なんでも奪っていく妹に、婚約者まで奪われました

ねむ太朗

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ライングドール王国の成り立ち~アルバート陛下と精霊姫~ 1

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  ずっと昔、小さな村がいくつかあった。まだ、作物を育てる文化が発展する以前の話だ。

  人々は食料を取り合い、戦をする。戦が続くと食料不足が酷くなり、生活が貧しくなっていった。

  人々は食料を求めて森の奥深くまで入っていくようになる。
  人間は森を荒し、弱い動物を殺していった。

  人々の中であるうわさが流行った。
  とある森に入ると、三日三晩さ迷い、森から出て来た時には、気が触れてしまう。と言う噂だ。

  その森の名前は『うるわしの森』

  ある日、お腹を空かせた青年が麗しの森に入っていった。
  青年は金髪青目の綺麗な顔だちをしていた。

  青年は麗しの森と分かっていたが、空腹に苦しみ森の奥深くまで入っていった。

  青年は、綺麗な池を見つけた。
酷く喉が乾いていたので、勢いよく水を飲んでいった。
  飲んでいる途中で青年は、気づいた。池の水って飲んでも平気だっただろうか。

  青年が見たことある池は、全て濁っていた。
  人々は川の近くに集落を作り、生活用水は全て川でまかなっていた。

  青年は池の中を覗きこむ。すごく綺麗で透き通った水だ。彼は自分の腹をさすり、痛くないのを確かめた。

  青年は、水で空腹が満たされたので森から出ることにした。

「そこの者、待ちなされ」

  青年は池の方を振り向いた。すると、そこには銀色の長い髪をして赤い瞳の、透き通るように白い肌の美しい女性がいた。

「え、誰?」

  そう言うと青年は、目の前の女性に見とれた。

「私は精霊。この森を守る者」

「精霊。精霊?  足、足が池の上にある。えっ、浮いてる」

  青年は慌てふためく。

「これなら、良いか?」

  精霊は、青年の隣に立った。

「はい、大丈夫です」

「この話かた疲れたわ。もとに戻すわね。あなた、私の水を飲んだのにこのまま帰れると思っているの?」

「思っています。私の水ってどういうことですか」

  青年の質問に精霊が答えた。

「いや……そこは、思っていません。と答えて欲しかったわ。この森は私が守っているの、私の家みたいなものよ。そして、この池は私のお気に入り、私の部屋みたいなものよ。それから、毎日綺麗に浄化しているわ。それであなた……私の池を勝手に汚して、そのまま帰れると思っているのかしら」

  青年は、息を飲んだ。

「も、申し訳ありません。どうかお許し下さい」

「いいわよ。許してあげる」

「えっ、いいんですか」

「ふふふ。もちろんいいわよ。その代わり、私の話し相手になってくれるかしら」

  精霊の言葉に青年は考えた。話し相手になるくらい簡単だ。そう結論をすぐに出して答えた。

「私で良ければ、精霊様の話し相手になりましょ。」

「良かったわ。これからよろしくね」

  精霊のひと言に青年は、少し落ち込む。これからとは、いつまでだろうか。まさか……死ぬまで私はこの森の中にいなければいけないのだろうか。

「何か失礼なこと考えてない?  毎日一回少しだけ、話し相手になってくれればいいわ」

「それでしたら。おまかせ下さい。精霊様は心が読めるのですか」

  青年の質問に精霊は、ため息をついた。

「人の心の中なんて読めないわよ。あなたの顔に書いてあったの。お友達にもいわれないかしら」

「良く言われます」

「でしょうね」

  話が一段落したところで精霊が言った。

「今日はもう遅いわ。私が森の出口まで飛ばしてあげるから、急いて帰りなさい」

  青年が気づいた時には、森の外にいた。

  それから青年は毎日精霊に会いに行った。

「あなた、名前は何て言うの?」

「アルバートと申します。精霊様のお名前は何ですか」

「アルバート。いい名前ね。私は無いわよ。生まれた時からここに一人でいて、森を守っていたから。名前は必要なかったの。アルバートがつけてよ」

  アルバートは、考えた。

「エミリア。エミリアなんていかがですか」

「ふふ。エミリア。いい名前ね。私の名前は、エミリア」

  嬉しそうにくるくるまわっている精霊に、青年の心はときめいた。

  それから、アルバートとエミリアはたくさん話をした。
  帰りには、エミリアが森の木の実を手渡してくれた。

  アルバートが麗しの森に通っていることに、村人達が気づくのに時間はかからなかった。
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