あなたの知らない、それからのこと

羽鳥むぅ

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24.★初夜

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 今までもキスは何度かしてきたけれど、歯止めが効かなくなるのを恐れて軽く合わせるだけに止めていた。けれど今は小さく開いた隙間から漏れる吐息に誘われるように、初めて舌を潜り込ませた。戸惑うレベッカの舌を捉えて絡め合わせる。心が温かくなる普段のキスとは違い、官能がただ高まっていく。夢中になりすぎたと我に返って唇を離せば、シーツに横たわる蕩けそうな表情のレベッカがあまりにも扇情的で、そこからは無我夢中だった。
 初めて見た彼女の生まれたままの姿は枕元のほのかな灯りも相まって、欲情に駆られてしまったクライヴが我に返るほど美しく神々しさすら覚えた。寝込んでいる時期は背中の清拭を手伝ったから、肌に触れたことがないわけではないが、その時から比べて肉付きが良くなっている。クライヴの献身でレベッカが生きているというこの事実が、こんなにも堪らない気持ちになるなんて。いつからこれほどまでに歪んだ執着心を持つようになったのかは分からないが、表に出さなかっただけでずっと抱えてはいたのだ。一緒に暮らすようになって、じわじわと露出してきたように思えた。これで彼女の全てを手に入れてしまえば益々ひどくなってしまうだろうけれど、もう後戻りなんてできない。申し訳なさと、喜びがごちゃ混ぜになっている。
「クライヴ?」
 考え事をしながら見つめていたからだろうか? レベッカが不安そうに名前を読んだ。いけない。頭を小さく振って、軽くキスを落とす。
「あまりにも綺麗で見惚れていただけだよ」
「え、な……あっ!」
 温かくて柔らかな膨らみに手を添え、先端を口に含んだ。味はしないはずなのに、どうしてか甘い果実のようだ。レベッカの可愛らしい声も相まって、先ほどグルグルと考えていたのが嘘のように夢中になる。指で唇で、舌で、その感触を堪能する。官能もさることながら、胸に耳を付けると彼女の生が感じられて嬉しかった。信じてはいたものの、薬を飲んでから死んだように眠るレベッカの姿は少なからずクライヴのトラウマとなっているのだ。そのおかげで今があるのだけれど、あんな思いはもう二度としたくない。
 しばらくして、レベッカが足をモジモジと摺り寄せていることに気付いた。そろそろ次に進んでもいいだろうか? クライヴは恐る恐る茂みに指を滑らせた。ぬるりと滑った感触に密かに安堵する。
「……あ、そこは」
 指でカタチを探っていると、戸惑うような声が落ちてきた。
「嫌? とても大事な場所だから、丁寧に触らないと」
 そう言いながらも、指であまり弄っては傷めるかもしれないと気付いた。以前より健康的になったものの、まだクライヴの手で簡単につかめてしまう太腿は心配になってしまうほどに白い。自分の日焼けしている手との対比が淫靡だ。レベッカにばれないように小さく喉を鳴らすと、なるべく優しく押し開いた。
「い、嫌……じゃないけど、恥ずかしくて、その」
「傷をつけるといけないからね、痛かったら教えて」
 しとどに濡れている秘所を優しく広げ、顔を近づけて脳内の知識と照らし合わせる。なるほど、コレが……と秘裂の先端にある突起のようなものを舐めた。
「ああっ……!」
 どうやらこの小さな蕾が女性の快感に大きく関わる器官で間違いないらしい。大きく跳ねた腰を押さえつけ、口に含むと舌先で弾いた。先ほどとは段違いの嬌声と、クラクラするような甘い香りをもっと味わいたくて執拗に蕾を舐め続ける。秘裂全体にも舌を這わせていると、水源となっている蜜壺を発見した。唇を離して目でしっかりと確認しながら、指をそっと埋めていく。指でゆっくりと解しながら、気を紛らわせるように蕾への刺激も忘れない。
「や、なにか……!」
 掠れた声を上げたレベッカが大きく震えた。クライヴの指がギュッと締め付けられる。少ししてからグッタリと弛緩しているレベッカの中から指を抜けば、手首の方まで密が滴っていた。脱ぐことをを忘れていたズボンを下着ごと脱ぎ去って、今までにないくらいの昂りに指に絡みついている蜜を纏わせるように扱くだけで達しそうだが、なんとか堪えてその先端を宛がった。
「身も心も僕の妻になって下さい」
「はい……」
 グッと先端が入り込んだのを確認して、レベッカに覆いかぶさった。抱きしめて唇を重ねる。レベッカの中は解したとはいえ狭いけれど、ゆっくりとクライヴを招き入れてくれるかのようだ。眉を寄せる表情に心配になって何度も痛いか訊ねてしまったが、その度に大丈夫だと返され、やがて二人の身体は完全に密着した。
 
「……痛くない?」
「ん、ちっとも痛くないと言ったら嘘になるけど、それ以上に幸せだわ」
「ありがとう。僕も幸せだ」
 ゆっくりと動かせば、レベッカからは甘い声が上がる。合間にキスをねだる様子も愛おしくて堪らない。この姿を他の男に見せていたかもしれないと思うだけで、腸が煮えくりかえりそうになる。もう諦めていたころには戻ることなんてできない。
 公にはレベッカは病死をしたことになっている。しかし王家に見切りをつけ、公爵家に取り入ろうとしている色んな貴族たちが、どこから仕入れたのかレベッカが生きていることを知ったらしく、レベッカ探しに必死になっているとサイモンから聞いた。彼女を妻にと願う令息も多く、記憶がないと知られたら、どんな手を使ってくるか想像がつかないのも恐ろしい。今は公爵の力で護られているが、クライヴも対抗できる力を付けていかなくてはならないだろう。やることは山ほどあるが、それでも目の前のレベッカを抱きしめていれば、なんでもできる気がしてくる。うっとりと愛おしげにクライヴを見つめているレベッカは、他の誰もその瞳に映して欲しくない。
 
 レベッカの中はクライヴの熱に必死にしがみ付いて出ていくことを拒み、まるで甘く束縛されているかのよう。そのことがあまりにも嬉しくてもっと引き止めてほしいと願ってしまう。けれど残念なことに限界はすぐそこまで来ている。けれどこれで最後じゃない。ここから始まるのだ。レベッカの上がった息ごと飲み込むようにして、深く口付けた。小さな嬌声がクライヴの口内に消えていく。強く抱きしめて、奇跡的に手に入れることができた最愛の中で果てた。
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