酷いことをしたのはあなたの方です

風見ゆうみ

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1−4  オルザベート視点

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 エアリスに会えなくなって、約一年がたった。
 子供が生まれたというのに、エアリスは何も連絡をくれなかった。
 久しぶりに会えると思ったのに…。

 カイジス公爵はエアリスに忘却魔法をかけると言っていたけど、エアリスは私の事を本当に忘れてしまったの?

 そんな事はないわよね。

 彼女の祖父母の形見が魔法の効果を解除してくれると、ティンカーが言っていたから、私の事を思い出してくれているはずよね?

 何より、エアリスの中で、私の存在は一番大きいんだから、私の存在がなくなれば、エアリスの心にぽっかり穴が開くようなもの。

 忘れられるはずがない。

「本当にエアルを置いていって良かったのかい?」
「ええ。エアリスは子供を育てた事はないかもしれないけど、カイジス家の誰かは育てた事があるはずだから苦労はしないはずよ」
「ならいいけど。僕達、こんな風に逃げて捕まったりしないかな」
「私達は警察に捕まっていたわけじゃないわ。あの家に閉じ込めていたのはカイジス公爵よ。私達はカイジス公爵から逃れたの。本当はあの男を破滅させたいけど、そうするとエアリスの生活が良くなくなるかもしれないから止めておくわ。エアリスとあなたとエアルと4人で幸せに暮らしせるようになってから考えましょう」

 微笑んであげると、ティンカーは頬を染めて頷いた。

 今、私達はティンカーが魅了魔法をかけた女性の家で暮らしている。
 解除されないかぎりは、私達がここで身を隠していられるはず。

 それにしても、解放感というのはこういうことね。

 エアルというのが私の息子の名前なのだけれど、エアルがいなくなってから、精神的に楽になった。
 
 本当は子供なんてほしくなかった。
 自分の子は可愛いというけれど、世話をしないといけないし、夜泣きはするしで大変だった。
 まあ、ほとんどティンカーが面倒をみてくれたんだけど。

 彼は自分の子供だと思っているみたいだけど、実際、ロンバートの子なのか、ティンカーとの子なのか、私にはわからない。
 同時進行で付き合っていたから。

 それは全部、私とエアリスの未来のため。
 
 あんなに苦しんで生んだ子なのに、全然、可愛いと思えなかった。
 それはきっと、エアリスが近くにいないから。

 まあ、こんな事を考えているって知ったら、真面目なエアリスの事だから、赤ちゃんを一番に考えなさいって怒るだろうから、再会しても、彼女には絶対にそんな事を言わないようにしなくっちゃ。

 エアリス。
 すぐには行けないけれど、少しずつ、あなたに近付いていくからね?

 それまで、私を信じて待っていてね?

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