なんでも奪っていく妹に、婚約者まで奪われました

ねむ太朗

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  私は、朝から機嫌良くハーヴェス伯爵家に向かった。

「エレーナお姉様。ジャック様。おはようございます」

  私が挨拶するとエレーナお姉様が返してくれた。

「おはようございます。リリアーナ様」

  お兄様達も、各々おのおの挨拶をしていた。

  今日は伯爵家で剣の稽古をする為、ジャック様とユリアス様は、しばらくお別れ。

  私とお兄様とクラウスとエレーナお姉様を乗せた馬車は、ハーヴェス領中心街に向かう。伯爵家の護衛も数人付いて来てくれた。

「エレーナお姉様、賑わっていますね」

  私の言葉にエレーナお姉様は答えた。

「ここは、ハーヴェス領の中心を担っているのよ。あとで、散策しましょうね」

  私達を乗せた馬車は、中心街を過ぎて緑が多い平野に向かって行った。

「ここが、ハーヴェス領で一番広いお花畑よ!」

  エレーナの言葉に耳を傾けつつ、お花畑に目を向けた。

「すごい!  綺麗ね。一面ピンク色と黄色い花よ。ね!  見てクラウス!」

  興奮をした私の言葉に、クラウスは優しい声で返事をした。

「そうだな。すごいな」

「今から、馬車から降りて見に行きましょう」

  エレーナお姉様の声にみんなで馬車から降りる。

  近くで見るとピンク色と黄色の花は、かわいかった。 

「ここのお花から取れたハチミツを、昨日みんなでミルクに入れて飲んだのよ」

  エレーナお姉様は、誇らしげに笑って言った。

「そうだったのですね。すごく、美味しかったです」

  私の言葉にエレーナお姉様は笑った。それから、私達はお花畑の周りを歩いて行く。私はお兄様の様子を見た。

  今日のお兄様……ほんと、静かね。
  まあ、お兄様は何度もハーヴェス領に来ているものね。
  やっぱり、ジャック様といれば良かったと思っているのかしら?
  失恋は、辛いわね。

  私は考えごとをしながら歩いていた為、前をあまり見ずに歩いていた。

  横からすっと、クラウスの手が伸びて来て、私の腕を引いた。

「あっ、あれ?  クラウス?  どうしたの?」

「どうしたの?  じゃないだろう。ぶつかりそうだった。前見て歩かないと、危ないじゃないか」

  さとすように言ったクラウスに私は、感謝の気持ちを伝えた。

「ごめんなさい。助けてくれてありがとう」

  クラウスは私の腕から手を離し、私の手を握った。

「ク、クラウス?  お兄様達がいるから離して」

「二人は、前を歩いているから気がつかないよ」

  素っ気なく言ったクラウスは、そのままそっぽを向いた。

  私は握られた手を離そうと自分の手を動かしたが、繋いだ手は離れなかった。

  私達は、しばらくお花畑を見て歩いた。

「そろそろ、お腹が空いてきたかしら?」

  エレーナお姉様の質問に、お兄様が優しい声で返事をする。

「そうだね。僕は、お腹が空いてきたよ」 

  みんなで馬車に乗る。乗り込んだ時にやっと、クラウスの手が離れて、私は胸のどきどきから解放された。

  中心街に戻って来た。エレーナお姉様は、オシャレな飲食店を予約してくれていた。

  二階の個室に通される。料理が運ばれてくると、みんな笑顔になって食事を始めた。
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