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松田は小さく言った。「写真に、床の指示シールが写ってるよ。」
仁野は床を見て初めて、自分の足元に指示シールが貼ってあるのに気づいた。飲用水の供給場所を示すもので、下には病院名の小さな文字もあった。仁野は少し呆れた顔で松田を見やり、つい言った。「来るなって言っただろ。」
松田はじっと仁野を見つめ、低い声で言う。「心配で…。」
彼はバックから白いタオルを取り出し、洗面所に向かって水で濡らし、しっかり絞って畳み、そっと仁野の額に置いた。仁野は背もたれに寄りかかり、首枕に頭を預けると、額に触れた冷たいタオルで頭痛がだいぶ和らいだ。
さらに松田は小さな湯たんぽを取り出し、そっと仁野の左手を持ち上げて手の下に置いた。
仁野は尋ねる。「一体どれだけ持ってきたんだ?」
松田は手を振る。「そんなに多くない。」彼は手の甲で仁野の顔に触れ、やはり熱さに驚き、つい言った。「ベッドの手配をしてあげよう。横になったほうが楽だ。」そう言うと、看護師を探しに立ち上がろうとした。
仁野は思わず手を握り返し、笑った。松田の緊張した顔をじっと見つめ、優しい声で言う。「落ち着け。熱があるだけで、大したことじゃない。」
仁野は低く咳をし、少し力を入れて松田を自分の方へ引き、隣の席に座るように示した。
松田は仕方なく隣に座った。仁野は手を離さず、その手を握り続けた。松田の手は熱い仁野の手に触れ、ようやくそばにいる実感を抱いた。
新幹線の中で、松田は仁野のそばに飛んで行きたくてたまらなかった。松田にとって新幹線は遅すぎた。一秒一秒が、仁野に少しずつ近づくだけで、誰にも看てもらえない時間が少しでも長く、心配が少しでも増えるのを、じれったく思った。
松田は点滴室の扉の前で仁野を見た瞬間、一目でそれとわかった。黒いパーカーに運動パンツ、体を斜めに寄せ椅子に凭れ、目を閉じ、顔は赤く染まっている。病気であっても弱々しくはなく、強く硬いまま。それでも松田は胸が痛んだ。
松田の指導教官はかつて言った。「君は生まれつきメスに向いている。」
天才的な才能に加え、もう一つ、松田は感情が淡白で鈍感だ。いつでも理性と冷静さを保ち、手は常に正確で安定している。
だが、仁野だけは松田の弱点であり、例外だった。
仁野は床を見て初めて、自分の足元に指示シールが貼ってあるのに気づいた。飲用水の供給場所を示すもので、下には病院名の小さな文字もあった。仁野は少し呆れた顔で松田を見やり、つい言った。「来るなって言っただろ。」
松田はじっと仁野を見つめ、低い声で言う。「心配で…。」
彼はバックから白いタオルを取り出し、洗面所に向かって水で濡らし、しっかり絞って畳み、そっと仁野の額に置いた。仁野は背もたれに寄りかかり、首枕に頭を預けると、額に触れた冷たいタオルで頭痛がだいぶ和らいだ。
さらに松田は小さな湯たんぽを取り出し、そっと仁野の左手を持ち上げて手の下に置いた。
仁野は尋ねる。「一体どれだけ持ってきたんだ?」
松田は手を振る。「そんなに多くない。」彼は手の甲で仁野の顔に触れ、やはり熱さに驚き、つい言った。「ベッドの手配をしてあげよう。横になったほうが楽だ。」そう言うと、看護師を探しに立ち上がろうとした。
仁野は思わず手を握り返し、笑った。松田の緊張した顔をじっと見つめ、優しい声で言う。「落ち着け。熱があるだけで、大したことじゃない。」
仁野は低く咳をし、少し力を入れて松田を自分の方へ引き、隣の席に座るように示した。
松田は仕方なく隣に座った。仁野は手を離さず、その手を握り続けた。松田の手は熱い仁野の手に触れ、ようやくそばにいる実感を抱いた。
新幹線の中で、松田は仁野のそばに飛んで行きたくてたまらなかった。松田にとって新幹線は遅すぎた。一秒一秒が、仁野に少しずつ近づくだけで、誰にも看てもらえない時間が少しでも長く、心配が少しでも増えるのを、じれったく思った。
松田は点滴室の扉の前で仁野を見た瞬間、一目でそれとわかった。黒いパーカーに運動パンツ、体を斜めに寄せ椅子に凭れ、目を閉じ、顔は赤く染まっている。病気であっても弱々しくはなく、強く硬いまま。それでも松田は胸が痛んだ。
松田の指導教官はかつて言った。「君は生まれつきメスに向いている。」
天才的な才能に加え、もう一つ、松田は感情が淡白で鈍感だ。いつでも理性と冷静さを保ち、手は常に正確で安定している。
だが、仁野だけは松田の弱点であり、例外だった。
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