転生している場合じゃねぇ!

E.L.L

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「〝完全〟?」

「エルザには子宮がない」

「は?」

「彼女は事故に遭った」

淡々と話していく端正な唇を見つめる

「彼女はその時子宮と引替えに桁外れの力をを願った
子供と旦那を救うために」

「そ、その子供と旦那さん、は?」

「亡くなった
間に合わなかった」

「そんな…」

「その上、彼女はまだ気づいていなかったが、妊娠していた
ほんの数週間と言った所か」

「え…
じゃ、じゃあその子供は?」

「胎児…いや、胎芽、に近いのに子宮の外で生きられるわけがないだろ
ましてや、お前の元の世界レベルの医療技術もない」

「そのこと、彼女は?」

「全てが終わった後知った
だから、彼女の力は瞬発的なものではなく、常人の数倍の間持続するものとなり、動体視力も得た」

「それで釣り合い…」

「そういうことだ」

外見だけでは分からなかった
彼女はいつも明るくて、そんなことを抱えているなんて思いもしなかった

「じゃあ、ジャイルズの腕も?」

「…」

「あいつもエルザと同じくらいのスピードで走ってた
エルザより短時間だったけど…
でも機転もかなり効くし、釣り合いとしては…」

「そいつのことは話せない」

「何で?」

「お前はエルザの命を2度救った
だからエルザのことを話せた」

「2度?」

1度はもしかしてあれかな
俺が床に落下したことによりエルザが撃たれなかった、とか
かなりこじつけだが、お世話してもらっていた俺がいつどうやって助けたというのだろう

「その事故の後、彼女は死のうとした」

「…」

「けれど、自殺はしないと旦那と約束していた」

「そんなことある?」

そんな先がわかってるみたいな

「旦那が予知能力を持っていたか過去にそういう約束に至ったエピソードがあるかだな」

「そこ端折るなよ」

「お前と話していると日が暮れる
いちいち脇道にそれるからだ」

「ここに時間なんて概念あるのかよ」

「ある」

「あ…そう…」

ないと思ってた
あまりにもハッキリ答えるものだから戸惑ってしまう

「それとまだ懲りていないようだな」

「え?」

「ストックの無駄遣いをするな」

「すみませんでした」

「とにかく、自殺はしなかった
けれど、生きようともしてなかったからすぐに弱っていった
その時お前が落ちてきたんだ」

「は?」

「正確に言うとお前のからだだな
その時はお前まだ向こうの世界にいたから」

「え
この体入れ物みたいな感じなの?」

「脇道にそれるな」

そんな面倒くさそうな顔するなよ
女神(仮)の話し方にも問題があるよ
俺が脇道にそれるのは
情報少ないしいちいちなんか引っかかるんだよ

「お前の母親がお前を連れて窓から逃げようとしたとき、追い詰められて落ちてしまったんだ」

「高さは…?」

「3階くらいだな」

聞いてるだけでムスコが縮みそう
俺の心の声聞いてるの女の子だったらごめん
ナツには絶対に言えない

「下にいたエルザはお前を抱きとめ、お前の母親も抱きとめた」

「…弱ってたんだよね」

「もう少しで衰弱死だった」

「それで3階から落ちてきた俺と成人女性を抱きとめた?」

「そうだ」

どこの恋愛小説より王子様な気がする
これ、エルザが男性だったら間違いなく母の心はエルザのものだっただろう
そして、この世界にナツがいなくて本当に良かった
話を聞いているだけでこの世界かなり危険だ

「お前の母親とお前を守るためにエルザはもう一度生きようと思ったんだ
そして、母親とお前が離れている間お前の世話をした」

「そんな、見ず知らずの親子を?」

「初めは体が勝手に動いた
でも、お前の母親はエルザを連れていき、ご飯と睡眠を取らせた」

「引き取ったということ?」

「そうだ
その後メイドとして雇い、居場所を与えた」



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


『…これはあの方に頂いた命
あの方のために使いたい
それに、私にこんな…こんな幸福が許されて良いのかと…』


『私の身には余る幸せな時間を頂きました
私が赤ちゃんを抱っこさせて貰える日が来るなど…
あまつさえお世話までさせて頂けるなど…』


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


明るくて優しいエルザ
俺を数週間だけど大事に育ててくれたエルザ

「2度目は脱出の時だ
あの弾が当たっていたらエルザは死んでいた
お前が落ちて弾道を逸らした」


それ合ってたの

「救いようのないやつかと思ったがこの件に関してはよくやった」

ん?
褒められてんの?
貶されてんの?

「ちょっとそれどういう―」

「今後も頑張って生きろ」

女神(仮)は俺を遮るとヒラヒラと手を振った
あ、分かってきたぞ
これ目が覚めるやつだ
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