生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~

こひな

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100 ~夢の後先 カールの憂鬱~

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「彼女に会わせてくれないだろうか…」


ミーリア嬢……みのりが眠る部屋の前に立つ護衛…ミーリア嬢専属の侍女兼魔法士に頼む。
彼女が倒れた日から三日、こうして通ってきているが一向に会わせて貰えない。


「なぁ…兄貴、一目くらい良いだろ?」


前世での関係を盾に強請っても一向にいい返事を貰えない。


「あなたがその呼び名を出すならこちらも遠慮なく……。おととい来やがれってやつですね。みのりちゃんに会いたいなら、身辺整理を済ませてからにする事ね。こちらは彼女を側室になんてさせる気は毛頭ないから」


そう言って、中に入って行ってしまったが、そのあとすぐに部屋の中が急に騒がしくなった。


「お嬢様がお目覚めになりました。申し訳ございませんが、お医者様を…」


一気にバタバタとし始める王宮の一室。
急いで医者の手配をし、自室に戻り報告を待った。
彼女…みのりに会ったら、まずは謝罪を…そして婚約の事は誤解だと知ってもらわないと。




⚫〇⚫〇



「シャーロット…婚約の話は誰から聞いた?」

ミーリア嬢が倒れてすぐ執務室に戻り、先程の婚姻の件を聞く。
なるべく穏便に……そう思っていないと頭に血が上ってわけが分からなくなってしまう。
それほど、婚姻の話は晴天の霹靂だった。


「婚姻・婚約共に今は白紙の状態だ。候補者だった家々にもそう通達してあり、本人達にも直々に伝えてあるのに、なぜそのような話が出る?」


まぁ…聞いただけなのだろうから答えられる訳もないのは分かる。
これは完全な八つ当たりだ。


「少し二人にしてくれ」


そう側仕えに言い、防音結界と先程みのりが張った不可視の結界も張る。
シャーロットは驚いているが、一度見て想像できるような魔法は、魔力さえあればなんとか出来る。ぶっつけ本番は少々怖いけれども。


「少し話しておきたいことがある……」


いつかは話しておかねばと思った自分が『転生者』であるということと…前世ではミーリア付きの魔法士と兄弟であり、ミーリアとも知り合いだった事を話した。


「これはシャーロットだから話したんだ。父上にも言ってはいけない」


神妙な顔で頷くシャーロット。
今、この国に信頼できるものはまだシャーロットだけだ。
父上も今は側室の言いなり。
他の兄弟は、母親違いの為かあまり交流もなく今に至る。
兄弟で力を合わせて国を盛り上げて行けたらどれだけいいか…と思うが、後継者争いでドロドロも勘弁して欲しい。なので、情報の開示は最小に…という訳だ。


「おおかた婚姻の件は、側室様と軍務大臣辺りで広めたのであろう…自業自得という事で、令嬢には悪いが、大臣共々領地に引っ込んでてもらおう」
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