なんでも奪っていく妹に、婚約者まで奪われました

ねむ太朗

文字の大きさ
55 / 107

49

しおりを挟む
  私達を乗せた馬車は、ハーヴェス伯爵家に着いた。

  私達は、ジャック様とユリアス様を探しに行く。
  裏庭にいた。ユリアス様は、ジャック様を独り占め出来て嬉しかったのか、いつも以上に機嫌が良かった。

「お兄様、帰ってきましたわ」

  エレーナお姉様がジャック様に声を掛ける。

「早かったね」

  ジャック様の言葉にエレーナお姉様がすぐに返事をする。

「早くありませんわ。もうすぐ、日が暮れますわよ」

  エレーナお姉様は、呆れている様子だった。

  私達は、今から宿屋に帰ることになった。
  明日の朝は、ハーヴェス伯爵家に寄らずに帰る予定なので、エレーナお姉様達とはここでお別れだ。

「エレーナお姉様。もう、お別れなんて寂しいです」

  私の言葉にエレーナお姉様は答えた。

「私もよ。また、近いうちに会いましょう」

「もちろんです。エレーナお姉様」

  私がエレーナお姉様と泣く泣く別れの挨拶をしていた頃、お兄様達四人も各々挨拶をしていた。

  私とお兄様とクラウスとユリアス様を乗せた馬車は、ハーヴェス伯爵家を後にした。

  夕食後、宿にて。

「クラウスの所に行ってくるわ」

  そう言った私に、サラが答えた。

「お嬢様、明日にされた方がよろしいかと」

「明日では、お兄様がいるわ。クラウスと会議を開くには今しか無理なのよ。サラ、お願い。少しだけだから」

「……かしこまりました。お嬢様」

  私は、クラウスの部屋をノックをして声を掛けた。顔を出したクラウスが、驚いた顔をした。

「クラウス、話があるの入れて欲しいの」

  私のお願いにクラウスは、少し焦ったように言った。

「いや、それは、まずいよ」

「あら?  クラウスの部屋がいけないのなら、私の部屋でもいいわ」

「いや、それは、もっと……」

「ねえクラウス。サラも一緒だから、ね。お願いよ」

  私はかわいく見えるように、はかなげに。上目遣いでクラウスを見て言った。

「分かった。中へどうぞ」

  クラウスは、ちょろかった。

  部屋の中に入り、私は会議を始めた。

「二日間の私の成果を報告します。お兄様は、また失恋して落ち込んでいるようです」

「えっ、隊長は本当にそう思われたのですか。私には、落ち込んでいるように見えませんでしたが」

  早速意見が割れた。

「では、クラウス隊長補佐は、どう思われたのですか?」

「私には……」

  クラウスが言いかけた時にノックが聞こえた。クラウスが、返事をして中に入ってくる。

  お兄様が入室をした。お兄様は入って来てすぐに、私に向かって話し掛けてきた。

「やっぱりここにいた。いけないじゃないか、こんな時間に」

「どうして、ここが分かったのですか?」

「リリアーナの部屋を尋ねたら、いなかったからここだと思った。それより、こんな時間に未婚の女性が男性の部屋を尋ねたらいけないだろ」

  お兄様は、諭すように言った。

「大丈夫よ!  クラウスは、婚約者ですもの」

「相手が婚約者だろうが、いけないよ。誰が見てるか分からないんだぞ」

  お兄様は、私に向かって言った後に、クラウスに向けて言った。

「クラウス様、申し訳ありません。妹が、お騒がせを致しました。ご覧の通り、リリアーナは少し鈍感な所もありますので、よろしくお願いいたしますね」

「あ、ああ。分かりました。こちらこそ、止められなくて申し訳ありません」

  お兄様の勢いに呑まれ、クラウスは少し、つっかえながらも返事をした。

「お兄様!  クラウス様は、悪くないです」

「分かっている。今回は、リリアーナだ」

「少し話をしていただけですもの」

「少し話していただけでも、リリアーナがクラウス様の部屋から出てきたのを見た人は、何を思うか分からないんだぞ」

  お兄様の口調は、いつもより強かった。

「サラだって、いました。だって、私……少し、お話していただけですもの。分からないです。そんなこと言われたって」

  私の言葉を聞いたお兄様は、言った。

「分からないなら、これだけは守って」

『たとえ、婚約者でも夜に異性の部屋を訪ねては、いけません』

「リリアーナ、分かったね?」

  私は、小さい声で返事をした。

「分かりましたわ」

  お兄様は私の言葉に満足をした顔をしていた。

「クラウス様、お兄様。申し訳ありませんでした」

  その後お兄様は、クラウスに挨拶をしてから、私の手を引いてクラウスの部屋から連れ出した。

「ごめんなさい、クラウス様。おやすみなさい」

「おやすみリリアーナ」

  私の最後の声は、クラウスに届いた。

  宿屋の自室に戻り。

  お兄様ったら、そんなに怒ることないじゃない。

  私は、反省もそこそこに眠りについた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約者を譲れと姉に「お願い」されました。代わりに軍人侯爵との結婚を押し付けられましたが、私は形だけの妻のようです。

ナナカ
恋愛
メリオス伯爵の次女エレナは、幼い頃から姉アルチーナに振り回されてきた。そんな姉に婚約者ロエルを譲れと言われる。さらに自分の代わりに結婚しろとまで言い出した。結婚相手は貴族たちが成り上がりと侮蔑する軍人侯爵。伯爵家との縁組が目的だからか、エレナに入れ替わった結婚も承諾する。 こうして、ほとんど顔を合わせることない別居生活が始まった。冷め切った関係になるかと思われたが、年の離れた侯爵はエレナに丁寧に接してくれるし、意外に優しい人。エレナも数少ない会話の機会が楽しみになっていく。 (本編、番外編、完結しました)

虐げられ続けてきたお嬢様、全てを踏み台に幸せになることにしました。

ラディ
恋愛
 一つ違いの姉と比べられる為に、愚かであることを強制され矯正されて育った妹。  家族からだけではなく、侍女や使用人からも虐げられ弄ばれ続けてきた。  劣悪こそが彼女と標準となっていたある日。  一人の男が現れる。  彼女の人生は彼の登場により一変する。  この機を逃さぬよう、彼女は。  幸せになることに、決めた。 ■完結しました! 現在はルビ振りを調整中です! ■第14回恋愛小説大賞99位でした! 応援ありがとうございました! ■感想や御要望などお気軽にどうぞ! ■エールやいいねも励みになります! ■こちらの他にいくつか話を書いてますのでよろしければ、登録コンテンツから是非に。 ※一部サブタイトルが文字化けで表示されているのは演出上の仕様です。お使いの端末、表示されているページは正常です。

【完結】虐げられて自己肯定感を失った令嬢は、周囲からの愛を受け取れない

春風由実
恋愛
事情があって伯爵家で長く虐げられてきたオリヴィアは、公爵家に嫁ぐも、同じく虐げられる日々が続くものだと信じていた。 願わくば、公爵家では邪魔にならず、ひっそりと生かして貰えたら。 そんなオリヴィアの小さな願いを、夫となった公爵レオンは容赦なく打ち砕く。 ※完結まで毎日1話更新します。最終話は2/15の投稿です。 ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。

【完結】虐げられていた侯爵令嬢が幸せになるお話

彩伊 
恋愛
歴史ある侯爵家のアルラーナ家、生まれてくる子供は皆決まって金髪碧眼。 しかし彼女は燃えるような紅眼の持ち主だったために、アルラーナ家の人間とは認められず、疎まれた。 彼女は敷地内の端にある寂れた塔に幽閉され、意地悪な義母そして義妹が幸せに暮らしているのをみているだけ。 ............そんな彼女の生活を一変させたのは、王家からの”あるパーティー”への招待状。 招待状の主は義妹が恋い焦がれているこの国の”第3皇子”だった。 送り先を間違えたのだと、彼女はその招待状を義妹に渡してしまうが、実際に第3皇子が彼女を迎えにきて.........。 そして、このパーティーで彼女の紅眼には大きな秘密があることが明らかにされる。 『これは虐げられていた侯爵令嬢が”愛”を知り、幸せになるまでのお話。』 一日一話 14話完結

0歳児に戻った私。今度は少し口を出したいと思います。

アズやっこ
恋愛
 ❈ 追記 長編に変更します。 16歳の時、私は第一王子と婚姻した。 いとこの第一王子の事は好き。でもこの好きはお兄様を思う好きと同じ。だから第二王子の事も好き。 私の好きは家族愛として。 第一王子と婚約し婚姻し家族愛とはいえ愛はある。だから何とかなる、そう思った。 でも人の心は何とかならなかった。 この国はもう終わる… 兄弟の対立、公爵の裏切り、まるでボタンの掛け違い。 だから歪み取り返しのつかない事になった。 そして私は暗殺され… 次に目が覚めた時0歳児に戻っていた。  ❈ 作者独自の世界観です。  ❈ 作者独自の設定です。こういう設定だとご了承頂けると幸いです。

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚

mio
恋愛
ウェルカ・ティー・バーセリクは侯爵家の二女であるが、母亡き後に侯爵家に嫁いできた義母、転がり込んできた義妹に姉と共に邪魔者扱いされていた。 王家へと嫁ぐ姉について王都に移住したウェルカは侯爵家から離れて、実母の実家へと身を寄せることになった。姉が嫁ぐ中、学園に通いながらウェルカは自分の才能を伸ばしていく。 数年後、多少の問題を抱えつつ姉は懐妊。しかし、出産と同時にその命は尽きてしまう。そして残された息子をウェルカは姉に代わって育てる決意をした。そのためにはなんとしても王宮での地位を確立しなければ! 自分でも考えていたよりだいぶ話数が伸びてしまったため、こちらを姉が子を産むまでの前日譚として本編は別に作っていきたいと思います。申し訳ございません。

【完結】異世界から来た聖女ではありません!

五色ひわ
恋愛
 ミシュリーヌは、第四王子オーギュストの妃としてフルーナ王国の王宮で暮らしている。しかし、夫であるオーギュストがミシュリーヌの寝室に訪れることはない。ミシュリーヌは聖女の力を持っていたため、妻に望まれただけなのだ。それでも、ミシュリーヌはオーギュストとの関係を改善したいと考えている。  どうすれば良いのかしら?  ミシュリーヌは焦っていた。七年間かけて国中の水晶を浄化したことにより、フルーナ王国は平穏を取り戻しつつある。それは同時に聖女の力がこの国に必要なくなったことを意味していた。  このまま、オーギュストの優しさに縋ってお飾りの妻を続けるしかないのだろうか。思い悩むミシュリーヌの前に現れたのは、オーギュストの恋人を名乗る女性だった。 ・本編141話 ・おまけの短編 ①9話②1話③5話

処理中です...