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しおりを挟むいつの間にか眠っていた私…ミーリアは爽やかな光の中目が覚めた。
「さあ♪お嬢様!朝でございますよ!」
メアリがカーテンを勢いよく開け、サイドテーブルには淹れたての紅茶を置いた。
……早起きしろ…と言われればやるけど、起き抜けにすぐ動かなくちゃいけないのはちょっと苦手。
メアリの様子を見るに…昨日の私付きのメイドの件は許可が出たのだろうと確信。
まぁ…わたし(みのり)的にも、できれば気心が知れている人が傍にいると安心するしね。
それに…メアリじゃない、まさきにいのあんな明るい表情は、前世でも稀にしか見られなかったので、ちょっとホッとした。
「なんで、女の子じゃないの…」と前世では言っていたのに、今世でも男ってことは、きっと魂の根幹部分が男なんだろう…と勝手に理論づけ、のろのろながらも、ベッドから起き出すことにした。
「ねぇメアリ…できればなんだけど、もう少しお手柔らかに起こしてくれないかしら」
不思議なもので、みのりの記憶とミーリアの記憶は、ゆっくりとだが融合している感じがする。昨日までは、「みのり」と「ミーリア」の記憶の仕方が全然違っていた。
「みのり」の記憶は私が体験したもの。「ミーリア」の記憶は…例えるなら映画を見たような感じだ。体験したわけじゃないけれど知っている…という感じ。
多分だけど…口調や所作なんかもじきにミーリアの記憶と共に馴染んでいくのだと思う。
ってか、馴染んでいってもらわなければ困る。
中身はアラサーのいい大人だとしても、それはあくまで前世の日本でのこと。
この世界でのものはミーリアが習得したものを自然に使えない限りは、一から覚え直さなければいけない。
それこそ、記憶喪失といつわり別人格形成の勢いでいかなければ無理だ。
……という事で、ここはメアリに相談するのが良いかもしれない。
前世でも先輩…今世でも先輩だからね。
「ねぇ…今日少し時間とってもらえないかしら?私から執事さん?には言っておくから…」
クローゼットの中をごそごそと探るメアリに言ったつもりなんだけど…きこえてる?
そう思っていたら、後ろ手でOKのサイン…。
自由ね…まったく。
みのりとミーリアの気持ち的な感覚も、きっと時間が過ぎれば上手く融合して、生活には支障がなくなる……はずなので、とりあえずは……着替え?かな?
って…この世界の女性の服って、メアリのメイド服しか見ていないんだけど、やっぱりド定番のコルセットがあったり、ひらひらの装飾過多なドレスばかりなのかしら?
ちょっと不安なんだけど…多分メアリは………楽しそうだ。
前世でのまさきにいは、かわいい物好きでかわいい服大好き。
雑誌でウエディングドレスの特集なんてやっていた日には、すごい勢いでめくってたもんなぁ…まぁ…一緒に見ていた私だって結婚の予定もないのに、ウエディングドレスの特集やっている雑誌を買うってどうよ?って感じだけどね…しょがないじゃない?定期購読していた雑誌だったんだもん。
ちなみに…まさきにいはベールもトレーンも長いのが良いって言ってたなぁ。
背も高いしスラっとしているし、すっごい似合うと思ったんだけどね。
わたしは…いわゆる小柄ってやつで…おまけに言うと、小さすぎてサイズがない人だった。
靴もね…子供用ならいくらでもサイズがあったのに大人用は規格外…。
もう少し大きければ、それなりに種類も豊富なサイズだったのになぁ…と思う。
今世では「脱・ミニマム」でいきたい。
ミーリアは、記憶でいくと7歳。きっとまだまだ伸び盛りのはず!
そう決意し起き出そうとするも、無情にもメアリに止められる。
「お嬢様…今日は念の為お部屋の中でゆっくりいたしましょう。この世界の事もお勉強しなければいけないですしね?」
「お勉強」と言った時のメアリの目が一瞬光ったように見えたのは…錯覚…よね?
そういえば、まさきにいとのお勉強は恐怖でしかなかった記憶が………。
ちなみに…メアリの教え方が上手であることが判明し、その後正式にミーリアの家庭教師の座にも君臨。お父様よりメイドからジョブチェンジを要請されたりしてました。
まさきにい…いや…メアリ…今世でもできる子なのね……と泣きが入った私であった。
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