転生している場合じゃねぇ!

E.L.L

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「死ぬほどって…そもそも生きてるんですか?」

「そのデリカシーのなさでよく彼女できたな」

あなたにだけは言われたくないんですよ、あなたに彼女いるか知りませんけど

「まぁまぁ
まずは聞いてみてから判断してくださいよ」

「聞かなくてもわかる」

「えっとですね、俺たちは隣同士の家なんですけど」

「聞けよ」

「物心着いた時からって訳じゃないんですよ」

俺は構わず喋り続けた
今回は滞在時間中々長いな
存分にナツについて話せるというものだ

「俺が小学生に上がろうかという時、忘れもしない花粉症の酷い時期でした」

「語り方がなんかウザい」

この女神(仮)って結構ギャルみたいな言葉使うよな
いや、ウザいはそんなギャルでもないだろうか

「俺が鼻をかんでいたらティッシュがなくなってしまったんです
そしたら隣の転校生がティッシュくれたんですよ」

「…まさかそれが出会いか?
そんで惚れたのお前」

何だかんだ聞いてくれるらしい
まぁ話したもん勝ちだよな
ここには俺と女神(仮)しかいないし、空間がどうなってるかよく分からない
女神(仮)が座っている玉座を中心に空間が広がっていて、ライトアップされたように明るい
ただ、玉座から離れるに従って暗くなり、端はブラックアウトしている
玉座は豪奢だが、それしかない空間はなんだか寂しい感じもする
端っこがどうなっているのかは機会があれば試してみたいところだ
ちょっとした冒険というか、ちょっとワクワクするよな、そういうの
俺だけ?

「それだけって何です?」

「ティッシュ貰って惚れるとか…もはや笑う気にすらならない
まぁ小学生低学年ならありがちかもしれないが、それで今もこんな激重い惚れ用
キモい
ティッシュ配りのお姉さんにもデレデレしてんのか」

「する訳ありませんよ
ナツだけです
その時初めて目が合ったんだ」

「で、フォーリンラブか」

「ちょっと古いですよ」

「うるせぇ」

「違います
目が花粉であんまり見えてなかったんですけど、その時初めてその転校生がめちゃくちゃ可愛いことに気づいたんです」

「それまで気づかなかったのか」

「その日だったんですよ、越してきたの」

「で、フォーリンラブか」

「違います
親切で可愛いなんてチートだなと思いましたけど」

「一目惚れじゃねぇか
ティッシュの君に」

「なんですか、そのそこはかとなくダサい感じ
ティッシュの君なんて」

「ダサさについてはお前にだけは言われたくない」

「それにその時はまだ惚れてないです」

「前置き長いんだよ」

「ひとつとして省けない大切なことなんですよ
それでね」

ため息をつかている気がするが気にしない

「その日体育だったんですよ」

「唐突だな」

「それでドッジボールだったんです」

「で、フォーリンラブか」

「待って
省こうとしないで
ちゃんと聞いてくださいここからが大切なんですよ
俺はね、花粉症でほとんど目が見えなかったわけです」

「それは2回目だ」

「大切なことですから
ここがポイントなんです
男女一緒にやるんですよね、小学生の体育は
俺の元に豪速球が飛んできたんです」

「ドジだな
よけれなかったんだろ
顔面直撃間違いなしだ」

ちょっと生き生きしている感じがする
どういうことだよ

「当たったなんて言ってないでしょ
話進めないでくださいよ
飛んできたんです」

「分かったからさっさと話せよ」

遮ったくせに

「まぁ顔面に向かってきてたんですけど」

「合ってたじゃねぇか」

「そしたらナツがそれを受け止めてくれたから俺に当たらなかったんです」

「で、フォーリンラブか」

「違いますよ
いや、それにしてもカッコいいですよね」

「違うのかよ…キモい顔すんな」

「その時、ナツ突き指したんです
なのに体育の時間が終わるまで何も言わなかったし、腫れるまで誰も気づかなかった」

彼女は何も言わなかった
相当痛かっただろうに

「俺が保健室に連れていきました」

「で、フォーリンラブか」

「面倒がらずに聞いてくださいよ
手当をしてもらってから教室に戻ったんですけどね、泣かないんですよ
あんなに腫れてるのに
7歳なのに」

「…」

もはや合いの手を入れないらしい

「でも、怪我をしたから親がすぐに迎えに来たんです
それはもう血相を変えて」

正直、あの時のナツの母親の顔はめちゃくちゃ怖くて妖怪かと思った
誰にも言えないけど

「そんでナツを窒息させそうなほど抱きしめたんです
いやホラーでしたね
あの顔ですから」

「女性に失礼だろ」

「あんなに怖かったことありませんよ
お兄ちゃんに続いてナツまでって言ったんです」

「兄貴になにかあったのか」

「その前の年にナツの目の前で交通事故にあったんです
即死だったみたいです
それで前の街だとお母さん思い出しちゃうから越してきたみたいです」

「そこで娘が怪我をした、と」

「ナツがその時初めて泣いたんですよ
ごめんねって言いながら
怪我しても泣かなかったのに
すごく静かでした
泣き叫んだりしなかったけど全身震えてて…すごく小さい背中だなって気づきました
さっきまですごく大きな背中に見えていたのに
女の子なんだなって」

「それで惚れたと
別に隣同士の家設定いらなかっただろ」

「うーん…
きっかけですね、どちらかと言うと
なんかちょっと…守ってあげたいと思ったんですよね」

「守られたのはお前だったけどな」

そこを突かれるととても痛い

「だから、俺が守れるようになろうって…
気になり始めて見るようになって
いつも人のためばっかで…
我慢してばっかで
気づいたら…なんか、もう…」

「…」

「なのに俺はまた彼女を悲しませました
誰より大切な女の子を
俺は1秒でも早く戻ります
元の世界に」
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