生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~

こひな

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28 ~ウィンステッドの愉快な仲間~

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部屋にお茶を運んで来るメイドが入れ代わり立ち代わり…
この部屋でお茶飲んでるのって私一人よね?
そう言いたくなる位、お茶のおかわりを聞かれる。


そして…部屋を出る時に決まって立ち止まり、耳まで真っ赤にして部屋を出るんだけど、これって私のせいじゃないわよね…。


思わずジト目でアルベルトを見てしまう私は悪くない。絶対。
そんな視線に耐えきれなくなったのか、渋々といった感じで口を開く。


「お嬢様…私は何もしていませんよ?ただ立っているだけですからね?」


その"立っているだけ”がダメなのよきっと。
いつも通りおしゃべりでもしてれば、残念度マックスになる筈なのに、今日に限って私は、机に向かってレオナルド殿下に手紙をしたためている。


「ふぅ……そうね…悪いことはしていないと思うけど…なんでいきなりそれ?」


ため息混じりに、男装の理由を聞いてみる。
いつもと同じじゃダメな理由があるのよね…きっと。


そう思っていると、あっさり教えてくれた。


今回は、砦の強化に男手をかなり割いたらしく、屋敷が手薄になってしまうので、苦肉の策…らしい。


苦肉の策って…と思わず吹き出しそうになってしまった。
街の見廻りもしていると聞くから、かなり大掛かりな領内の見廻りになっているようだ。


「あれ?そう言えばマーキスは?」


兄様に、私の護衛としてマーキスは残していくからと言われたのだけれど…そう言えば一度も見てないことに気付く。


「マーキス?何言ってるんですかお嬢様。さっきからそこに」


と指を指したのは天井……そして…ゴッっと凄い音がしたかと思ったら、天井からマーキスが下りて来た。


「ミーリア様、若が留守の間は、私が影になりお守りします。奥方様と弟君には私の手の者が付いておりますのでご安心を…」


そう言って、また天井裏に戻っていった。


もう、何に安心していいのか理解できないんだけど…あれって…忍者?手の者って何?
一度白くなった思考は中々元に戻らず呆然とする。


「ねぇ…あれって…」


その後の言葉が出てこず、視線だけでアルベルトに確認する。


「多分、あれってまぁ…うん。思っているようなものだと思うわ…」


さすがのアルベルトも二の句が出なかったらしく、苦笑いしている…。


ねぇ…兄様…兄様の侍従は何になりたいのでしょうか…。
そして……我が家の従者って採用基準が特別な何かがあるのでしょうか……。


思わず叫びたくなったけど我慢したわよ。
だって!叫んだらまたマーキスが出てくるんだもんっ!
いきなり出て来られると怖いのよ!
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