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第二部
12 女王陛下の軽い謝罪
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それからはすぐに部屋にあるシャワーを浴びて、歯を磨いたりしたあとは、指定された時間まで、ゆっくり過ごした。
そして、招待状に書かれていた時間の10分前くらいに、メイドが迎えに来てくれたので、彼女について行くと、本宮と別宮の境にある、庭園の中の白いガゼボに案内された。
ガゼボの中にはすでに女王陛下と王配であるディール様が席に着いていて、私とリアムは慌てて、遅くなってしまったことをわびた。
「気にしないでくれ。昨日のお詫びのつもりで呼んだんだ。セーラ、君も謝るんだ。悪いことをしたのは君だからね」
「ごめんなさいね、リアム。何より、アイリスには嫌な思いをさせてしまったわよね? 本当にごめんなさい」
しゅんと肩を落として、女王陛下は上目遣いで私を見てくる。
許してくれるわよね?
といった感じね。
「いえ。主人を褒めていただけて光栄です」
「そうなの! 褒めたつもりだったの! だけど、どうしても欲しくなってしまって……。私にはディールがいるのに……」
今にも泣き出しそうな顔で女王陛下は手を合わせて私に謝ってきたあと、隣に座っているディール殿下のほうを見る。
「そのことに関しては、僕は気にしていないよ。マオニール公爵は本当に魅力的だしね。ただ、あんな発言をしたことは良くない」
「お褒めの言葉をいただき、ありがとうございます」
リアムは謙遜はせずにディール殿下の言葉に頭を下げた。
変に謙遜してしまうと、失礼な態度だととられる場合があるからかもしれない。
「本当にね、本当にそう思っていたのよ」
「ん?」
女王陛下の様子がおかしいことに気付かれたのか、ディール殿下が不思議そうな声を上げられた。
「ねえ、ディール」
「何かな?」
「あなたは、自分が一番であれば、愛人を作ってもいいって言ってたわよね?」
「言ってはいたけど、マオニール公爵は駄目だからね」
「どうして駄目なの?」
ああ。
なんだか頭痛がしてきた。
目の前にはいつもならば目を輝かせてしまいそうな、綺麗なデザートが並べられているけれど、まったく美味しそうに見えない。
お腹が減っていないわけではないはずなのに、食事をする気にもなれないなんて、精神的なものかしら。
だって、目の前にいる御二人は王族だし、しかも、女王陛下はリアムが欲しいと言ってきてるんだもの。
「アイリス、体調が悪そうだけど…」
「あら、本当だわ! 大変! 旅の疲れが出てしまったのかも。それなのに、朝からお呼び出ししてしまってごめんなさい。リアム、アイリスを連れて、部屋に戻っていいわよ?」
リアムの言葉を聞いた女王陛下は、意地悪をするとか、そういう気はないのか、気分が悪そうにしている私を、本当に心配げな表情で見つめてから、リアムに言ってくれた。
「ありがとうございます。アイリス、部屋に戻ろう」
「いえ。リアムは残って下さい」
「そんな訳にはいかないだろう」
「女王陛下のお誘いを夫婦揃って途中で退出するわけにはいかないでしょう?」
「だけど」
静かに立ち上がって、女王陛下とディール殿下に頭を下げる。
「申し訳ございません。体調が優れませんので、お言葉に甘えさせていただき、私だけ退席させていただきます」
「何を言ってるの。リアムと一緒に帰ったほうがいいわ。これは命令です。リアムも一緒に部屋に戻りなさい。アイリスのそばにいてあげて」
「寛大なお心遣いに感謝いたします」
リアムは椅子から立ち上がると、何も言わずに私を抱きかかえた。
「リ、リアム! 大丈夫です、歩けますから!」
「駄目だ。ものすごく顔色が悪い。ディール殿下、申し訳ありませんが、医者を呼んでいただきたいんです。どなたにお願いすれば良いですか」
「もちろんだ。すぐに手配する」
ディール殿下が頷いて、近くにいた側近らしき人に指示をしてくれた。
リアムは私を抱き抱えたまま、迷うことなく、私達の部屋のほうに向かって歩き出す。
「リアム、本当に自分で歩けますから!」
「駄目」
リアムの代わりに騎士達が私を抱えると言ってくれたけれど、彼は拒否して、部屋まで私を連れて行ってくれた。
そして、招待状に書かれていた時間の10分前くらいに、メイドが迎えに来てくれたので、彼女について行くと、本宮と別宮の境にある、庭園の中の白いガゼボに案内された。
ガゼボの中にはすでに女王陛下と王配であるディール様が席に着いていて、私とリアムは慌てて、遅くなってしまったことをわびた。
「気にしないでくれ。昨日のお詫びのつもりで呼んだんだ。セーラ、君も謝るんだ。悪いことをしたのは君だからね」
「ごめんなさいね、リアム。何より、アイリスには嫌な思いをさせてしまったわよね? 本当にごめんなさい」
しゅんと肩を落として、女王陛下は上目遣いで私を見てくる。
許してくれるわよね?
といった感じね。
「いえ。主人を褒めていただけて光栄です」
「そうなの! 褒めたつもりだったの! だけど、どうしても欲しくなってしまって……。私にはディールがいるのに……」
今にも泣き出しそうな顔で女王陛下は手を合わせて私に謝ってきたあと、隣に座っているディール殿下のほうを見る。
「そのことに関しては、僕は気にしていないよ。マオニール公爵は本当に魅力的だしね。ただ、あんな発言をしたことは良くない」
「お褒めの言葉をいただき、ありがとうございます」
リアムは謙遜はせずにディール殿下の言葉に頭を下げた。
変に謙遜してしまうと、失礼な態度だととられる場合があるからかもしれない。
「本当にね、本当にそう思っていたのよ」
「ん?」
女王陛下の様子がおかしいことに気付かれたのか、ディール殿下が不思議そうな声を上げられた。
「ねえ、ディール」
「何かな?」
「あなたは、自分が一番であれば、愛人を作ってもいいって言ってたわよね?」
「言ってはいたけど、マオニール公爵は駄目だからね」
「どうして駄目なの?」
ああ。
なんだか頭痛がしてきた。
目の前にはいつもならば目を輝かせてしまいそうな、綺麗なデザートが並べられているけれど、まったく美味しそうに見えない。
お腹が減っていないわけではないはずなのに、食事をする気にもなれないなんて、精神的なものかしら。
だって、目の前にいる御二人は王族だし、しかも、女王陛下はリアムが欲しいと言ってきてるんだもの。
「アイリス、体調が悪そうだけど…」
「あら、本当だわ! 大変! 旅の疲れが出てしまったのかも。それなのに、朝からお呼び出ししてしまってごめんなさい。リアム、アイリスを連れて、部屋に戻っていいわよ?」
リアムの言葉を聞いた女王陛下は、意地悪をするとか、そういう気はないのか、気分が悪そうにしている私を、本当に心配げな表情で見つめてから、リアムに言ってくれた。
「ありがとうございます。アイリス、部屋に戻ろう」
「いえ。リアムは残って下さい」
「そんな訳にはいかないだろう」
「女王陛下のお誘いを夫婦揃って途中で退出するわけにはいかないでしょう?」
「だけど」
静かに立ち上がって、女王陛下とディール殿下に頭を下げる。
「申し訳ございません。体調が優れませんので、お言葉に甘えさせていただき、私だけ退席させていただきます」
「何を言ってるの。リアムと一緒に帰ったほうがいいわ。これは命令です。リアムも一緒に部屋に戻りなさい。アイリスのそばにいてあげて」
「寛大なお心遣いに感謝いたします」
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「リ、リアム! 大丈夫です、歩けますから!」
「駄目だ。ものすごく顔色が悪い。ディール殿下、申し訳ありませんが、医者を呼んでいただきたいんです。どなたにお願いすれば良いですか」
「もちろんだ。すぐに手配する」
ディール殿下が頷いて、近くにいた側近らしき人に指示をしてくれた。
リアムは私を抱き抱えたまま、迷うことなく、私達の部屋のほうに向かって歩き出す。
「リアム、本当に自分で歩けますから!」
「駄目」
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