なんでも奪っていく妹に、婚約者まで奪われました

ねむ太朗

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  あ!  危ないわ!
  私、大切なことを聞いていないじゃない。

「夜会でお兄様の周りにいる方で、お兄様の気になるご令嬢はいるのですか」

  お兄様は即答をした。

「いないよ。彼女達が好きなのは、僕じゃなくて僕の爵位だからね」

  おかしい。お兄様は、好きな人がいるはずだ。

「まあ、ではお兄様は、好きな人がいないのかしら。私、お兄様は気になる人がいると、思っていたのだけれども」

「……リリアーナには、ばれちゃったか。気になる人はいるよ」

「でも、その方は夜会の時にお兄様の所にいないのですよね」

「そうだね」

  お兄様は、少し寂しそうに言った。

  夜会では、お兄様の近くにいない……私は、頭の中でお兄様の交遊関係を探った。

  お兄様は、よくハーヴェス家に行くわ。

「お兄様の気になる方は、私の知っている方ですか」

  私の質問に、お兄様は隠さずに答えてくれた。

「知っているよ」

「そう。そうだったのね。私、全然気づかなかったわ」

  うそ。お兄様は、あの方をお慕いしていたのね。
  でも、その方には好きな人がいるわ。お兄様の片想いなのね……

「お兄様、私はお兄様の幸せを願っておりますわ」

  私は、そう言ってから退出をした。

「サラ!  大変よ!」

  私は自室に戻ってすぐに、サラに報告をした。

「お嬢様、少し落ち着いて下さいませ」

  サラが私を落ち着かせようとする。

「ごめんなさい。あまりにも驚きすぎてしまって……隊長として報告するわ。お兄様は、ジャック様がお好きなのよ」

「ルイス様は、確かにジャック様を友人として大切に思っておりますが」

  私はサラの言葉をすぐに否定した。

「違う。違うのよサラ。お兄様は、ジャック様に恋をしているのよ」

  サラが疑いの目を向けてきた。

「お嬢様。ルイス様とはどのようなお話をされたのですか?」

  私は今あったことをサラに話した。

「だからね……お兄様は、言ったのよ。私が知っている人の中にいるって。それで私ね、考えたのよ。お兄様がよく会う人を。そして、気づいたのよ。お兄様は、しょっちゅう『ジャックが~』『ジャックと~』『ジャックに~』『ジャックから~』って、言っているでしょ?  だから、ジャック様のことが好きなのよ」

  サラは少し困った顔をしてから話を始めた。

「お嬢様。その情報だけでは、私はなんとも。もう少し慎重に探られた方がよろしいかと」

「うーん、そうね。ジャック様を第一候補として、もう少し探ってみるわ」

  サラには探ってみると答えたが、私の頭の中ではお兄様の想い人はジャックで確定をしていた。

  その夜、私は考えていた。

  お兄様は、だからあんなに悲しそうな顔をしたのね。
  だってジャック様は、オリヴィアさんに片想い中だもの。
  まあ……だから今日もジャック様のお話を聞いている時に複雑そうな顔をされていたのね。
  やっとキャサリンちゃんと別れたのに、オリヴィアさんが現れたのだもの。
  でもお兄様は、将来プラメル伯爵になるのよ。後継ぎが必要だわ。男同士の恋愛を否定するわけではないけれど……私、応援出来ないわ。
  ごめんなさい。お兄様。

  私はお兄様の事を考えているうちに、自然に眠りについていた。
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