6 / 29
閑話 四人の聖女達
しおりを挟む
謁見の間での出来事の後、聖女達はミーファに対する免罪を国王に頼み込んだが、全く相手にされなかった。
どうにかしなければ、と頭を悩ませていると、王太子が聖女達に声を掛け「俺が助けてやろう」と言った為、聖女達は無理だろうとわかっていながらも、彼にお願いする事にした。
なぜなら、彼の申し出を断われば、彼の機嫌をそこねて、未来の王妃になる夢を諦めなければいけない結果に繋がるかもしれないからだ。
王太子はミーファに「俺にすがれ」というメッセージを宰相に託したが、ミーファはリュークと共に王城を出て行ってしまった。
その事を聞いた王太子は怒り狂い、ご機嫌伺いに来ていた聖女達を自分の部屋から追い出した。
王太子の部屋から追い出された四人の聖女達は、ミーファが本当に城から出て行ってしまった事に動揺を隠せなかった。
聖女同士がコミュニケーションをとれる様にと用意された談話室で、四人は椅子に座り、これからの事を相談する事にしたのだったが…。
「フランソワ、あなたのせいよ!」
聖女の一人、金色の髪にブルーの瞳を持つ、聖女内では一番の美女と言われているエルセラが叫ぶ。
「そんな、やめてよ。元々は皆で決めた事じゃないの!」
フランソワが目に涙を浮かべて叫ぶ。
ミーファに罪を着せるという話は事前に四人で決めた事だった。
「まさか、ミーファを追放するだなんて思わないじゃないの! 叱責で済むだろうと言ったのは、あなた達もでしょう!?」
「そういう問題じゃないわ! 結界が破られたのは、あなたのせいでしょう!? あなたが、これからは責任を取って、ミーファの代わりをしなさい」
一番、年長であり、気の強そうな顔をしたトリンがポニーテールにした赤色の髪を揺らし、茶色の長い髪を後ろで一つにまとめたフランソワに告げた。
「無理よ! ミーファの魔力は私の何倍もあるのよ!?」
「ミーファだって、昔はほとんど魔力がなくて、ずっと食べてばかりいたじゃない。魔力は増やせるのよ! だから、あなただって食べればいいのよ」
「食べればいいだなんて簡単に言わないで! 王太子殿下はデブは嫌いだと言っているじゃない!」
「あんなに食べていたのに、ミーファは太ってはいなかったわ」
キュララが冷たい目をして、フランソワに向かって続ける。
「ミーファっていう、お人好しがいてくれたから、私達が楽できてたのに…、こんな事になるなんて」
「キュララ、あなた、ミーファと仲が良かったくせに、酷い女ね」
トリンが言うと、キュララは鼻で笑う。
「仲良しこよしのふりをしていただけよ。その方が頼みやすいし。あ、そうだわ!」
キュララは王太子に見せる、可愛らしい笑顔とは全く違う、邪悪な笑みを浮かべて言う。
「皆でミーファに泣きつかない? ミーファの居場所はスコッチ辺境伯の所でしょう? 手紙を書いて助けてってお願いしましょう。あのお人好しのミーファの事だもの。私達や国民を見捨てられなくて助けてくれるに違いないわ。元々、結界は王都にいなくても張れるんだから、辺境伯の領土から出かけてもらえばいいのよ」
手紙は魔法で送る事が出来るが、本人の居場所がわからないと送れない。
だが、リュークが名乗り出た事により、ミーファの居場所は聖女達全員が知っている。
「そうね、そうしましょう!」
他の三人もキュララの案に賛成した。
「まずは謝罪の手紙を書いて許しを請いましょう。あの子の事だから、すぐに許してくれるわ」
トリンの言葉を合図に、全員が自室に戻り、ミーファへの手紙を書き始めたのだった。
しかし、彼女達は知らない。
ミーファがお人好しだから、彼女達の仕事を代わりにやっていた訳ではなく、国民の命を守るため、安全な生活を守るため、働かない聖女達の代わりに頑張っていただけだった事や、ミーファが聖女達からの手紙を受け取らない様にしている事を。
そして、辺境伯家に届いた、聖女達からミーファに宛てた手紙が、ミーファに知らされずに、辺境伯から命を受けたメイド達によって破棄されてしまう事を。
何より、これから苦難の日々が待っている事を、今の彼女達は考えてもいなかった。
どうにかしなければ、と頭を悩ませていると、王太子が聖女達に声を掛け「俺が助けてやろう」と言った為、聖女達は無理だろうとわかっていながらも、彼にお願いする事にした。
なぜなら、彼の申し出を断われば、彼の機嫌をそこねて、未来の王妃になる夢を諦めなければいけない結果に繋がるかもしれないからだ。
王太子はミーファに「俺にすがれ」というメッセージを宰相に託したが、ミーファはリュークと共に王城を出て行ってしまった。
その事を聞いた王太子は怒り狂い、ご機嫌伺いに来ていた聖女達を自分の部屋から追い出した。
王太子の部屋から追い出された四人の聖女達は、ミーファが本当に城から出て行ってしまった事に動揺を隠せなかった。
聖女同士がコミュニケーションをとれる様にと用意された談話室で、四人は椅子に座り、これからの事を相談する事にしたのだったが…。
「フランソワ、あなたのせいよ!」
聖女の一人、金色の髪にブルーの瞳を持つ、聖女内では一番の美女と言われているエルセラが叫ぶ。
「そんな、やめてよ。元々は皆で決めた事じゃないの!」
フランソワが目に涙を浮かべて叫ぶ。
ミーファに罪を着せるという話は事前に四人で決めた事だった。
「まさか、ミーファを追放するだなんて思わないじゃないの! 叱責で済むだろうと言ったのは、あなた達もでしょう!?」
「そういう問題じゃないわ! 結界が破られたのは、あなたのせいでしょう!? あなたが、これからは責任を取って、ミーファの代わりをしなさい」
一番、年長であり、気の強そうな顔をしたトリンがポニーテールにした赤色の髪を揺らし、茶色の長い髪を後ろで一つにまとめたフランソワに告げた。
「無理よ! ミーファの魔力は私の何倍もあるのよ!?」
「ミーファだって、昔はほとんど魔力がなくて、ずっと食べてばかりいたじゃない。魔力は増やせるのよ! だから、あなただって食べればいいのよ」
「食べればいいだなんて簡単に言わないで! 王太子殿下はデブは嫌いだと言っているじゃない!」
「あんなに食べていたのに、ミーファは太ってはいなかったわ」
キュララが冷たい目をして、フランソワに向かって続ける。
「ミーファっていう、お人好しがいてくれたから、私達が楽できてたのに…、こんな事になるなんて」
「キュララ、あなた、ミーファと仲が良かったくせに、酷い女ね」
トリンが言うと、キュララは鼻で笑う。
「仲良しこよしのふりをしていただけよ。その方が頼みやすいし。あ、そうだわ!」
キュララは王太子に見せる、可愛らしい笑顔とは全く違う、邪悪な笑みを浮かべて言う。
「皆でミーファに泣きつかない? ミーファの居場所はスコッチ辺境伯の所でしょう? 手紙を書いて助けてってお願いしましょう。あのお人好しのミーファの事だもの。私達や国民を見捨てられなくて助けてくれるに違いないわ。元々、結界は王都にいなくても張れるんだから、辺境伯の領土から出かけてもらえばいいのよ」
手紙は魔法で送る事が出来るが、本人の居場所がわからないと送れない。
だが、リュークが名乗り出た事により、ミーファの居場所は聖女達全員が知っている。
「そうね、そうしましょう!」
他の三人もキュララの案に賛成した。
「まずは謝罪の手紙を書いて許しを請いましょう。あの子の事だから、すぐに許してくれるわ」
トリンの言葉を合図に、全員が自室に戻り、ミーファへの手紙を書き始めたのだった。
しかし、彼女達は知らない。
ミーファがお人好しだから、彼女達の仕事を代わりにやっていた訳ではなく、国民の命を守るため、安全な生活を守るため、働かない聖女達の代わりに頑張っていただけだった事や、ミーファが聖女達からの手紙を受け取らない様にしている事を。
そして、辺境伯家に届いた、聖女達からミーファに宛てた手紙が、ミーファに知らされずに、辺境伯から命を受けたメイド達によって破棄されてしまう事を。
何より、これから苦難の日々が待っている事を、今の彼女達は考えてもいなかった。
76
あなたにおすすめの小説
王命での結婚がうまくいかなかったので公妾になりました。
しゃーりん
恋愛
婚約解消したばかりのルクレツィアに王命での結婚が舞い込んだ。
相手は10歳年上の公爵ユーグンド。
昔の恋人を探し求める公爵は有名で、国王陛下が公爵家の跡継ぎを危惧して王命を出したのだ。
しかし、公爵はルクレツィアと結婚しても興味の欠片も示さなかった。
それどころか、子供は養子をとる。邪魔をしなければ自由だと言う。
実家の跡継ぎも必要なルクレツィアは子供を産みたかった。
国王陛下に王命の取り消しをお願いすると三年後になると言われた。
無駄な三年を過ごしたくないルクレツィアは国王陛下に提案された公妾になって子供を産み、三年後に離婚するという計画に乗ったお話です。
誰でもイイけど、お前は無いわw
猫枕
恋愛
ラウラ25歳。真面目に勉強や仕事に取り組んでいたら、いつの間にか嫁き遅れになっていた。
同い年の幼馴染みランディーとは昔から犬猿の仲なのだが、ランディーの母に拝み倒されて見合いをすることに。
見合いの場でランディーは予想通りの失礼な発言を連発した挙げ句、
「結婚相手に夢なんて持ってないけど、いくら誰でも良いったってオマエは無いわww」
と言われてしまう。
婚約破棄された侯爵令嬢ですが、帝国の次席秘書官になりました ――王の隣ではなく、判断を誤らせない場所へ
ふわふわ
恋愛
王太子の婚約者として王宮に仕える侯爵令嬢ゼクレテァ。
彼女は華やかな場に立つことはなく、ただ静かに、しかし確実に政務と外交を支えていた。
――その役割が、突然奪われるまでは。
公の場で告げられた一方的な婚約破棄。
理由はただひとつ、「愛している相手がいるから」。
ゼクレテァは感情を見せることなく、その決定を受け入れる。
だが彼女が王宮を去った後、王国には小さな歪みが生じ始めた。
些細な行き違い、遅れる判断、噛み合わない政策。
それらはやがて、国家全体を揺るがす事態へと発展していく。
一方、行き場を失ったゼクレテァの前に、思いもよらぬ「選択肢」が差し出される。
求められたのは、身分でも立場でもない。
彼女自身の能力だった。
婚約破棄から始まる、
静かで冷静な逆転劇。
王の隣に立つことを拒んだ令嬢は、
やがて「世界を動かす場所」へと歩み出す――。
-
【完結】嫌われ公女が継母になった結果
三矢さくら
恋愛
王国で権勢を誇る大公家の次女アデールは、母である女大公から嫌われて育った。いつか温かい家族を持つことを夢見るアデールに母が命じたのは、悪名高い辺地の子爵家への政略結婚。
わずかな希望を胸に、華やかな王都を後に北の辺境へと向かうアデールを待っていたのは、戦乱と過去の愛憎に囚われ、すれ違いを重ねる冷徹な夫と心を閉ざした継子だった。
侍女から第2夫人、そして……
しゃーりん
恋愛
公爵家の2歳のお嬢様の侍女をしているルイーズは、酔って夢だと思い込んでお嬢様の父親であるガレントと関係を持ってしまう。
翌朝、現実だったと知った2人は親たちの話し合いの結果、ガレントの第2夫人になることに決まった。
ガレントの正妻セルフィが病弱でもう子供を望めないからだった。
一日で侍女から第2夫人になってしまったルイーズ。
正妻セルフィからは、娘を義母として可愛がり、夫を好きになってほしいと頼まれる。
セルフィの残り時間は少なく、ルイーズがやがて正妻になるというお話です。
【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます
修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。
その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。
彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。
ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。
一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。
必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。
なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ──
そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。
これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。
※小説家になろうが先行公開です
お妃候補を辞退したら、初恋の相手に溺愛されました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のフランソアは、王太子殿下でもあるジェーンの為、お妃候補に名乗りを上げ、5年もの間、親元を離れ王宮で生活してきた。同じくお妃候補の令嬢からは嫌味を言われ、厳しい王妃教育にも耐えてきた。他のお妃候補と楽しく過ごすジェーンを見て、胸を痛める事も日常茶飯事だ。
それでもフランソアは
“僕が愛しているのはフランソアただ1人だ。だからどうか今は耐えてくれ”
というジェーンの言葉を糧に、必死に日々を過ごしていた。婚約者が正式に決まれば、ジェーン様は私だけを愛してくれる!そう信じて。
そんな中、急遽一夫多妻制にするとの発表があったのだ。
聞けばジェーンの強い希望で実現されたらしい。自分だけを愛してくれていると信じていたフランソアは、その言葉に絶望し、お妃候補を辞退する事を決意。
父親に連れられ、5年ぶりに戻った懐かしい我が家。そこで待っていたのは、初恋の相手でもある侯爵令息のデイズだった。
聞けば1年ほど前に、フランソアの家の養子になったとの事。戸惑うフランソアに対し、デイズは…
「地味で無能」と捨てられた令嬢は、冷酷な【年上イケオジ公爵】に嫁ぎました〜今更私の価値に気づいた元王太子が後悔で顔面蒼白になっても今更遅い
腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢クラウディアは、婚約者のアルバート王太子と妹リリアンに「地味で無能」と断罪され、公衆の面前で婚約破棄される。
お飾りの厄介払いとして押し付けられた嫁ぎ先は、「氷壁公爵」と恐れられる年上の冷酷な辺境伯アレクシス・グレイヴナー公爵だった。
当初は冷徹だった公爵は、クラウディアの才能と、過去の傷を癒やす温もりに触れ、その愛を「二度と失わない」と固く誓う。
彼の愛は、包容力と同時に、狂気的な独占欲を伴った「大人の愛」へと昇華していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる