにぎやかになりそうだ。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

突然ですがアルファポリス版はここで完結とさせていただきます。
今後は小説家になろうにて連載していく予定です。
もし続きが気になるという方は、ページ下部にあるURLからなろう版をご利用ください。

また同時刻に新作を投稿しました!

『無能と呼ばれた貴族の領地革命 ~魔術の実験をしてただけなのに領民たちから感謝されてます~』

こちらもページ下部にリンクがありますので、ぜひ!
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みんなの感想(13件)

猫の気持ち
2022.07.30 猫の気持ち

14話
部屋はリビングやキッチンを覗いて三つ→除いて三つが正

解除
A・l・m
2022.07.29 A・l・m
ネタバレ含む
解除
ヒイラギ
2022.07.28 ヒイラギ

27話のリッチーに対して「俺たちは手見上げ持ってない」、、、手土産のことですかね?

土産の読み方は「みやげ」ですよー(*゚∀゚*)
なので多分、手見上げは誤表記かなーと思いました(о´∀`о)

解除

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