婚約破棄していただき、誠にありがとうございます!

風見ゆうみ

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37 どうしたら、そんな考えになるのよ

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 スカディ殿下が何を言ったのか、意味が分からなくて動きを止めていると、ロード様が眉根を寄せて尋ねる。

「食事中だというのに、いきなり押しかけてこられたので、どんな緊急事態かと思ったら、そんな訳のわからない話をするためだったのですか」
「だって、しょうがないじゃないか! レジーは君が好きで、ミレニアは僕のことが好きなんだから!」
「「はい?」」

 私とロード様が驚いて聞き返すと、スカディ殿下は不思議そうに首を傾げる。

「そんなに驚くことじゃないだろ? ミレニア、君なんかは特に自分の気持ちなんだから」
「何を仰っているのか、さっぱりわかりません!」

 食事の途中だというのに、スカディ殿下のせいで食欲がなくなってしまった。

 いつ、何がきっかけで私がスカディ殿下を好きになったことになるの?

 困惑していると、ロード様が確認をいれてくる。

「ミレニア、君がスカディ殿下を好きだなんてことはないよね?」
「ありません! 大体、私はロード様の婚約者で、ここに居候させていただいているのに、スカディ殿下のことを好きになるだなんて、そんな恩知らずなことをするわけないじゃないですか!」

 スカディ様が王族だということを忘れてはっきり言ってしまい、慌てて口を押さえたけど、時既に遅しだった。

 感情をコントロール出来るようにしないといけないのに、スカディ様が相手だと無理だわ。

 反省していた時、スカディ様が悲しそうな顔で聞いてくる。

「どうして? あの時、あんなに優しくしてくれたのに違うって言うのかい!? 君は好きでもない人に優しくできるのか? どれだけ出来た人なんだよ!?」

 意味がわからないわ。
 恋愛感情がなくても、人に優しくすることはあるでしょうに。

 それに、私がいつ優しくしたのかしら。
 優しくした時がわからないので、スカディ様に聞いてみる。

「あの時とはいつのことでしょう」
「庭で会った時だよ!」
「庭で会った?」
「犬を追っ払ってくれたじゃないか!」
「あれは優しさではありません! 当たり前の行動です!」

 訴えると、スカディ様はショックを受けた顔をする。

「僕を……、弄んでいたのか」

 どうしたら、そんな考えになるのよ。

 呆れ返っていると、ロード様が立ち上がってダイニングルームの扉の近くにいるスカディ様に近付いていく。

「スカディ殿下、いいかげんにして下さい。自分の付き人を管理できていないだけでなく、僕の婚約者にまで訳のわからない話をしないで下さい。あなたの中で、レジー嬢が必要ないのであれば、帰っていただくように伝えてもらえませんか?」
「レジーとは、子供の頃からずっと一緒なんだよ。今さら、いなくなってしまうなんて寂しい。だって、この国には家族もいないんだよ? 僕は一人ぼっちになっちゃうじゃないか」
「その彼女は僕につきまとってきているのですから、結局は一人になっているのではないですか?  そんなに寂しいのであれば、付き人を他の方に変更していただきたい。それから、僕の婚約者が平気で浮気するようなタイプに見えるんですか?」
「わ、悪かったよ。そんなに怒らなくてもいいじゃないか」

 スカディ様はしゅんと肩を落とすと、ちらりと私のほうを見た。
 その視線を受け、立ち上がって頭を下げる。

「誤解をさせてしまうような行動をとってしまったのであればお詫び申し上げます。私はスカディ殿下に対して恋愛感情を一度も持ったことがございませんので、ご安心ください」
「そ、それは、それで悲しいかな」

 泣きそうになっているスカディ様にロード様が尋ねる。

「それはどういう意味です?」
「だって、僕はミレニアみたいな年上の人が大好きなんだよ」
「……はあ」

 ロード様が苦虫を噛み潰したような顔になった。

 ……年上が好きなら、私以外にもたくさんいるんですけど。

「いい加減にしてください」

 さすがのロード様も、スカディ様の発言に我慢ができなくなったみたいで、強い口調で言った。 

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