生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~

こひな

文字の大きさ
15 / 135

15

しおりを挟む


いつの間にか眠っていた私…ミーリアは爽やかな光の中目が覚めた。


「さあ♪お嬢様!朝でございますよ!」


メアリがカーテンを勢いよく開け、サイドテーブルには淹れたての紅茶を置いた。
……早起きしろ…と言われればやるけど、起き抜けにすぐ動かなくちゃいけないのはちょっと苦手。


メアリの様子を見るに…昨日の私付きのメイドの件は許可が出たのだろうと確信。
まぁ…わたし(みのり)的にも、できれば気心が知れている人が傍にいると安心するしね。
それに…メアリじゃない、まさきにいのあんな明るい表情は、前世でも稀にしか見られなかったので、ちょっとホッとした。


「なんで、女の子じゃないの…」と前世では言っていたのに、今世でも男ってことは、きっと魂の根幹部分が男なんだろう…と勝手に理論づけ、のろのろながらも、ベッドから起き出すことにした。


「ねぇメアリ…できればなんだけど、もう少しお手柔らかに起こしてくれないかしら」


不思議なもので、みのりの記憶とミーリアの記憶は、ゆっくりとだが融合している感じがする。昨日までは、「みのり」と「ミーリア」の記憶の仕方が全然違っていた。
「みのり」の記憶は私が体験したもの。「ミーリア」の記憶は…例えるなら映画を見たような感じだ。体験したわけじゃないけれど知っている…という感じ。


多分だけど…口調や所作なんかもじきにミーリアの記憶と共に馴染んでいくのだと思う。
ってか、馴染んでいってもらわなければ困る。
中身はアラサーのいい大人だとしても、それはあくまで前世の日本でのこと。
この世界でのものはミーリアが習得したものを自然に使えない限りは、一から覚え直さなければいけない。


それこそ、記憶喪失といつわり別人格形成の勢いでいかなければ無理だ。
……という事で、ここはメアリに相談するのが良いかもしれない。
前世でも先輩…今世でも先輩だからね。


「ねぇ…今日少し時間とってもらえないかしら?私から執事さん?には言っておくから…」


クローゼットの中をごそごそと探るメアリに言ったつもりなんだけど…きこえてる?


そう思っていたら、後ろ手でOKのサイン…。
自由ね…まったく。


みのりとミーリアの気持ち的な感覚も、きっと時間が過ぎれば上手く融合して、生活には支障がなくなる……はずなので、とりあえずは……着替え?かな?

って…この世界の女性の服って、メアリのメイド服しか見ていないんだけど、やっぱりド定番のコルセットがあったり、ひらひらの装飾過多なドレスばかりなのかしら?
ちょっと不安なんだけど…多分メアリは………楽しそうだ。


前世でのまさきにいは、かわいい物好きでかわいい服大好き。
雑誌でウエディングドレスの特集なんてやっていた日には、すごい勢いでめくってたもんなぁ…まぁ…一緒に見ていた私だって結婚の予定もないのに、ウエディングドレスの特集やっている雑誌を買うってどうよ?って感じだけどね…しょがないじゃない?定期購読していた雑誌だったんだもん。


ちなみに…まさきにいはベールもトレーンも長いのが良いって言ってたなぁ。
背も高いしスラっとしているし、すっごい似合うと思ったんだけどね。
わたしは…いわゆる小柄ってやつで…おまけに言うと、小さすぎてサイズがない人だった。
靴もね…子供用ならいくらでもサイズがあったのに大人用は規格外…。
もう少し大きければ、それなりに種類も豊富なサイズだったのになぁ…と思う。
今世では「脱・ミニマム」でいきたい。
ミーリアは、記憶でいくと7歳。きっとまだまだ伸び盛りのはず!


そう決意し起き出そうとするも、無情にもメアリに止められる。


「お嬢様…今日は念の為お部屋の中でゆっくりいたしましょう。この世界の事もお勉強しなければいけないですしね?」


「お勉強」と言った時のメアリの目が一瞬光ったように見えたのは…錯覚…よね?
そういえば、まさきにいとのお勉強は恐怖でしかなかった記憶が………。



ちなみに…メアリの教え方が上手であることが判明し、その後正式にミーリアの家庭教師の座にも君臨。お父様よりメイドからジョブチェンジを要請されたりしてました。
まさきにい…いや…メアリ…今世でもできる子なのね……と泣きが入った私であった。
しおりを挟む
感想 44

あなたにおすすめの小説

[完結]7回も人生やってたら無双になるって

紅月
恋愛
「またですか」 アリッサは望まないのに7回目の人生の巻き戻りにため息を吐いた。 驚く事に今までの人生で身に付けた技術、知識はそのままだから有能だけど、いつ巻き戻るか分からないから結婚とかはすっかり諦めていた。 だけど今回は違う。 強力な仲間が居る。 アリッサは今度こそ自分の人生をまっとうしようと前を向く事にした。

小説主人公の悪役令嬢の姉に転生しました〜モブのはずが第一王子に一途に愛されています〜

みかん桜
恋愛
第一王子と妹が並んでいる姿を見て前世を思い出したリリーナ。 ここは、乙女ゲームが舞台の小説の世界だった。 悪役令嬢が主役で、破滅を回避して幸せを掴む——そんな物語。 私はその主人公の姉。しかもゲームの妹が、悪役令嬢になった原因の1つが姉である私だったはず。 とはいえ私はただのモブ。 この世界のルールから逸脱せず、無難に生きていこうと決意したのに……なぜか第一王子に執着されている。 ……そういえば、元々『姉の婚約者を奪った』って設定だったような……? ※2025年5月に副題を追加しました。

公爵令嬢は、どう考えても悪役の器じゃないようです。

三歩ミチ
恋愛
*本編は完結しました*  公爵令嬢のキャサリンは、婚約者であるベイル王子から、婚約破棄を言い渡された。その瞬間、「この世界はゲームだ」という認識が流れ込んでくる。そして私は「悪役」らしい。ところがどう考えても悪役らしいことはしていないし、そんなことができる器じゃない。  どうやら破滅は回避したし、ゲームのストーリーも終わっちゃったようだから、あとはまわりのみんなを幸せにしたい!……そこへ攻略対象達や、不遇なヒロインも絡んでくる始末。博愛主義の「悪役令嬢」が奮闘します。 ※小説家になろう様で連載しています。バックアップを兼ねて、こちらでも投稿しています。 ※以前打ち切ったものを、初めから改稿し、完結させました。73以降、展開が大きく変わっています。

【完結】名前もない悪役令嬢の従姉妹は、愛されエキストラでした

犬野きらり
恋愛
アーシャ・ドミルトンは、引越してきた屋敷の中で、初めて紹介された従姉妹の言動に思わず呟く『悪役令嬢みたい』と。 思い出したこの世界は、最終回まで私自身がアシスタントの1人として仕事をしていた漫画だった。自分自身の名前には全く覚えが無い。でも悪役令嬢の周りの人間は消えていく…はず。日に日に忘れる記憶を暗記して、物語のストーリー通りに進むのかと思いきや何故かちょこちょこと私、運良く!?偶然!?現場に居合わす。 何故、私いるのかしら?従姉妹ってだけなんだけど!悪役令嬢の取り巻きには絶対になりません。出来れば関わりたくはないけど、未来を知っているとついつい手を出して、余計なお喋りもしてしまう。気づけば私の周りは、主要キャラばかりになっているかも。何か変?は、私が変えてしまったストーリーだけど…

姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚

mio
恋愛
ウェルカ・ティー・バーセリクは侯爵家の二女であるが、母亡き後に侯爵家に嫁いできた義母、転がり込んできた義妹に姉と共に邪魔者扱いされていた。 王家へと嫁ぐ姉について王都に移住したウェルカは侯爵家から離れて、実母の実家へと身を寄せることになった。姉が嫁ぐ中、学園に通いながらウェルカは自分の才能を伸ばしていく。 数年後、多少の問題を抱えつつ姉は懐妊。しかし、出産と同時にその命は尽きてしまう。そして残された息子をウェルカは姉に代わって育てる決意をした。そのためにはなんとしても王宮での地位を確立しなければ! 自分でも考えていたよりだいぶ話数が伸びてしまったため、こちらを姉が子を産むまでの前日譚として本編は別に作っていきたいと思います。申し訳ございません。

自業自得じゃないですか?~前世の記憶持ち少女、キレる~

浅海 景
恋愛
前世の記憶があるジーナ。特に目立つこともなく平民として普通の生活を送るものの、本がない生活に不満を抱く。本を買うため前世知識を利用したことから、とある貴族の目に留まり貴族学園に通うことに。 本に釣られて入学したものの王子や侯爵令息に興味を持たれ、婚約者の座を狙う令嬢たちを敵に回す。本以外に興味のないジーナは、平穏な読書タイムを確保するために距離を取るが、とある事件をきっかけに最も大切なものを奪われることになり、キレたジーナは報復することを決めた。 ※2024.8.5 番外編を2話追加しました!

たいした苦悩じゃないのよね?

ぽんぽこ狸
恋愛
 シェリルは、朝の日課である魔力の奉納をおこなった。    潤沢に満ちていた魔力はあっという間に吸い出され、すっからかんになって体が酷く重たくなり、足元はふらつき気分も悪い。  それでもこれはとても重要な役目であり、体にどれだけ負担がかかろうとも唯一無二の人々を守ることができる仕事だった。  けれども婚約者であるアルバートは、体が自由に動かない苦痛もシェリルの気持ちも理解せずに、幼いころからやっているという事実を盾にして「たいしたことない癖に、大袈裟だ」と罵る。  彼の友人は、シェリルの仕事に理解を示してアルバートを窘めようとするが怒鳴り散らして聞く耳を持たない。その様子を見てやっとシェリルは彼の真意に気がついたのだった。

第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ化企画進行中「妹に全てを奪われた元最高聖女は隣国の皇太子に溺愛される」完結

まほりろ
恋愛
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ企画進行中。 コミカライズ化がスタートしましたらこちらの作品は非公開にします。 部屋にこもって絵ばかり描いていた私は、聖女の仕事を果たさない役立たずとして、王太子殿下に婚約破棄を言い渡されました。 絵を描くことは国王陛下の許可を得ていましたし、国中に結界を張る仕事はきちんとこなしていたのですが……。 王太子殿下は私の話に聞く耳を持たず、腹違い妹のミラに最高聖女の地位を与え、自身の婚約者になさいました。 最高聖女の地位を追われ無一文で追い出された私は、幼なじみを頼り海を越えて隣国へ。 私の描いた絵には神や精霊の加護が宿るようで、ハルシュタイン国は私の描いた絵の力で発展したようなのです。 えっ? 私がいなくなって精霊の加護がなくなった? 妹のミラでは魔力量が足りなくて国中に結界を張れない? 私は隣国の皇太子様に溺愛されているので今更そんなこと言われても困ります。 というより海が荒れて祖国との国交が途絶えたので、祖国が危機的状況にあることすら知りません。 小説家になろう、アルファポリス、pixivに投稿しています。 「Copyright(C)2021-九十九沢まほろ」 表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。 小説家になろうランキング、異世界恋愛/日間2位、日間総合2位。週間総合3位。 pixivオリジナル小説ウィークリーランキング5位に入った小説です。 【改稿版について】   コミカライズ化にあたり、作中の矛盾点などを修正しようと思い全文改稿しました。  ですが……改稿する必要はなかったようです。   おそらくコミカライズの「原作」は、改稿前のものになるんじゃないのかなぁ………多分。その辺良くわかりません。  なので、改稿版と差し替えではなく、改稿前のデータと、改稿後のデータを分けて投稿します。  小説家になろうさんに問い合わせたところ、改稿版をアップすることは問題ないようです。  よろしければこちらも読んでいただければ幸いです。   ※改稿版は以下の3人の名前を変更しています。 ・一人目(ヒロイン) ✕リーゼロッテ・ニクラス(変更前) ◯リアーナ・ニクラス(変更後) ・二人目(鍛冶屋) ✕デリー(変更前) ◯ドミニク(変更後) ・三人目(お針子) ✕ゲレ(変更前) ◯ゲルダ(変更後) ※下記二人の一人称を変更 へーウィットの一人称→✕僕◯俺 アルドリックの一人称→✕私◯僕 ※コミカライズ化がスタートする前に規約に従いこちらの先品は削除します。

処理中です...