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33 新しい生活と夫の後悔 ①
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※途中でトータム視点になります。
まだ暗いうちに宿に着くと、ラフリード様が待ち合いのフロアのソファに座っていた。驚いた私は、彼に駆け寄って話しかける。
「ラフリード様もこちらの宿に泊まっておられたのですか?」
「ああ。アリムもファルナも泊まってるよ」
眼鏡姿のラフリード様は、笑顔で続ける。
「お疲れ様。無事に逃げられたようで良かったな」
ここに泊まるという話はしていたので、宿をここにしてくれたのかもしれない。
「……もしかしなくても、待ってくださっていたのですか?」
「ああ。ファルナたちも待とうとしていたが、夜更かしは肌に良くないから寝ろと言って部屋に戻らせた」
「なんだか保護者みたいですね」
微笑したあとに頭を下げる。
「気にかけていただき、本当にありがとうございます」
「母にも言われているし、自分でやろうと決めたことだ。あなたが礼を言う必要はないよ」
「そうだとしても、気持ちはありがたいので」
「そうか」
ラフリード様は頷くと、立ち上がって尋ねてくる。
「これからどうするんだ?」
「……そうですね。一応、住む場所の目星はつけています。平民として暮らしていくわけですし、私の顔を知らない人たちが多い場所に行こうと思っています」
平民の多くは領主の顔は知っていても、他の領主となると、写真が出回っていない限りは知っている人は少ない。夫人となれば余計にだ。
元貴族だとわかれば、お金を持っていると思われて身の危険もあるが、そうでない限りは、慎ましい生活をしていけば目立たないはずだ。
「そうか。なら、ディーラス公爵領かジゼル公爵領に来ればいい。あなたとファルナは友人だし、うちの母が君を気にしている。それから預かっていたお金のことだが、小切手で渡そうか」
「ありがとうございます。ご迷惑でなければ、もう少し持っておいていただけますか? 手元に置いておくのが不安なんです」
「それはそうだな」
話をしていると、私がやって来たと誰かから聞いたようで、アリム様がやって来た。
二人と話をしたあと、案内された客室に向かい、ひとまず眠ろうと寝支度を整えているとファルナ様がやってきた。
今日泊まることにした宿には事情を説明してあるし、トータムが探しに来てもこの宿に泊まっているとは守秘義務があるから絶対に言わない。最悪の場合は裏口から逃がしてもらう約束もしている。しかも、ラフリード様たちもこの宿にいる。
そんな安心感もあり、ファルナ様と今後の話をしているうちに、限界を迎えた私は知らぬ間に眠っていて、気がついた時には同じように眠ってしまったファルナ様と共に朝を迎えていた。
◆◇◆◇◆◇
(トータム視点)
どうせすぐに音を上げて戻って来る。
そう思った僕は、ミアリナを追いかけなかった。三日持てば良いだろう。
やっぱりよりを戻してほしいとお願いしてくるはずだ。貴族の女性が一人で生きていけるわけがない。
ミアリナが出ていった朝、寝不足の目をこすりながらダイニングルームに向かうと、フララが話しかけてきた
「お兄様、おはようございます! 昨日は突然出ていくんで驚きました!」
「あ……、ああ。ごめん。心配かけたね」
「心配なんてしてません! 怒っているんです! ところで、ミアリナ様が出ていったとお聞きしたんですけど?」
「そうだよ。旅行に出かけたみたいだ」
「……なぁんだ。出ていったわけじゃないんですね」
「え?」
フララの声のトーンが低くなった気がして聞き返すと、僕の様子に気がついたフララは笑う。
「何でもないわ、お兄様」
フララが僕の腕に自分の腕を絡め、頬を寄せてきた。
彼女が妹ではないのか、改めて調べなくては。
もしそうなら、ミアリナと離婚してフララと結婚すれば良い。嬉しいはずなのに、なぜか頭の中で警鐘が鳴っている。
「……お兄様、どうかしました?」
不思議そうに僕を見上げるフララに笑顔を作って謝る。
「いや。昨日は本当にごめんね」
「本当ですよぉ!」
僕の人生は順調なはずだ。最近はワガママだが、聞き分けの良い妻。可愛くて愛する妹が側にいてくれる。
妻ではなく妹を抱きたいと思うのは、妻に性的魅力がないだけで、僕のせいではない。
……あれ。
僕はどうしてミアリナと結婚したんだ?
そう思うと、急に胸が苦しくなった。
ミアリナのことが頭に浮かび、眠れない日々を過ごして3日が経った頃、僕は王妃陛下から呼び出しを受けるのだった。
まだ暗いうちに宿に着くと、ラフリード様が待ち合いのフロアのソファに座っていた。驚いた私は、彼に駆け寄って話しかける。
「ラフリード様もこちらの宿に泊まっておられたのですか?」
「ああ。アリムもファルナも泊まってるよ」
眼鏡姿のラフリード様は、笑顔で続ける。
「お疲れ様。無事に逃げられたようで良かったな」
ここに泊まるという話はしていたので、宿をここにしてくれたのかもしれない。
「……もしかしなくても、待ってくださっていたのですか?」
「ああ。ファルナたちも待とうとしていたが、夜更かしは肌に良くないから寝ろと言って部屋に戻らせた」
「なんだか保護者みたいですね」
微笑したあとに頭を下げる。
「気にかけていただき、本当にありがとうございます」
「母にも言われているし、自分でやろうと決めたことだ。あなたが礼を言う必要はないよ」
「そうだとしても、気持ちはありがたいので」
「そうか」
ラフリード様は頷くと、立ち上がって尋ねてくる。
「これからどうするんだ?」
「……そうですね。一応、住む場所の目星はつけています。平民として暮らしていくわけですし、私の顔を知らない人たちが多い場所に行こうと思っています」
平民の多くは領主の顔は知っていても、他の領主となると、写真が出回っていない限りは知っている人は少ない。夫人となれば余計にだ。
元貴族だとわかれば、お金を持っていると思われて身の危険もあるが、そうでない限りは、慎ましい生活をしていけば目立たないはずだ。
「そうか。なら、ディーラス公爵領かジゼル公爵領に来ればいい。あなたとファルナは友人だし、うちの母が君を気にしている。それから預かっていたお金のことだが、小切手で渡そうか」
「ありがとうございます。ご迷惑でなければ、もう少し持っておいていただけますか? 手元に置いておくのが不安なんです」
「それはそうだな」
話をしていると、私がやって来たと誰かから聞いたようで、アリム様がやって来た。
二人と話をしたあと、案内された客室に向かい、ひとまず眠ろうと寝支度を整えているとファルナ様がやってきた。
今日泊まることにした宿には事情を説明してあるし、トータムが探しに来てもこの宿に泊まっているとは守秘義務があるから絶対に言わない。最悪の場合は裏口から逃がしてもらう約束もしている。しかも、ラフリード様たちもこの宿にいる。
そんな安心感もあり、ファルナ様と今後の話をしているうちに、限界を迎えた私は知らぬ間に眠っていて、気がついた時には同じように眠ってしまったファルナ様と共に朝を迎えていた。
◆◇◆◇◆◇
(トータム視点)
どうせすぐに音を上げて戻って来る。
そう思った僕は、ミアリナを追いかけなかった。三日持てば良いだろう。
やっぱりよりを戻してほしいとお願いしてくるはずだ。貴族の女性が一人で生きていけるわけがない。
ミアリナが出ていった朝、寝不足の目をこすりながらダイニングルームに向かうと、フララが話しかけてきた
「お兄様、おはようございます! 昨日は突然出ていくんで驚きました!」
「あ……、ああ。ごめん。心配かけたね」
「心配なんてしてません! 怒っているんです! ところで、ミアリナ様が出ていったとお聞きしたんですけど?」
「そうだよ。旅行に出かけたみたいだ」
「……なぁんだ。出ていったわけじゃないんですね」
「え?」
フララの声のトーンが低くなった気がして聞き返すと、僕の様子に気がついたフララは笑う。
「何でもないわ、お兄様」
フララが僕の腕に自分の腕を絡め、頬を寄せてきた。
彼女が妹ではないのか、改めて調べなくては。
もしそうなら、ミアリナと離婚してフララと結婚すれば良い。嬉しいはずなのに、なぜか頭の中で警鐘が鳴っている。
「……お兄様、どうかしました?」
不思議そうに僕を見上げるフララに笑顔を作って謝る。
「いや。昨日は本当にごめんね」
「本当ですよぉ!」
僕の人生は順調なはずだ。最近はワガママだが、聞き分けの良い妻。可愛くて愛する妹が側にいてくれる。
妻ではなく妹を抱きたいと思うのは、妻に性的魅力がないだけで、僕のせいではない。
……あれ。
僕はどうしてミアリナと結婚したんだ?
そう思うと、急に胸が苦しくなった。
ミアリナのことが頭に浮かび、眠れない日々を過ごして3日が経った頃、僕は王妃陛下から呼び出しを受けるのだった。
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