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しおりを挟む応接の間にて……
向かいにはカール殿下。後ろには、なぜか剣呑とした視線のメアリ。
いやいやメアリさん?私もね、色々思うことはあるのだけれど、立場的に他国の王子にそれは不味くないかい?とマジ突っ込みを心の中でしつつ、カール殿下へと視線を移す。
「あの……いくら自国の学院内とはいえ、護衛を外に出してしまうのは不味いのではないかと思うのですが……」
真純君を思い出させる目元をちらちらと除き見つつ言ってみる。
まぁ、殿下のこの魔力であれば、余程隙を突かれない限りは、身を守れるだろうとは思うけど、何事も念には念を…だ。
「ウィンステッド嬢も護衛は連れていないのであろう?」
からかうような口ぶりに、なんとなくムッとしてしまい、思わず言い返してしまったのはしょうがないことだと思う。うんうん。
「私の護衛は今はここにいるメアリが担っております。どうぞご心配なさらず…」
そう言ってメアリに視線を移すが、メアリさん…完全に目が『アルベルト』になっておりますよ……仮にも相手は他国の王族ですからね……我慢です。
「話をするにあたって、少々頼みたいことがあるのだけれど…」
と、防音結界を張って欲しいと頼まれた。
?????なんでカール殿下が防音結界を知っている?
やっぱり我が家の情報も漏れている????
いまやこの世界ナンバーワンのザ・忍者…マーキスの顔を思い浮かべる。
この世界忍者なんて早々いないだろうけど、あくまで私の知る範囲でのナンバーワンだ…。
そんなことはとりあえずおいて置いて……視線をメアリに送る…。
剣呑だった視線がさらにパワーアップして、胡散臭いものを見るかのような視線でカール殿下を見るメアリ。大丈夫…………だよね?そんな目で見て?
カール殿下を見る目つきは変わらないものの、私の目配せに同意して防音結界を張るメアリ。……あれ?この結界って、認識阻害効果もありなの?
次々と新しい魔法を開発するメアリに感心しつつ、カール殿下に向き直る。
その瞬間……私の後ろから強い風が吹き、カール殿下が吹っ飛んだ。
「メアリっ!!だめ!やり過ぎはだめよ!!!」
慌てて止めに入るも、時すでに遅し…というか、もう一瞬でしたけどね…
カール殿下の透明簀巻きの一丁上がりでした。
●○●○
風の魔法を使い、殿下を簀巻き状態にしているメアリさん。
さらっとどんな仕組みか説明してくれるのはいいんだけれど、カール殿下は放置でいいのだろうか?
なんとなく、メアリのご機嫌が相当悪いことだけは察せられるので、メアリの動向をそのまま見ていた。
けど、思ったよりわりとあっさり開放。
気が済んだのかな??????なんて思っていたその瞬間……
「兄貴?兄貴なのか?宮藤真咲なのか?」
カール殿下から意外な名前が出た……
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