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19 予想通りの展開といったところかしら
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数日後、ジーギス様が仮住まいの家に戻ったとの連絡があった。
それまでの間に、新国王になられたロード様のお兄様から、クラッシュ様が私とロード様の婚約を白紙にしたいと言っているとの連絡があった。
どうして、クラッシュ様がそんなことを言ってきたかというと、お姉様がそうしてほしいとクラッシュ様にお願いしたんだそうだ。
お姉様は私とロード様の婚約を解消させて、ジーギス様と再婚約させようとしているのではないかというのが、私たちの予想だ。
ロード様にどうされるつもりか確認すると、逆に私はどうしたいかと聞いてこられた。
「私はジーギス様よりもロード様と結婚したいです!」
「そ、そうか」
両手に拳を作って言うと、ロード様は照れてしまったのか、白い頬を赤く染めた。
冷静に考えてみれば、私がロード様にプロポーズしたみたいになっている。
とにかく、ロード様は国王陛下にお断りの連絡を入れてくれた。
そして、国王陛下からクラッシュ様に私とロード様の婚約は解消しないと連絡を入れてもらった。
普通は国王陛下を介して連絡なんてするものではない。
でも、介入していただいたことにより、クラッシュ様が決めた婚約ではなく、新しい国王陛下が決めた婚約に変更してくださった。
これで、私とロード様の婚約について、クラッシュ様は意見を言えなくなった。
というか、言うのは構わないけれど影響力はなくなった。
ここ最近、私とロード様は食事以外の時にも、よく話すようになった。
メルちゃんとハヤテくんは、夜はロード様の部屋で寝ている。
でも、ロード様は仕事の関係で外泊する時もある。
その時は、ロード様がいなくて寂しいのか、メルちゃんたちは私の部屋にやって来るようになっていた。
最近は1日のほとんどを私の部屋で過ごすようになり、ロード様が邸にいる日は、私の部屋にいるメルちゃんたちをロード様が眠る前に迎えに来て、自分の部屋に連れて帰るという日々が増えた。
だから、余計に話すようになったのだ。
使用人たちは私の部屋をロード様の部屋に近くしようだとか、寝室を一緒にしたらどうだとか、楽しげに言ってきた。
部屋を近くにするのはかまわないけれど、寝室を一緒にするのは絶対に駄目だとロード様から反対があり、その話はなくなった。
まだ、婚約段階の男女が寝室を共にするのは良くない噂が立ってもいけないから、やめておいたほうが良いと私も思う。
それに、寝室を共にするというのは、私もかなり緊張してしまうと思うので、今の段階では断ってもらえて有り難かった。
でも、私は居候の身だし、そのくらいの覚悟はしておかないといけないのかしら。
いやいや、やっぱりそういうことは結婚してからよね。
「……ミレニア!」
「な、何でしょう!?」
現在は夜遅い時間でメルちゃんたちを迎えに来たロード様と私の部屋でお話をしている途中だった。
それなのに、他のことを考えてしまっていたから、ロード様に大きな声で名前を呼ばれてしまったのだ。
「いや、ミレニアが眠そうにしているから、もう部屋に戻ろうと思うんだけど、何かあったのか? 悩み事があるんなら聞くけど」
「申し訳ございません! 悩み事いうほどのものではないので大丈夫です」
「くぅーん」
メルちゃんがやって来て、私の膝に顔を押し付けてきた。
私の元気がないと思って、心配してくれているのね。
そんな優しいメルちゃんの頭を撫でてから、ロード様に言う。
「大丈夫です。何かあれば、ちゃんとお話をさせてもらおうと思いますので、その時はよろしくお願いいたします」
「なら、いいけど。ジーギスやレニス嬢のこと以外にも何かあるなら、1人で悩まずに話をしてほしい」
「ありがとうございます」
ロード様もメルちゃんもハヤテくんも、使用人たちも、みんな私に優しい。
この幸せがこれからも続きますようにと願いながら眠った、次の日の朝のことだった。
ジーギス様から私宛の手紙が届いた。
危険物が入っていないか確認されたあと、封を切られた状態の封筒を受け取り、中身を確認する。
手紙には本気かどうかはわからないけれど、私とよりを戻したいなどという、訳のわからないことが書かれていた。
これは、予想通りの展開といったところかしら。
手紙を読み終えたあとは、手紙を封筒に入れ直して、ロード様に相談することに決めた。
それまでの間に、新国王になられたロード様のお兄様から、クラッシュ様が私とロード様の婚約を白紙にしたいと言っているとの連絡があった。
どうして、クラッシュ様がそんなことを言ってきたかというと、お姉様がそうしてほしいとクラッシュ様にお願いしたんだそうだ。
お姉様は私とロード様の婚約を解消させて、ジーギス様と再婚約させようとしているのではないかというのが、私たちの予想だ。
ロード様にどうされるつもりか確認すると、逆に私はどうしたいかと聞いてこられた。
「私はジーギス様よりもロード様と結婚したいです!」
「そ、そうか」
両手に拳を作って言うと、ロード様は照れてしまったのか、白い頬を赤く染めた。
冷静に考えてみれば、私がロード様にプロポーズしたみたいになっている。
とにかく、ロード様は国王陛下にお断りの連絡を入れてくれた。
そして、国王陛下からクラッシュ様に私とロード様の婚約は解消しないと連絡を入れてもらった。
普通は国王陛下を介して連絡なんてするものではない。
でも、介入していただいたことにより、クラッシュ様が決めた婚約ではなく、新しい国王陛下が決めた婚約に変更してくださった。
これで、私とロード様の婚約について、クラッシュ様は意見を言えなくなった。
というか、言うのは構わないけれど影響力はなくなった。
ここ最近、私とロード様は食事以外の時にも、よく話すようになった。
メルちゃんとハヤテくんは、夜はロード様の部屋で寝ている。
でも、ロード様は仕事の関係で外泊する時もある。
その時は、ロード様がいなくて寂しいのか、メルちゃんたちは私の部屋にやって来るようになっていた。
最近は1日のほとんどを私の部屋で過ごすようになり、ロード様が邸にいる日は、私の部屋にいるメルちゃんたちをロード様が眠る前に迎えに来て、自分の部屋に連れて帰るという日々が増えた。
だから、余計に話すようになったのだ。
使用人たちは私の部屋をロード様の部屋に近くしようだとか、寝室を一緒にしたらどうだとか、楽しげに言ってきた。
部屋を近くにするのはかまわないけれど、寝室を一緒にするのは絶対に駄目だとロード様から反対があり、その話はなくなった。
まだ、婚約段階の男女が寝室を共にするのは良くない噂が立ってもいけないから、やめておいたほうが良いと私も思う。
それに、寝室を共にするというのは、私もかなり緊張してしまうと思うので、今の段階では断ってもらえて有り難かった。
でも、私は居候の身だし、そのくらいの覚悟はしておかないといけないのかしら。
いやいや、やっぱりそういうことは結婚してからよね。
「……ミレニア!」
「な、何でしょう!?」
現在は夜遅い時間でメルちゃんたちを迎えに来たロード様と私の部屋でお話をしている途中だった。
それなのに、他のことを考えてしまっていたから、ロード様に大きな声で名前を呼ばれてしまったのだ。
「いや、ミレニアが眠そうにしているから、もう部屋に戻ろうと思うんだけど、何かあったのか? 悩み事があるんなら聞くけど」
「申し訳ございません! 悩み事いうほどのものではないので大丈夫です」
「くぅーん」
メルちゃんがやって来て、私の膝に顔を押し付けてきた。
私の元気がないと思って、心配してくれているのね。
そんな優しいメルちゃんの頭を撫でてから、ロード様に言う。
「大丈夫です。何かあれば、ちゃんとお話をさせてもらおうと思いますので、その時はよろしくお願いいたします」
「なら、いいけど。ジーギスやレニス嬢のこと以外にも何かあるなら、1人で悩まずに話をしてほしい」
「ありがとうございます」
ロード様もメルちゃんもハヤテくんも、使用人たちも、みんな私に優しい。
この幸せがこれからも続きますようにと願いながら眠った、次の日の朝のことだった。
ジーギス様から私宛の手紙が届いた。
危険物が入っていないか確認されたあと、封を切られた状態の封筒を受け取り、中身を確認する。
手紙には本気かどうかはわからないけれど、私とよりを戻したいなどという、訳のわからないことが書かれていた。
これは、予想通りの展開といったところかしら。
手紙を読み終えたあとは、手紙を封筒に入れ直して、ロード様に相談することに決めた。
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