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15 身勝手な婚約者のために頑張ることはお断り
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セインサーを警察に引き渡す前に、奥様に会わせると、シルバートレイを改良したという武器を使い、問答無用といった形でセインサーを叩きのめしました。
すごいなと思ったのは、意識を失わせないように殴り続けたことでした。
あまりの出来事に、私やレイディスだけでなく、周りにいた兵士たちも、奥様を止めることを忘れて見守ってしまっていました。
セインサーは、マゼケキ様の部屋への不法侵入の罪で捕まり、その後は余罪がどんどん出てきて、後始末に追われて大変でした。
彼は直属の部下や他部署の弱い立場の人を脅して、横領を繰り返していました。
それぞれのトップもグルだったため、発覚しなかった、というよりかは、告発者がいなかっただけでした。
セインサーと共犯だった人が多すぎて、人員が足りなくなり、職場環境が落ち着くまではかなりの時間を要しました。
ソーエン殿下も彼に仕事を任せても役に立たないことがわかり、彼の部下に動いてもらいつつ、婚約者でいる間だけ、私が彼の仕事を捌きました。
王子たちの不祥事がわかったことで、国民達は王家に不信感を抱き、後に行われた国民投票では、予定通りに現在の王家はなくなり、新たな血筋の国王が即位し、国は存続することになりました。
私も無事にソーエン殿下との婚約も解消され、ワガママ王子達とおさらばすることができました。
先代の両陛下とソーエン殿下は城内にいることはできますが、働かざる者食うべからずというもので、新国王の指示の下にしっかり働かされています。
フェイアンナ様と騎士はマゼケキ様の証言により、再度捕まりました。
マゼケキ様は司法取引をしたため、処刑は免れましたが懲役刑になり、騎士はフェイアンナ様を守り、馬車で街中を引き回したあと、見せしめのために処刑されることになりました。
フェイアンナ様はそのことにショックを受け、今はとても反省しているそうで、貴族用の女性刑務所で模範囚として罪を償うことになったのでした。
*****
それから半年以上が経ち、私達はやっと母国に帰れることになりました。
明日に出発を控えた日の午後、城内の庭を一緒に歩いているレイディスに話しかけます。
「よく頑張ったわよね!」
「そうだな。お疲れさん」
「レイディスもご苦労さまでした」
「ああ。でも、国に帰ってもしばらくは忙しいだろうな」
「そうよね。あなたには迷惑をかけてしまったわ」
「言っておくがお前もだぞ」
「……そ、そうよね。遊んではいられないわよね」
苦笑して頷くと、レイディスは苦笑します。
「まだ聞いてないのか。だから、普通なんだな」
「……どういうこと?」
「俺とお前の結婚が決まった」
「け、結婚!? 婚約じゃなくて!?」
「ああ。新国王が決めたんだ。帰ったら、話があると言われるだろうな」
「し、新国王?」
知らなかった情報が色々とありすぎてパニックになっていると、レイディスは私の頭をなでてから話し始めます。
「お前の兄さんが父親を国王の座から引きずり下ろした」
「ええ!?」
「国のためにということもわかるが、お前に負担をかけさせすぎだと」
お兄様もお姉様も私を猫可愛がりしているから、私の婚約者の件がどうしても許せなかったんですね。
「……嫌か?」
珍しく不安そうな顔をするレイディスに笑顔で答えます。
「その答えはお兄様に伝えるわ。どうせ同じことを聞かれるでしょうから」
「今、言えよ」
「嫌です」
「なんでだよ!」
だって、あなた、私に好きだなんて言ってくれてませんよね。
態度だけじゃなくて言葉にしてほしい時だってあるんですよ。
……私が言えば良いのかもしれないけど、できれば言ってほしいんですよ。
もう、身勝手な婚約者のために頑張るのは御免です。
レイディスなら、私にそんな思いはさせませんよね?
「ねえ、レイディス」
「……何だよ」
「あなたはワガママな婚約者にならないでね」
「……ワガママな夫にはなるかも」
「嫌なこと言わないでよ!」
私が文句を言うと、レイディスはなぜか声を出して笑いました。
それと同時に柔らかな風が吹き、庭園に咲いている花の甘い香りが鼻腔をくすぐりました。
まるで、祝福されている気がして、私とレイディスは自然と手を繋いで散策を続けたのでした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
最後は駆け足になりましたが、さくっといかせていただきました。
少しでも楽しんでいただけましたら幸いです。
そして、「あなたの妻にはなりません」という新作を投稿しています。
サスペンス風ですが、ハッピーエンドです。
お気に入り登録、エール、いいね、しおり、本当にありがとうございました。
また、他の作品でお会いできますと幸いです。
すごいなと思ったのは、意識を失わせないように殴り続けたことでした。
あまりの出来事に、私やレイディスだけでなく、周りにいた兵士たちも、奥様を止めることを忘れて見守ってしまっていました。
セインサーは、マゼケキ様の部屋への不法侵入の罪で捕まり、その後は余罪がどんどん出てきて、後始末に追われて大変でした。
彼は直属の部下や他部署の弱い立場の人を脅して、横領を繰り返していました。
それぞれのトップもグルだったため、発覚しなかった、というよりかは、告発者がいなかっただけでした。
セインサーと共犯だった人が多すぎて、人員が足りなくなり、職場環境が落ち着くまではかなりの時間を要しました。
ソーエン殿下も彼に仕事を任せても役に立たないことがわかり、彼の部下に動いてもらいつつ、婚約者でいる間だけ、私が彼の仕事を捌きました。
王子たちの不祥事がわかったことで、国民達は王家に不信感を抱き、後に行われた国民投票では、予定通りに現在の王家はなくなり、新たな血筋の国王が即位し、国は存続することになりました。
私も無事にソーエン殿下との婚約も解消され、ワガママ王子達とおさらばすることができました。
先代の両陛下とソーエン殿下は城内にいることはできますが、働かざる者食うべからずというもので、新国王の指示の下にしっかり働かされています。
フェイアンナ様と騎士はマゼケキ様の証言により、再度捕まりました。
マゼケキ様は司法取引をしたため、処刑は免れましたが懲役刑になり、騎士はフェイアンナ様を守り、馬車で街中を引き回したあと、見せしめのために処刑されることになりました。
フェイアンナ様はそのことにショックを受け、今はとても反省しているそうで、貴族用の女性刑務所で模範囚として罪を償うことになったのでした。
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それから半年以上が経ち、私達はやっと母国に帰れることになりました。
明日に出発を控えた日の午後、城内の庭を一緒に歩いているレイディスに話しかけます。
「よく頑張ったわよね!」
「そうだな。お疲れさん」
「レイディスもご苦労さまでした」
「ああ。でも、国に帰ってもしばらくは忙しいだろうな」
「そうよね。あなたには迷惑をかけてしまったわ」
「言っておくがお前もだぞ」
「……そ、そうよね。遊んではいられないわよね」
苦笑して頷くと、レイディスは苦笑します。
「まだ聞いてないのか。だから、普通なんだな」
「……どういうこと?」
「俺とお前の結婚が決まった」
「け、結婚!? 婚約じゃなくて!?」
「ああ。新国王が決めたんだ。帰ったら、話があると言われるだろうな」
「し、新国王?」
知らなかった情報が色々とありすぎてパニックになっていると、レイディスは私の頭をなでてから話し始めます。
「お前の兄さんが父親を国王の座から引きずり下ろした」
「ええ!?」
「国のためにということもわかるが、お前に負担をかけさせすぎだと」
お兄様もお姉様も私を猫可愛がりしているから、私の婚約者の件がどうしても許せなかったんですね。
「……嫌か?」
珍しく不安そうな顔をするレイディスに笑顔で答えます。
「その答えはお兄様に伝えるわ。どうせ同じことを聞かれるでしょうから」
「今、言えよ」
「嫌です」
「なんでだよ!」
だって、あなた、私に好きだなんて言ってくれてませんよね。
態度だけじゃなくて言葉にしてほしい時だってあるんですよ。
……私が言えば良いのかもしれないけど、できれば言ってほしいんですよ。
もう、身勝手な婚約者のために頑張るのは御免です。
レイディスなら、私にそんな思いはさせませんよね?
「ねえ、レイディス」
「……何だよ」
「あなたはワガママな婚約者にならないでね」
「……ワガママな夫にはなるかも」
「嫌なこと言わないでよ!」
私が文句を言うと、レイディスはなぜか声を出して笑いました。
それと同時に柔らかな風が吹き、庭園に咲いている花の甘い香りが鼻腔をくすぐりました。
まるで、祝福されている気がして、私とレイディスは自然と手を繋いで散策を続けたのでした。
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最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
最後は駆け足になりましたが、さくっといかせていただきました。
少しでも楽しんでいただけましたら幸いです。
そして、「あなたの妻にはなりません」という新作を投稿しています。
サスペンス風ですが、ハッピーエンドです。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました✨️