【完結】異世界召喚されたのはこの俺で間違いない?

苔原りゐ

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希望の兆し

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数時間が過ぎた頃、治療室からシスターが現れ、疲れた表情で頷いた。

「彼女の命は繋ぎ止めました。ただし、完全に回復するには時間が必要です。」

その言葉に、俺たちは全員深いため息をついた。リリは涙を流しながら「よかった……!」と声を上げた。

俺は治療室の扉越しにユリスの寝顔を見つめた。彼女の呼吸は安定しており、その顔に少しだけ血色が戻っている。

「次こそは、絶対に守る……。」俺は剣を見つめながら心の中で誓った。

エリザがそっと俺の肩に手を置き、「私たちが一緒にいる限り、きっと乗り越えられるわ。」と優しく言った。

教会の一室で、俺たちはシスターと向かい合って座り今までの経緯を話していた。彼女は静かに手を組み、少し考え込むような仕草を見せてから、口を開いた。

「この町の外れに『浄化の湖』と呼ばれる場所があります。その水は昔から癒しの力を持つと言い伝えられているのです。あなた方がおっしゃっている泉かどうかは分かりませんが。」

「浄化の湖……?」俺は驚きながらシスターの言葉を繰り返した。

「ええ。ですが、その湖に行くのは決して簡単ではありません。崖すれすれの険しい道や悪しき魔物たちが行く手を阻み、多くの者が辿り着けなかった場所でもあります。それでも、癒しの力を求める方々が訪れることがあります。」シスターの声には、どこか祈りを込めたような響きがあった。

エリザが地図を取り出し、場所を確認する。「ここから歩いて数時間……ただ、道中に危険があるかもしれないわね。」

ユリスの安静を見守る俺にシスターは告げる。
「彼女の体力を考えると、今すぐに起きることはないでしょう。しかし、湖の水を持ち帰ることができれば、治療の助けになるかもしれません。」

シスターはそう答え、柔らかく微笑んだ。

俺たちは、交代でユリスの看病をすることにした。彼女の表情はまだ穏やかではなく、ときおり苦しそうにベッドの上で藻搔く。

「頑張れ……ユリス。」俺は彼女のそばに座り、そっと手を握った。その手はまだ冷たく、震えているようだった。

リリが隣に座り、小さな声で呟いた。「ユリス、大丈夫だよ。早く元気になって、一緒にまた冒険しようね。」

エリザもベッドの傍らに座りながら、静かに呪文を唱える。彼女の魔法が癒しの光となり、ユリスの体を包み込む。その光で少しユリスの表情が和らいだ。

夜が更け、教会の窓から月明かりが差し込む中、俺はエリザとリリに言う。

「明日、俺が湖に向かう。湖の水を持ち帰って、ユリスを助けるんだ。」

エリザが真剣な表情で頷く。「私も一緒に行くわ。あなた一人じゃ危険すぎるもの。」

リリが心配そうに言う。「おじさん、ユリスのことお願いね……私、ここで待ってるから……。」彼女の小さな声には不安が滲んでいた。

俺はリリの頭を撫でて安心させる。「必ず持ち帰る。そして、ユリスを元気にするさ。」

こうして、俺たち2人は浄化の湖を目指す。険しい道の先に何が待ち受けているのかは分からないが、ユリスを救うための一歩を踏み出す決意は固まっていた。
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