【完結】どうぞ他をあたってください

風見ゆうみ

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38  新しい生活と夫の後悔 ⑥

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 ファルナ様との会話をやめ、王妃陛下たちの話に集中する。少しの沈黙のあと、トータムの話す声が聞こえてきた。

「ぼ、僕は妹と仲良く出かけているつもりでした。この、目撃証言もその時のものです! ミアリナは浮気だと言っているかもしれませんが違います! 私はミアリナだけを愛しています! ちゃんと話し合えばわかってもらえるはずです!」
「ジゼル公爵家での件はどうなんだ?」
「……え?」
「義妹の体調が悪くなり、ジゼル公爵家で休ませてもらっていたんだろう? その時に、お前たちがいる部屋から、嬌声が聞こえてきたと証言してあるぞ」
「そ……、それはっ……そのっ、誤解ですっ!」
「誤解? 何がだ?」

 王妃陛下の冷たい声に恐怖を感じたのか、トータムの声が震え始めた。

「あああ、ああのっ、ほほっ、ほほほんとうに、ぼぼぼ、僕はっ!」

 ガタンという音が聞こえ、何の音か気になった私は開いている扉の隙間からトータムの様子を確認する。王妃陛下の姿は見えないが、トータムの姿はこちらから見えるようになっているので、トータムがどんな状態か確認することができた
 王妃陛下は話がしたくなれば割って入って来ても良いと言ってくださっていた。今の弱っている様子なら、離婚を押し切れるかもしれない。そう思い、出るタイミングを見計らう。

「僕はっ、かか、家族を大事にしたかったんです。妻だけを贔屓するのは違うと思うんです! 妹だって大事な家族です!」
「何をもって妻を贔屓したと言うんだ? ミアリナにブローチを譲ると遺言書に書かれてあるというのだから、彼女が自分のものにしようとすることは当たり前の行動なんじゃないのか? ブローチを彼女が持つことは、お前にとって妻への贔屓に当たるのか?」
「そそそそっ、そういうわけではないのですっ!」

 トータムは今にも泣き出しそうな顔している。心の中では『どうしてこんなことに』とでも思っているんでしょう。

「ではお前の言う贔屓とはどんなものだ? そして、離婚したくない理由はなんなんだ?」
「さ、先ほども申し上げましたが、私は妻を一番に愛しています。そして、義妹は二番目です。ですから、離婚はしたくありません。それだけです」
「……お前、ふざけているのか」

 私の言葉を王妃陛下が代弁してくれた。
 ふと横を見ると、ファルナ様は呆れたような顔をしているし、ラフリード様は不快だと言わんばかりの表情になっていた。私の中でトータムに対してどす黒い感情が芽生えそうになっていたけれど、お二人の様子を見て気持ちが和らいだ。

 彼のために自分の手を汚して犯罪者になるなんて絶対に嫌。人生を無駄にするようなものだわ。

「そんな言い訳が通じると思っているのか!」
「言い訳ではありません! 本当のことなんです!」
「……トータム。お前の母親が生きていたらこう言うだろう」

 王妃陛下は話しながらトータムに近づき、彼の横に立って続ける。

「お前のような男に妻をめとる資格などない。ミアリナのことを愛していると言うのなら、彼女の幸せのために別れるべきだ」
「そ……そんな」
「愛していないのか?」
「あ、あ、愛しています!」
「では、どうしてやるべきだ?」

 王妃陛下に尋ねられたトータムの額から、汗が吹き出すのが見えた。




感想をいただいて、本編に書いていなかったことに気づいたのですが、トータムの指にくっついていた小箱!
どうなったかといいますと、無理やり引きはがして流血。(考えただけで痛い!)そして、痛みへの怒りなどで箱は捨てております。

ですので『小箱が指に付いていないということは、無理に引きはがしたみたいね。その証拠に指に包帯を巻いているもの。』
という文章を32話に付け足しております。
こちらの脳内では上記のように完結していたため、書き忘れておりました。
申し訳ございませんでした。
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