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第二部
13 長旅の疲れ
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「長旅の疲れが出たのかもしれません。ここ何日かはゆっくりされたほうが良いでしょう」
お医者さまはそう言って部屋を出ていった。
「申し訳ございません」
ベッドの上で身を起こして頭を下げると、リアムは私を抱きしめて言う。
「僕が無理をさせたよね。本当にごめん」
「……それはまあ、そうかもしれませんが、それだけが原因ではないと思います。心労が一番かと……。もちろん、体力的な面に関しては別ですけど」
強調するように同じ意味合いの言葉を二回言うと、リアムは私の頭に頬を寄せる。
「これからは気を付けます。はしゃぎすぎたみたいでごめん」
「リアムは体力があるからいいですけど、私はここ最近は運動不足で体力が落ちてますからついていけないんです」
「運動不足?」
「屋敷の皆さんが私を甘やかすからです」
公爵夫人としての仕事はデスクワークが多いから、そう体力は使わない。
それ以外は食べては寝ての生活を繰り返していたので、長旅の体力的な疲れと、今回の女王陛下の発言に精神的にやられてしまったのだと思う。
もちろん相手が、一般の貴族なら、こんなに精神的にこなかったと思う。
相手が女王陛下だから、対処に悩んでしまう。
あの調子だと、リアムを諦めたわけではなさそうだったし……。
「僕にはアイリスしかいないから」
スリスリと頬を寄せてくるリアムの頭を撫でてあげながら、心配をかけたと思うので、今日は私が甘やかしてあげることにする。
「体調も楽になりましたし、私は本を読みたいので、膝枕してあげます」
「……」
リアムがきょとんとした顔で私を見るので、何だか恥ずかしくなって、前言撤回する。
「や、やっぱり止めます」
「嫌だ。して下さい」
真剣な顔でお願いされたので、サイドテーブルに置いていた本を手に取ってから、ベッドの背もたれにもたれて横座りすると、リアムが私の太腿に頭をのせた。
「このまま少し寝てもいいかな? アイリスが辛くなったら遠慮なく起こして?」
「わかりました」
笑顔で頷くと、リアムはすぐに眠りについた。
本を手にとって少し読んでから、寝息をたてているリアムを見た。
リアムも何だかんだと疲れてはいるのよね。
私にあまり疲れてる顔を見せないだけで、彼も今回のことはどうしたら良いのか困っているはず。
そう思うと、すぐに精神的にきてしまう、この性格をなんとかしなくちゃいけないと再認識した。
女性陣からの悪口を聞き流せる神経があるんだから、女王陛下のお願いだって、聞き流せばいいのよ。
……って、女王陛下のお願いを聞き流すのは、やっぱり無理よね。
どうしたら諦めてくれるのかしら。
また、リアムに視線を落とすと、綺麗な横顔でドキリとしてしまう。
それにしても、リアムの寝顔をじっくり見るのは初めてかも。
いつも一緒に寝ても私が先に寝ちゃうし、起きるのは彼の方が早いから。
やってはいけないとわかっていても、本を横において、彼の綺麗な肌に触れたくなった。
そっと手を伸ばして、頬に触れると、リアムが目を覚ましてしまう。
「ご、ごめんなさい」
「いや、かまわないけど、どうしたの?」
「あの、つい触りたくなってしまって……。本当にごめんなさい」
「……どうして謝るの?」
「起こしてしまいました」
「別に構わないよ。そのかわり、アイリスが寝ている時に触れてもいいかな?」
リアムは身を起こすと、私の左手をとって、自分の右頬に当てた。
「えっちなことはしないでくださいね」
「それは無理かも。でも、しばらくは我慢するよ」
リアムは迷いなく答えてから笑ったので、彼の頬をぺちりと叩いた。
お医者さまはそう言って部屋を出ていった。
「申し訳ございません」
ベッドの上で身を起こして頭を下げると、リアムは私を抱きしめて言う。
「僕が無理をさせたよね。本当にごめん」
「……それはまあ、そうかもしれませんが、それだけが原因ではないと思います。心労が一番かと……。もちろん、体力的な面に関しては別ですけど」
強調するように同じ意味合いの言葉を二回言うと、リアムは私の頭に頬を寄せる。
「これからは気を付けます。はしゃぎすぎたみたいでごめん」
「リアムは体力があるからいいですけど、私はここ最近は運動不足で体力が落ちてますからついていけないんです」
「運動不足?」
「屋敷の皆さんが私を甘やかすからです」
公爵夫人としての仕事はデスクワークが多いから、そう体力は使わない。
それ以外は食べては寝ての生活を繰り返していたので、長旅の体力的な疲れと、今回の女王陛下の発言に精神的にやられてしまったのだと思う。
もちろん相手が、一般の貴族なら、こんなに精神的にこなかったと思う。
相手が女王陛下だから、対処に悩んでしまう。
あの調子だと、リアムを諦めたわけではなさそうだったし……。
「僕にはアイリスしかいないから」
スリスリと頬を寄せてくるリアムの頭を撫でてあげながら、心配をかけたと思うので、今日は私が甘やかしてあげることにする。
「体調も楽になりましたし、私は本を読みたいので、膝枕してあげます」
「……」
リアムがきょとんとした顔で私を見るので、何だか恥ずかしくなって、前言撤回する。
「や、やっぱり止めます」
「嫌だ。して下さい」
真剣な顔でお願いされたので、サイドテーブルに置いていた本を手に取ってから、ベッドの背もたれにもたれて横座りすると、リアムが私の太腿に頭をのせた。
「このまま少し寝てもいいかな? アイリスが辛くなったら遠慮なく起こして?」
「わかりました」
笑顔で頷くと、リアムはすぐに眠りについた。
本を手にとって少し読んでから、寝息をたてているリアムを見た。
リアムも何だかんだと疲れてはいるのよね。
私にあまり疲れてる顔を見せないだけで、彼も今回のことはどうしたら良いのか困っているはず。
そう思うと、すぐに精神的にきてしまう、この性格をなんとかしなくちゃいけないと再認識した。
女性陣からの悪口を聞き流せる神経があるんだから、女王陛下のお願いだって、聞き流せばいいのよ。
……って、女王陛下のお願いを聞き流すのは、やっぱり無理よね。
どうしたら諦めてくれるのかしら。
また、リアムに視線を落とすと、綺麗な横顔でドキリとしてしまう。
それにしても、リアムの寝顔をじっくり見るのは初めてかも。
いつも一緒に寝ても私が先に寝ちゃうし、起きるのは彼の方が早いから。
やってはいけないとわかっていても、本を横において、彼の綺麗な肌に触れたくなった。
そっと手を伸ばして、頬に触れると、リアムが目を覚ましてしまう。
「ご、ごめんなさい」
「いや、かまわないけど、どうしたの?」
「あの、つい触りたくなってしまって……。本当にごめんなさい」
「……どうして謝るの?」
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「別に構わないよ。そのかわり、アイリスが寝ている時に触れてもいいかな?」
リアムは身を起こすと、私の左手をとって、自分の右頬に当てた。
「えっちなことはしないでくださいね」
「それは無理かも。でも、しばらくは我慢するよ」
リアムは迷いなく答えてから笑ったので、彼の頬をぺちりと叩いた。
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