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28 とうとう口に出しちゃったわね
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ニースはまだ若いし泣き虫だ。あの様子では当主になる覚悟もまだないでしょう。ニースが成人と認められる18歳になるまで、あと3年ほどある。
その間は父の代わりに仕事をしてくれる人が必要になるけれど、現在何とかなっているのであれば、側近に伯爵代理として動いてもらうしかない。
決めるのは王家だろうけれど、きっと私と同じ考え方をしてくださるだろう。
この行動が問題になる前に父が自ら当主の座をおり、ニースに引き継いでおけば、フェルスコット伯爵家の存続は可能でしょう。
ニースだって嫡男だという自覚はあるし、今回の件で父はもう駄目だと分かってくれているはずだ。3年の間に自覚してもらわなくちゃ。
考えていると、シャゼットが訴えてくる。
「どうしてそんなことを言われないといけないの!? やっぱりあなたはお姉様なのね! 私たちのことを許せないから見捨てるような真似をするんだわ!」
「まさか……、本当にリリーノなのか」
父は震える声で尋ねてきた。そんな彼に私は尋ね返す。
「リリーノ様は亡くなったんですよね?」
「……っそれはっ。そのはずだ」
ジェイクが聞いてるんだもの。刺客を放って死んだという報告を受けただけだから、自分は見ていないなんて言えないわよね。
目を泳がせる父に笑顔で話しかける。
「では、私はリリーノ様ではありませんね。ですが、魔道具師であることは確かです。さっきも言いましたが、レレール様を輝かせることはできます。どうしますか?」
「当主の座をおりないといけないのなら、伯爵家を守る意味がないだろう!」
「では交渉は決裂ですね」
小さく息を吐くと、クマリーノが叫ぶ。
「悪いことをした奴はその場で反省するクマ!」
クマリーノの力は彼女が良しとするまで、人の動きを止められることだから、本当に反省するまでは動きを止め続ける。誰かに屋内に運んでもらったとしても、大変であることに変わりはない。
私とジェイクは顔を見合わせると、一度、この場を立ち去るふりをする。
「じゃあ、反省するまでここにいてくださいね。誰かに動かしてもらっても良いですけど、反省するまではその体勢ですからね」
「ま、待て! 私たちが何をしたと言うんだ!?」
父の問いかけに足を止め、振り返って答える。
「自分の息子を人質に取って私を呼び出しておいて、何をしたかですって? 自分に都合の悪いことはすぐに忘れるタイプのようで羨ましいです」
「わかったぞ、リリーノ! お前は魔道具を使って刺客をだましたんだな!? わかっているのか! 抵抗せずに死んでくれていれば良いものを! お前が生きていたことで多くの人の人生が狂ったんだぞ!」
とうとう口に出しちゃったわね。
父が話している途中で、ジェイクは腰に携えていた剣を抜き、父に近づくと剣の切っ先を向けた。
「どうしてリノが死ななければならないんだ?」
「そ……、それは、生きていたことでこんな風に多くの人を巻き込んで……」
「ふざけるな。違うだろ。あんたが刺客なんて送らずに……、いや、リノを追い出さなければこんなことにならなかった。原因を作ったのはあんただろ」
父が自白してくれたので、ジェイクは本音を吐き出したようだった。
「そ……、それはっ」
「ど、どういうこと!? お父様、お姉様を殺そうとしたんですか!?」
顔を動かすことができないシャゼットは驚いた顔をして目を父のほうに向けた。
その間は父の代わりに仕事をしてくれる人が必要になるけれど、現在何とかなっているのであれば、側近に伯爵代理として動いてもらうしかない。
決めるのは王家だろうけれど、きっと私と同じ考え方をしてくださるだろう。
この行動が問題になる前に父が自ら当主の座をおり、ニースに引き継いでおけば、フェルスコット伯爵家の存続は可能でしょう。
ニースだって嫡男だという自覚はあるし、今回の件で父はもう駄目だと分かってくれているはずだ。3年の間に自覚してもらわなくちゃ。
考えていると、シャゼットが訴えてくる。
「どうしてそんなことを言われないといけないの!? やっぱりあなたはお姉様なのね! 私たちのことを許せないから見捨てるような真似をするんだわ!」
「まさか……、本当にリリーノなのか」
父は震える声で尋ねてきた。そんな彼に私は尋ね返す。
「リリーノ様は亡くなったんですよね?」
「……っそれはっ。そのはずだ」
ジェイクが聞いてるんだもの。刺客を放って死んだという報告を受けただけだから、自分は見ていないなんて言えないわよね。
目を泳がせる父に笑顔で話しかける。
「では、私はリリーノ様ではありませんね。ですが、魔道具師であることは確かです。さっきも言いましたが、レレール様を輝かせることはできます。どうしますか?」
「当主の座をおりないといけないのなら、伯爵家を守る意味がないだろう!」
「では交渉は決裂ですね」
小さく息を吐くと、クマリーノが叫ぶ。
「悪いことをした奴はその場で反省するクマ!」
クマリーノの力は彼女が良しとするまで、人の動きを止められることだから、本当に反省するまでは動きを止め続ける。誰かに屋内に運んでもらったとしても、大変であることに変わりはない。
私とジェイクは顔を見合わせると、一度、この場を立ち去るふりをする。
「じゃあ、反省するまでここにいてくださいね。誰かに動かしてもらっても良いですけど、反省するまではその体勢ですからね」
「ま、待て! 私たちが何をしたと言うんだ!?」
父の問いかけに足を止め、振り返って答える。
「自分の息子を人質に取って私を呼び出しておいて、何をしたかですって? 自分に都合の悪いことはすぐに忘れるタイプのようで羨ましいです」
「わかったぞ、リリーノ! お前は魔道具を使って刺客をだましたんだな!? わかっているのか! 抵抗せずに死んでくれていれば良いものを! お前が生きていたことで多くの人の人生が狂ったんだぞ!」
とうとう口に出しちゃったわね。
父が話している途中で、ジェイクは腰に携えていた剣を抜き、父に近づくと剣の切っ先を向けた。
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「そ……、それは、生きていたことでこんな風に多くの人を巻き込んで……」
「ふざけるな。違うだろ。あんたが刺客なんて送らずに……、いや、リノを追い出さなければこんなことにならなかった。原因を作ったのはあんただろ」
父が自白してくれたので、ジェイクは本音を吐き出したようだった。
「そ……、それはっ」
「ど、どういうこと!? お父様、お姉様を殺そうとしたんですか!?」
顔を動かすことができないシャゼットは驚いた顔をして目を父のほうに向けた。
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