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「死んだことにするってのはどう?」
「…」
「その方が自由に動けるし
追い回されるの飽きてきたしさ」
「…お前は生きている」
「いや、だからさ」
「あの砦にはビビしか残っていない
物理的に無理だ」
「瓦礫に埋まってることにしよう」
「掘り起こされたらどうする」
「そこまでする?」
「あの男の執着を舐めるな」
「あの変態が欲しかったのはビビで、俺じゃないでしょう」
「忘れ形見とか思うんじゃないか」
「オエー」
まだ会ったこともないが、この世界での親父だけは絶対に好きになれないと思う
いや、間違いなくなれない
聞いているだけでも胸糞悪いジジイだ
「王位継承権なんて本当にいらない」
「…トップに立ったらやりたい放題だぞ」
「それに伴う責任とか諸々の面倒事とは釣り合いの取れない特典だ」
「気持ち悪いほどよく喋るチビだ」
おじさん酷いよ
あの妹にしてこの兄ありだな
すっかり打ち解けてぎこちないしゃべり方はお互い無くなったが、リックはビビにそっくりな毒舌だ
「まぁ死んでいるかはともかく、生存確認程度には探されるだろうな
最低限身を守れるようにはしておくべきだな」
その後からリックは俺を鍛えだした
異世界に赤ん坊として派遣され、魔王を倒せとか荒唐無稽な事を言われていたが、知識を身につける意外のスペックをどう身につけるかは課題であった
それを解決できる可能性のある機会には恵まれたが
良かったのかどうかは正直分からない
だって
きついんだもの
リックの稽古
小脇に抱えられてすんごい高い塔の屋根にポンと置かれて屋根伝いに帰って来いとか言われるし、避けろとか言いつつ避けようのなさそうなパンチやキックが飛んでくるし
俺の体は確かに急成長を遂げているが、3歳とか4歳の子供を屋根の上に置き去りにして戻ってこいなんて保護者として如何なものか
家に戻るまでほぼ一日かかったし、全身細かい傷やアザだらけの上足をひねった
骨折とかしなかっただけマシか
他にもいろいろ無茶振りを課せられ、〝最低限身を守る〟の基準が俺とリックの間には深い隔たりがあることを感じた
魔王を倒す足しになるかもしれないのでまぁいいけど
あっちの世界でもしリックに鍛えられていたらあんな事故には遭わなかっただろうかともチラリと考えた
向こうに戻った時、今度こそナツを守れる男になることをモチベーションにした
あとから知ったけど、リックとビビはサーカス団の団員だったようだ
ビビはそこの看板娘だったらしい
リックは団長だったらしいが、ビビが王宮に連れ去られてから副団長に団長を譲り渡し今に至るらしい
筋骨隆々でとんでもなく巨体だが、少年時代には軽業もしていたらしく機敏な巨人である
毎日毎日鍛錬をしていったので少しずつではあるがだいぶ着いて行けるようになってきた
少し余裕ができる度に難易度を上げていくので、最低限とは、と毎回思っている
これだけ鍛えているので、と思って水面に映った自分の力こぶにムンッと力を入れてみた
小さい俺の腕は細かった
同年代と比べると筋肉が着いていると信じたい
相変わらず意味のわからないところにペっと置かれ、ブツクサ文句を垂れながら隠れ家に戻る途中、人にぶつかってしまった
前を見ていなかったのがいけなかったな
目の端に俺と同い年くらいのシルエットを認め、謝ろうと顔を向けて俺は固まってしまった
この世界での数少ない顔見知りの1人だったのである
顔面偏差値高めの爽やかチートなおチビ
「ジル」
「…」
「その方が自由に動けるし
追い回されるの飽きてきたしさ」
「…お前は生きている」
「いや、だからさ」
「あの砦にはビビしか残っていない
物理的に無理だ」
「瓦礫に埋まってることにしよう」
「掘り起こされたらどうする」
「そこまでする?」
「あの男の執着を舐めるな」
「あの変態が欲しかったのはビビで、俺じゃないでしょう」
「忘れ形見とか思うんじゃないか」
「オエー」
まだ会ったこともないが、この世界での親父だけは絶対に好きになれないと思う
いや、間違いなくなれない
聞いているだけでも胸糞悪いジジイだ
「王位継承権なんて本当にいらない」
「…トップに立ったらやりたい放題だぞ」
「それに伴う責任とか諸々の面倒事とは釣り合いの取れない特典だ」
「気持ち悪いほどよく喋るチビだ」
おじさん酷いよ
あの妹にしてこの兄ありだな
すっかり打ち解けてぎこちないしゃべり方はお互い無くなったが、リックはビビにそっくりな毒舌だ
「まぁ死んでいるかはともかく、生存確認程度には探されるだろうな
最低限身を守れるようにはしておくべきだな」
その後からリックは俺を鍛えだした
異世界に赤ん坊として派遣され、魔王を倒せとか荒唐無稽な事を言われていたが、知識を身につける意外のスペックをどう身につけるかは課題であった
それを解決できる可能性のある機会には恵まれたが
良かったのかどうかは正直分からない
だって
きついんだもの
リックの稽古
小脇に抱えられてすんごい高い塔の屋根にポンと置かれて屋根伝いに帰って来いとか言われるし、避けろとか言いつつ避けようのなさそうなパンチやキックが飛んでくるし
俺の体は確かに急成長を遂げているが、3歳とか4歳の子供を屋根の上に置き去りにして戻ってこいなんて保護者として如何なものか
家に戻るまでほぼ一日かかったし、全身細かい傷やアザだらけの上足をひねった
骨折とかしなかっただけマシか
他にもいろいろ無茶振りを課せられ、〝最低限身を守る〟の基準が俺とリックの間には深い隔たりがあることを感じた
魔王を倒す足しになるかもしれないのでまぁいいけど
あっちの世界でもしリックに鍛えられていたらあんな事故には遭わなかっただろうかともチラリと考えた
向こうに戻った時、今度こそナツを守れる男になることをモチベーションにした
あとから知ったけど、リックとビビはサーカス団の団員だったようだ
ビビはそこの看板娘だったらしい
リックは団長だったらしいが、ビビが王宮に連れ去られてから副団長に団長を譲り渡し今に至るらしい
筋骨隆々でとんでもなく巨体だが、少年時代には軽業もしていたらしく機敏な巨人である
毎日毎日鍛錬をしていったので少しずつではあるがだいぶ着いて行けるようになってきた
少し余裕ができる度に難易度を上げていくので、最低限とは、と毎回思っている
これだけ鍛えているので、と思って水面に映った自分の力こぶにムンッと力を入れてみた
小さい俺の腕は細かった
同年代と比べると筋肉が着いていると信じたい
相変わらず意味のわからないところにペっと置かれ、ブツクサ文句を垂れながら隠れ家に戻る途中、人にぶつかってしまった
前を見ていなかったのがいけなかったな
目の端に俺と同い年くらいのシルエットを認め、謝ろうと顔を向けて俺は固まってしまった
この世界での数少ない顔見知りの1人だったのである
顔面偏差値高めの爽やかチートなおチビ
「ジル」
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