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9 懇願する妹と拒否する王太子
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「そんな…、嘘でしょう…? 酷いわ、お父様! どうして教えてくれなかったんですか!? お父様は私よりもお姉様の方が可愛いから、私をわざと苦しめる方向に持っていったんですか!?」
「意味がわからない。私は家族に対してそこまで性格は悪くないつもりだが? ルピノの事もルリと同じ様に可愛がっているからこそ、セイン殿下と婚約したいというお前の願いを叶えようとした。それでどうして責められないといけないんだ? 私を責めるとしたらルリからだろうと覚悟していたが、まさかルピノの方に責められるとはな…」
お父様が私の方を見て言うので、首を横に振る。
「婚約者をルピノに奪われたからといって、お父様を責めたりはいたしません。私はお父様や国王陛下の判断に従うまでです。セイン殿下に恋愛の情がなかったといえば嘘になりますが、セイン殿下がルピノとの婚約を望まれている様ですし、私はセイン殿下の婚約破棄を受け入れるつもりです。それが、セイン殿下の幸せにつながるのですから。そして、お父様に許していただけるのであれば、私を必要としてくださっているアズアルド殿下との婚約を受けるつもりでいます」
公爵令嬢が王太子に対する発言とすると、少し上から目線の様な気もするけれど、別にいいわよね?
確認する様にアズアルド殿下の方を見ると、にこりと微笑んでくれた。
今は落ち着いた笑みだけれど、昔はいたずらっ子みたいな笑みだった。
その笑顔に惹かれていたのに、今は今で、落ち着いた微笑みでも心が騒いでしまうなんて、公爵令嬢として失格ね。
一礼して上手く視線をそらし、お父様の方を見ると、お父様も笑顔で頷いてくれる。
「それは良かった。これで、王太子殿下お二人共だけでなく、ルピノもルリも幸せになれる。アズアルド王太子殿下、ルリの事をお待ちいただき、ありがとうございました」
私を待っていた…?
意味がわからなくて困惑していると、トーリ様が手を挙げる。
「発言してもよろしいでしょうか」
「もちろんです」
お父様が頷くと、アズアルド殿下も無言で頷いた。
すると、トーリ様が口を開く。
「アズアルド殿下は学園の最終日に、ルリ様に」
「トーリ…」
じろりとアズアルド殿下に睨まれて、トーリ様は小さく息を吐く。
「お別れをされたと言おうとしただけですが…?」
「……なら良い」
学園に来る最後の日に私にあんな事を言っただなんて言われたくないわよね…。
アズアルド殿下が頷いたのを確認すると、トーリ様は話を続けてくれる。
「その時に殿下はルリ様を忘れるつもりでいたようですが、どうしても忘れられなかった様で、見兼ねた国王陛下が、トニア公爵に連絡を入れられたのです。ルリ様が結婚するまでは、アズアルド殿下には婚約者は作らずに待たせると」
「………待たせる?」
信じられなくて、アズアルド殿下を見ると、彼は恥ずかしげに顔を背ける。
「しょうがないだろ…。何年も一緒だったんだ。そう簡単に忘れられるわけがない」
「……嬉しいです。ありがとうございます、殿下」
心からの御礼の言葉を伝えると、アズアルド殿下はホッとしたのか、とても嬉しそうな笑顔を見せてくれた。
昔、彼を好きだった時の気持ちが思い出されて、鼓動が速くなった。
それは、ルピノも同じだった。
「アズ…、いえ、アズアルド殿下! それなら、私の気持ちも理解してくださりますよね!? 私だってずっと、アズアルド殿下をお慕いしていたんです! 本当に忘れられなくて…」
ルピノは座っているアズアルド殿下の横にしゃがみ込むと続ける。
「私は良い妻になれます。どうか、私にチャンスを下さいませんか? お姉様はまだ、セイン殿下と婚約中です。そして、私はセイン殿下との婚約を拒否いたします。そうなれば、お姉様は…」
「ルピノ、残念だけれど、たとえ、あなたがセイン殿下と婚約をしなくても、私は婚約破棄されたのだからそれを受け入れるわ」
懇願しているルピノに冷たく言うと、彼女は立ち上がって叫ぶ。
「お姉様は黙っていて! 私は今、アズアルド殿下と話をしてるのよ!」
「悪いがルピノ嬢。僕にとっては今がチャンスなんだよ。ずっと好きだった人が僕の婚約者になろうとしてくれている。なのに、わざわざそのチャンスを、君にチャンスを与える為に逃すと思うのか?」
アズアルド殿下に笑顔で聞かれ、ルピノは泣き出しそうな顔をして唇を噛み締めた。
「意味がわからない。私は家族に対してそこまで性格は悪くないつもりだが? ルピノの事もルリと同じ様に可愛がっているからこそ、セイン殿下と婚約したいというお前の願いを叶えようとした。それでどうして責められないといけないんだ? 私を責めるとしたらルリからだろうと覚悟していたが、まさかルピノの方に責められるとはな…」
お父様が私の方を見て言うので、首を横に振る。
「婚約者をルピノに奪われたからといって、お父様を責めたりはいたしません。私はお父様や国王陛下の判断に従うまでです。セイン殿下に恋愛の情がなかったといえば嘘になりますが、セイン殿下がルピノとの婚約を望まれている様ですし、私はセイン殿下の婚約破棄を受け入れるつもりです。それが、セイン殿下の幸せにつながるのですから。そして、お父様に許していただけるのであれば、私を必要としてくださっているアズアルド殿下との婚約を受けるつもりでいます」
公爵令嬢が王太子に対する発言とすると、少し上から目線の様な気もするけれど、別にいいわよね?
確認する様にアズアルド殿下の方を見ると、にこりと微笑んでくれた。
今は落ち着いた笑みだけれど、昔はいたずらっ子みたいな笑みだった。
その笑顔に惹かれていたのに、今は今で、落ち着いた微笑みでも心が騒いでしまうなんて、公爵令嬢として失格ね。
一礼して上手く視線をそらし、お父様の方を見ると、お父様も笑顔で頷いてくれる。
「それは良かった。これで、王太子殿下お二人共だけでなく、ルピノもルリも幸せになれる。アズアルド王太子殿下、ルリの事をお待ちいただき、ありがとうございました」
私を待っていた…?
意味がわからなくて困惑していると、トーリ様が手を挙げる。
「発言してもよろしいでしょうか」
「もちろんです」
お父様が頷くと、アズアルド殿下も無言で頷いた。
すると、トーリ様が口を開く。
「アズアルド殿下は学園の最終日に、ルリ様に」
「トーリ…」
じろりとアズアルド殿下に睨まれて、トーリ様は小さく息を吐く。
「お別れをされたと言おうとしただけですが…?」
「……なら良い」
学園に来る最後の日に私にあんな事を言っただなんて言われたくないわよね…。
アズアルド殿下が頷いたのを確認すると、トーリ様は話を続けてくれる。
「その時に殿下はルリ様を忘れるつもりでいたようですが、どうしても忘れられなかった様で、見兼ねた国王陛下が、トニア公爵に連絡を入れられたのです。ルリ様が結婚するまでは、アズアルド殿下には婚約者は作らずに待たせると」
「………待たせる?」
信じられなくて、アズアルド殿下を見ると、彼は恥ずかしげに顔を背ける。
「しょうがないだろ…。何年も一緒だったんだ。そう簡単に忘れられるわけがない」
「……嬉しいです。ありがとうございます、殿下」
心からの御礼の言葉を伝えると、アズアルド殿下はホッとしたのか、とても嬉しそうな笑顔を見せてくれた。
昔、彼を好きだった時の気持ちが思い出されて、鼓動が速くなった。
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「アズ…、いえ、アズアルド殿下! それなら、私の気持ちも理解してくださりますよね!? 私だってずっと、アズアルド殿下をお慕いしていたんです! 本当に忘れられなくて…」
ルピノは座っているアズアルド殿下の横にしゃがみ込むと続ける。
「私は良い妻になれます。どうか、私にチャンスを下さいませんか? お姉様はまだ、セイン殿下と婚約中です。そして、私はセイン殿下との婚約を拒否いたします。そうなれば、お姉様は…」
「ルピノ、残念だけれど、たとえ、あなたがセイン殿下と婚約をしなくても、私は婚約破棄されたのだからそれを受け入れるわ」
懇願しているルピノに冷たく言うと、彼女は立ち上がって叫ぶ。
「お姉様は黙っていて! 私は今、アズアルド殿下と話をしてるのよ!」
「悪いがルピノ嬢。僕にとっては今がチャンスなんだよ。ずっと好きだった人が僕の婚約者になろうとしてくれている。なのに、わざわざそのチャンスを、君にチャンスを与える為に逃すと思うのか?」
アズアルド殿下に笑顔で聞かれ、ルピノは泣き出しそうな顔をして唇を噛み締めた。
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