50 / 52
44 ご心配なく
しおりを挟む
「どうしてそんなことを言うんだよ!? まだわからないじゃないか!」
「絶対にありえません」
私が何か言う前にロード様が答えてくれるから、スカディ様は納得できないといった様子で叫ぶ。
「さっきの言葉はロードに言ったんじゃない! ミレニアに言ったんだよ!」
「ミレニアは僕の婚約者です。他の男性が興味を持とうとしているのなら、それを断ち切るのも婚約者である僕の務めだと思っています」
こんなことを男性に言われる日が来るだなんて思ってもいなかった。
だからなのか、それともロード様に言ってもらえたからなのかわからないけれど、胸がドキドキした。
「……どうかしたか?」
「いえ、何でもありません!」
私の様子がおかしいことに気が付いたロード様が不思議そうな顔で聞いてきたので、慌てて首を横に振った。
こんな時にときめいてしまうなんて呑気すぎるわよね。
気合を入れ直すために両頬を叩いてから、スカディ様に私の口から伝える。
「申し訳ございませんが、スカディ殿下、私はあなたのお気持ちには応えられません」
「ど、どうして!? 僕は王子なんだよ!?」
「王子だからといって、気持ちに応えないといけないわけではありません」
眉根を寄せて答えると、スカディ様は子供みたいに頬を膨らませる。
「僕が思ってあげるって言ってるんだよ!? どうして気持ちを返してくれないんだよ!?」
「あの、ですからっ」
話が通じなさすぎて、さすがに頭にきてしまい、語気を荒げた時だった。
「ミレニアは僕の婚約者だと先程も言ったでしょう。あなたには渡しません」
ロード様が冷たい声でスカディ様に言うと、今度は完全に蚊帳の外になっているレジーさんに顔を向ける。
「部屋を忘れてしまったようなので、お連れしよう」
「わ、忘れてなんかいないわよ! 戻りたくないだけよ!」
レジーさんの言葉を無視して、ロード様はちょうど自分の背後に立っていた女性騎士に声を掛ける。
「メイドに案内させるから、レジー嬢を部屋まで運んでくれないか? 男性に抱きかかえさせるわけにもいかないから」
「承知いたしました」
普段、私の部屋の前で護衛任務についてくれている女性騎士は一礼すると、レジーさんに近付いて彼女の腕をとった。
「失礼いたします」
「嫌よ、やめてよ!」
「申し訳ございませんが命令ですので」
レジーさんは泣きなら嫌だと訴えた。
でも、女性騎士二人に引きずられて連れて行かれた。
……可哀想だと思わなくてもいいわよね?
レジーさんの姿が見えなくなると、突然、お座りしていたメルちゃんが立ち上がり、スカディ様に近付いていった。
ふさりふさりと尻尾を振っているので、どこか嬉しそうにも見える。
どうして近付いていくのかしら?
そう思った時、スカディ様のズボンのポケットが膨らんでいるのが見えた。
そして、メルちゃんの視線がそちらに向けられていることに気がつく。
すると、ハヤテくんが私の腕の中で暴れ始めた。
おろせと言っているみたいだけど、スカディ様に近づいていきそうだから、おろすことはできない。
「スカディ殿下、ポケットの中には何が入ってるんですか?」
ロード様が尋ねると、スカディ様はポケットの中から小さな袋を取り出して答える。
「ビスケットだよ! 厨房に用意してあったんだ! 小腹が減ったから持ってきたんだよ!」
「その袋は……」
ロード様が眉根を寄せて呟いた。
スカディ様が持っている袋は、メルちゃんとハヤテくんのおやつを入れる袋だった。
メルちゃんはおやつの匂いがするから近づいていったみたいだった。
「まだ食べていないんですよね?」
「食べたよ! 薄味だったけど美味しかった」
私とロード様は思わず顔を見合わせた。
犬に人間の味付けと同じものをあげるのは体に良くない。
だから、メルちゃんたちのおやつは公爵邸の料理人に作ってもらっている。
味は薄くても、良い素材で作られているから美味しく感じるのはおかしくない。
「スカディ殿下、それは犬のおやつです。あなたがおやつをくれると犬は思っています」
「え? そんな、嘘だろ?」
スカディ殿下は情けない声を上げて聞き返してきた。
「残念ながら嘘ではありません。体に害はありませんのでご心配なく」
苦笑して言うと、スカディ様は「そんなぁ!」と叫んで、その場に座り込んだのだった。
※
もう少しで終わりです。
どうでも良い話ですが、祖父母の家に犬を連れて遊びに行ってたら、犬用のお菓子を用意してくれるようになりました。
で、それをテーブルに置いていたら伯父が食べていたそうです。しかも半分以上。
見た目が普通のクッキーと変わらないですし、気付かなければ私も食べてしまいそうな気がします。
「絶対にありえません」
私が何か言う前にロード様が答えてくれるから、スカディ様は納得できないといった様子で叫ぶ。
「さっきの言葉はロードに言ったんじゃない! ミレニアに言ったんだよ!」
「ミレニアは僕の婚約者です。他の男性が興味を持とうとしているのなら、それを断ち切るのも婚約者である僕の務めだと思っています」
こんなことを男性に言われる日が来るだなんて思ってもいなかった。
だからなのか、それともロード様に言ってもらえたからなのかわからないけれど、胸がドキドキした。
「……どうかしたか?」
「いえ、何でもありません!」
私の様子がおかしいことに気が付いたロード様が不思議そうな顔で聞いてきたので、慌てて首を横に振った。
こんな時にときめいてしまうなんて呑気すぎるわよね。
気合を入れ直すために両頬を叩いてから、スカディ様に私の口から伝える。
「申し訳ございませんが、スカディ殿下、私はあなたのお気持ちには応えられません」
「ど、どうして!? 僕は王子なんだよ!?」
「王子だからといって、気持ちに応えないといけないわけではありません」
眉根を寄せて答えると、スカディ様は子供みたいに頬を膨らませる。
「僕が思ってあげるって言ってるんだよ!? どうして気持ちを返してくれないんだよ!?」
「あの、ですからっ」
話が通じなさすぎて、さすがに頭にきてしまい、語気を荒げた時だった。
「ミレニアは僕の婚約者だと先程も言ったでしょう。あなたには渡しません」
ロード様が冷たい声でスカディ様に言うと、今度は完全に蚊帳の外になっているレジーさんに顔を向ける。
「部屋を忘れてしまったようなので、お連れしよう」
「わ、忘れてなんかいないわよ! 戻りたくないだけよ!」
レジーさんの言葉を無視して、ロード様はちょうど自分の背後に立っていた女性騎士に声を掛ける。
「メイドに案内させるから、レジー嬢を部屋まで運んでくれないか? 男性に抱きかかえさせるわけにもいかないから」
「承知いたしました」
普段、私の部屋の前で護衛任務についてくれている女性騎士は一礼すると、レジーさんに近付いて彼女の腕をとった。
「失礼いたします」
「嫌よ、やめてよ!」
「申し訳ございませんが命令ですので」
レジーさんは泣きなら嫌だと訴えた。
でも、女性騎士二人に引きずられて連れて行かれた。
……可哀想だと思わなくてもいいわよね?
レジーさんの姿が見えなくなると、突然、お座りしていたメルちゃんが立ち上がり、スカディ様に近付いていった。
ふさりふさりと尻尾を振っているので、どこか嬉しそうにも見える。
どうして近付いていくのかしら?
そう思った時、スカディ様のズボンのポケットが膨らんでいるのが見えた。
そして、メルちゃんの視線がそちらに向けられていることに気がつく。
すると、ハヤテくんが私の腕の中で暴れ始めた。
おろせと言っているみたいだけど、スカディ様に近づいていきそうだから、おろすことはできない。
「スカディ殿下、ポケットの中には何が入ってるんですか?」
ロード様が尋ねると、スカディ様はポケットの中から小さな袋を取り出して答える。
「ビスケットだよ! 厨房に用意してあったんだ! 小腹が減ったから持ってきたんだよ!」
「その袋は……」
ロード様が眉根を寄せて呟いた。
スカディ様が持っている袋は、メルちゃんとハヤテくんのおやつを入れる袋だった。
メルちゃんはおやつの匂いがするから近づいていったみたいだった。
「まだ食べていないんですよね?」
「食べたよ! 薄味だったけど美味しかった」
私とロード様は思わず顔を見合わせた。
犬に人間の味付けと同じものをあげるのは体に良くない。
だから、メルちゃんたちのおやつは公爵邸の料理人に作ってもらっている。
味は薄くても、良い素材で作られているから美味しく感じるのはおかしくない。
「スカディ殿下、それは犬のおやつです。あなたがおやつをくれると犬は思っています」
「え? そんな、嘘だろ?」
スカディ殿下は情けない声を上げて聞き返してきた。
「残念ながら嘘ではありません。体に害はありませんのでご心配なく」
苦笑して言うと、スカディ様は「そんなぁ!」と叫んで、その場に座り込んだのだった。
※
もう少しで終わりです。
どうでも良い話ですが、祖父母の家に犬を連れて遊びに行ってたら、犬用のお菓子を用意してくれるようになりました。
で、それをテーブルに置いていたら伯父が食べていたそうです。しかも半分以上。
見た目が普通のクッキーと変わらないですし、気付かなければ私も食べてしまいそうな気がします。
800
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたので聖獣育てて田舎に帰ったら、なぜか世界の中心になっていました
かしおり
恋愛
「アメリア・ヴァルディア。君との婚約は、ここで破棄する」
王太子ロウェルの冷酷な言葉と共に、彼は“平民出身の聖女”ノエルの手を取った。
だが侯爵令嬢アメリアは、悲しむどころか——
「では、実家に帰らせていただきますね」
そう言い残し、静かにその場を後にした。
向かった先は、聖獣たちが棲まう辺境の地。
かつて彼女が命を救った聖獣“ヴィル”が待つ、誰も知らぬ聖域だった。
魔物の侵攻、暴走する偽聖女、崩壊寸前の王都——
そして頼る者すらいなくなった王太子が頭を垂れたとき、
アメリアは静かに告げる。
「もう遅いわ。今さら後悔しても……ヴィルが許してくれないもの」
聖獣たちと共に、新たな居場所で幸せに生きようとする彼女に、
世界の運命すら引き寄せられていく——
ざまぁもふもふ癒し満載!
婚約破棄から始まる、爽快&優しい異世界スローライフファンタジー!
(完結)お荷物聖女と言われ追放されましたが、真のお荷物は追放した王太子達だったようです
しまうま弁当
恋愛
伯爵令嬢のアニア・パルシスは婚約者であるバイル王太子に突然婚約破棄を宣言されてしまうのでした。
さらにはアニアの心の拠り所である、聖女の地位まで奪われてしまうのでした。
訳が分からないアニアはバイルに婚約破棄の理由を尋ねましたが、ひどい言葉を浴びせつけられるのでした。
「アニア!お前が聖女だから仕方なく婚約してただけだ。そうでなけりゃ誰がお前みたいな年増女と婚約なんかするか!!」と。
アニアの弁明を一切聞かずに、バイル王太子はアニアをお荷物聖女と決めつけて婚約破棄と追放をさっさと決めてしまうのでした。
挙句の果てにリゼラとのイチャイチャぶりをアニアに見せつけるのでした。
アニアは妹のリゼラに助けを求めましたが、リゼラからはとんでもない言葉が返ってきたのでした。
リゼラこそがアニアの追放を企てた首謀者だったのでした。
アニアはリゼラの自分への悪意を目の当たりにして愕然しますが、リゼラは大喜びでアニアの追放を見送るのでした。
信じていた人達に裏切られたアニアは、絶望して当てもなく宿屋生活を始めるのでした。
そんな時運命を変える人物に再会するのでした。
それはかつて同じクラスで一緒に学んでいた学友のクライン・ユーゲントでした。
一方のバイル王太子達はアニアの追放を喜んでいましたが、すぐにアニアがどれほどの貢献をしていたかを目の当たりにして自分達こそがお荷物であることを思い知らされるのでした。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
全25話執筆済み 完結しました
政略結婚した旦那様に「貴女を愛することはない」と言われたけど、猫がいるから全然平気
ハルイロ
恋愛
皇帝陛下の命令で、唐突に決まった私の結婚。しかし、それは、幸せとは程遠いものだった。
夫には顧みられず、使用人からも邪険に扱われた私は、与えられた粗末な家に引きこもって泣き暮らしていた。そんな時、出会ったのは、1匹の猫。その猫との出会いが私の運命を変えた。
猫達とより良い暮らしを送るために、夫なんて邪魔なだけ。それに気付いた私は、さっさと婚家を脱出。それから数年、私は、猫と好きなことをして幸せに過ごしていた。
それなのに、なぜか態度を急変させた夫が、私にグイグイ迫ってきた。
「イヤイヤ、私には猫がいればいいので、旦那様は今まで通り不要なんです!」
勘違いで妻を遠ざけていた夫と猫をこよなく愛する妻のちょっとずれた愛溢れるお話
【完結】公爵家のメイドたる者、炊事、洗濯、剣に魔法に結界術も完璧でなくてどうします?〜聖女様、あなたに追放されたおかげで私は幸せになれました
冬月光輝
恋愛
ボルメルン王国の聖女、クラリス・マーティラスは王家の血を引く大貴族の令嬢であり、才能と美貌を兼ね備えた完璧な聖女だと国民から絶大な支持を受けていた。
代々聖女の家系であるマーティラス家に仕えているネルシュタイン家に生まれたエミリアは、大聖女お付きのメイドに相応しい人間になるために英才教育を施されており、クラリスの側近になる。
クラリスは能力はあるが、傍若無人の上にサボり癖のあり、すぐに癇癪を起こす手の付けられない性格だった。
それでも、エミリアは家を守るために懸命に彼女に尽くし努力する。クラリスがサボった時のフォローとして聖女しか使えないはずの結界術を独学でマスターするほどに。
そんな扱いを受けていたエミリアは偶然、落馬して大怪我を負っていたこの国の第四王子であるニックを助けたことがきっかけで、彼と婚約することとなる。
幸せを掴んだ彼女だが、理不尽の化身であるクラリスは身勝手な理由でエミリアをクビにした。
さらに彼女はクラリスによって第四王子を助けたのは自作自演だとあらぬ罪をでっち上げられ、家を潰されるかそれを飲み込むかの二択を迫られ、冤罪を被り国家追放に処される。
絶望して隣国に流れた彼女はまだ気付いていなかった、いつの間にかクラリスを遥かに超えるほどハイスペックになっていた自分に。
そして、彼女こそ国を守る要になっていたことに……。
エミリアが隣国で力を認められ巫女になった頃、ボルメルン王国はわがまま放題しているクラリスに反発する動きが見られるようになっていた――。
「白い結婚最高!」と喜んでいたのに、花の香りを纏った美形旦那様がなぜか私を溺愛してくる【完結】
清澄 セイ
恋愛
フィリア・マグシフォンは子爵令嬢らしからぬのんびりやの自由人。自然の中でぐうたらすることと、美味しいものを食べることが大好きな恋を知らないお子様。
そんな彼女も18歳となり、強烈な母親に婚約相手を選べと毎日のようにせっつかれるが、選び方など分からない。
「どちらにしようかな、天の神様の言う通り。はい、決めた!」
こんな具合に決めた相手が、なんと偶然にもフィリアより先に結婚の申し込みをしてきたのだ。相手は王都から遠く離れた場所に膨大な領地を有する辺境伯の一人息子で、顔を合わせる前からフィリアに「これは白い結婚だ」と失礼な手紙を送りつけてくる癖者。
けれど、彼女にとってはこの上ない条件の相手だった。
「白い結婚?王都から離れた田舎?全部全部、最高だわ!」
夫となるオズベルトにはある秘密があり、それゆえ女性不信で態度も酷い。しかも彼は「結婚相手はサイコロで適当に決めただけ」と、面と向かってフィリアに言い放つが。
「まぁ、偶然!私も、そんな感じで選びました!」
彼女には、まったく通用しなかった。
「なぁ、フィリア。僕は君をもっと知りたいと……」
「好きなお肉の種類ですか?やっぱり牛でしょうか!」
「い、いや。そうではなく……」
呆気なくフィリアに初恋(?)をしてしまった拗らせ男は、鈍感な妻に不器用ながらも愛を伝えるが、彼女はそんなことは夢にも思わず。
──旦那様が真実の愛を見つけたらさくっと離婚すればいい。それまでは田舎ライフをエンジョイするのよ!
と、呑気に蟻の巣をつついて暮らしているのだった。
※他サイトにも掲載中。
罰として醜い辺境伯との婚約を命じられましたが、むしろ望むところです! ~私が聖女と同じ力があるからと復縁を迫っても、もう遅い~
上下左右
恋愛
「貴様のような疫病神との婚約は破棄させてもらう!」
触れた魔道具を壊す体質のせいで、三度の婚約破棄を経験した公爵令嬢エリス。家族からも見限られ、罰として鬼将軍クラウス辺境伯への嫁入りを命じられてしまう。
しかしエリスは周囲の評価など意にも介さない。
「顔なんて目と鼻と口がついていれば十分」だと縁談を受け入れる。
だが実際に嫁いでみると、鬼将軍の顔は認識阻害の魔術によって醜くなっていただけで、魔術無力化の特性を持つエリスは、彼が本当は美しい青年だと見抜いていた。
一方、エリスの特異な体質に、元婚約者の伯爵が気づく。それは伝説の聖女と同じ力で、領地の繁栄を約束するものだった。
伯爵は自分から婚約を破棄したにも関わらず、その決定を覆すために復縁するための画策を始めるのだが・・・後悔してももう遅いと、ざまぁな展開に発展していくのだった
本作は不遇だった令嬢が、最恐将軍に溺愛されて、幸せになるまでのハッピーエンドの物語である
※※小説家になろうでも連載中※※
私生児聖女は二束三文で売られた敵国で幸せになります!
近藤アリス
恋愛
私生児聖女のコルネリアは、敵国に二束三文で売られて嫁ぐことに。
「悪名高い国王のヴァルター様は私好みだし、みんな優しいし、ご飯美味しいし。あれ?この国最高ですわ!」
声を失った儚げ見た目のコルネリアが、勘違いされたり、幸せになったりする話。
※ざまぁはほんのり。安心のハッピーエンド設定です!
※「カクヨム」にも掲載しています。
偽聖女と蔑まれた私、冷酷と噂の氷の公爵様に「見つけ出した、私の運命」と囚われました 〜荒れ果てた領地を力で満たしたら、とろけるほど溺愛されて
放浪人
恋愛
「君は偽物の聖女だ」——その一言で、私、リリアーナの人生は転落した。 持っていたのは「植物を少しだけ元気にする」という地味な力。華やかな治癒魔法を使う本物の聖女イザベラ様の登場で、私は偽物として王都から追放されることになった。
行き場もなく絶望する私の前に現れたのは、「氷の公爵」と人々から恐れられるアレクシス様。 冷たく美しい彼は、なぜか私を自身の領地へ連れて行くと言う。
たどり着いたのは、呪われていると噂されるほど荒れ果てた土地。 でも、私は諦めなかった。私にできる、たった一つの力で、この地を緑で満たしてみせる。
ひたむきに頑張るうち、氷のように冷たかったはずのアレクシス様が、少しずつ私にだけ優しさを見せてくれるように。 「リリアーナ、君は私のものだ」 ——彼の瞳に宿る熱い独占欲に気づいた時、私たちの運命は大きく動き出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる