なんでも奪っていく妹に、婚約者まで奪われました

ねむ太朗

文字の大きさ
66 / 107

59

しおりを挟む
  陛下は穏やかな顔をして話を続けた。

「さっきの話の補足になるがのお、まずフィリップに何かあることは、ほぼないと思って良い。金髪青目の人間は、昔からこの国では不思議な力で守られている。だからクラウスは、王になることはないだろう」

  私は、少し安心をした。

「それから、初代国王アルバート陛下の血を受け継ぐ人は、貴族なら半分以上もいるだろう。しかし、金髪青目の子どもは父親か母親が金髪青目でないと、生まれにくくなっているみたいなのじゃ。最近は金髪青目の親から生まれた子どもでも、金髪青目に生まれにくくなってきたように思うのお。王家でも、三人中一人しか生まれなかった。まあ、一人生まれれば問題無いがのお。それから、王家とリーベル公爵家は、昔からこの国にとって特別で、金髪青目の子どもが生まれる確率は、圧倒的に高かったのじゃ」

  陛下は、呼吸を整えてから続きを話した。

「王家は物語の中にあったように、精霊エミリア様が、金髪青目の人間に王となって欲しいと思っていたから、生まれる確率が高かったのかもしれんのお」

  私は、唾を飲み込んだ。

「リーベル公爵家はのお。精霊エミリア様が姿を眩ましてから、うるわしの森に、精霊エミリア様を探しに行く者が増えたのじゃ。そして一部の人間は、森を荒らしてしまい怒りを買った。三日三晩さ迷って、気が触れて出て来る者が、後をたたなくなったのじゃ」

  陛下は、深く呼吸をしてから続きを話した。

「そこで、初代国王アルバート陛下と精霊エミリア様の孫で、当時の第二王子が初代リーベル公爵となり、麗しの森を管理した。それ以来、王家とリーベル公爵家には、高い確率で金髪青目の子どもが生まれるようになったのじゃ」

  なるほど!  だから、クラウスもユリアス様も金髪青目なのね。

  陛下が、ひげを触りながら遠くを見つめて呟いた。

「重要なのは金髪青目の人間から生まれる事と、王家かリーベル公爵家の人間である事みたいなのじゃ。ユリアスがどこかの家に婿入りをすれば、その子どもが金髪青目である確率は低いだろうのお。今ではリーベル公爵家の方が、金髪青目の子どもが生まれる確率が高くなってしもうたのお」

  ずっと、聞役に徹していた王太子殿下が私に尋ねてきた。

「所でリリアーナ嬢は、本を取る時に隣にある本を、頻繁に落としてしまうのですか?」

  私は、すぐに否定をした。

「いえ、本を取った時に隣にある本をうっかり落とす事は、ほとんどありません」

  それを聞いた王太子殿下が、少し考ている仕草をしてから答えた。

「では、精霊エミリア様の仕業かもしれませんね」

  私は、背筋が凍りついた。

  あの時、精霊エミリア様が図書室に居たってこと……?  幽霊とか苦手なのよ。

「精霊エミリア様が私に物語を読ませる為に、本を渡したと言うことでよろしいでしょうか」

  王太子殿下は、にっこり笑って答えた。

「ええ、そうです」

  私はクラウスと陛下の顔見たが、二人とも肯定的な顔をしていた。

  その後は、少し世間話をした。陛下は最後に精霊エミリアの事などを、人々に広めないで欲しいと言っていた。
  それから、私とクラウスは陛下と王太子殿下に挨拶をして、退出した。
  私達は今、王宮の廊下を歩いている。

「顔色悪いけど、大丈夫?」

「大丈夫よ。図書室に居たなんて。私……幽霊は苦手なのよ」

  クラウスが小さな声で私に話す。

「いや、精霊。精霊エミリア様だよ」

「ええ、そうだったわね。どちらでも怖いわ」

  姿を見せずに背後から忍びよるなんて、何だって怖いわよ。 

「精霊エミリア様は、怖くないよ」

  クラウスは私にそう言って来たが、共感出来ずに言い合いになりそうだったので、微笑みだけ返した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約者を譲れと姉に「お願い」されました。代わりに軍人侯爵との結婚を押し付けられましたが、私は形だけの妻のようです。

ナナカ
恋愛
メリオス伯爵の次女エレナは、幼い頃から姉アルチーナに振り回されてきた。そんな姉に婚約者ロエルを譲れと言われる。さらに自分の代わりに結婚しろとまで言い出した。結婚相手は貴族たちが成り上がりと侮蔑する軍人侯爵。伯爵家との縁組が目的だからか、エレナに入れ替わった結婚も承諾する。 こうして、ほとんど顔を合わせることない別居生活が始まった。冷め切った関係になるかと思われたが、年の離れた侯爵はエレナに丁寧に接してくれるし、意外に優しい人。エレナも数少ない会話の機会が楽しみになっていく。 (本編、番外編、完結しました)

虐げられ続けてきたお嬢様、全てを踏み台に幸せになることにしました。

ラディ
恋愛
 一つ違いの姉と比べられる為に、愚かであることを強制され矯正されて育った妹。  家族からだけではなく、侍女や使用人からも虐げられ弄ばれ続けてきた。  劣悪こそが彼女と標準となっていたある日。  一人の男が現れる。  彼女の人生は彼の登場により一変する。  この機を逃さぬよう、彼女は。  幸せになることに、決めた。 ■完結しました! 現在はルビ振りを調整中です! ■第14回恋愛小説大賞99位でした! 応援ありがとうございました! ■感想や御要望などお気軽にどうぞ! ■エールやいいねも励みになります! ■こちらの他にいくつか話を書いてますのでよろしければ、登録コンテンツから是非に。 ※一部サブタイトルが文字化けで表示されているのは演出上の仕様です。お使いの端末、表示されているページは正常です。

【完結】虐げられて自己肯定感を失った令嬢は、周囲からの愛を受け取れない

春風由実
恋愛
事情があって伯爵家で長く虐げられてきたオリヴィアは、公爵家に嫁ぐも、同じく虐げられる日々が続くものだと信じていた。 願わくば、公爵家では邪魔にならず、ひっそりと生かして貰えたら。 そんなオリヴィアの小さな願いを、夫となった公爵レオンは容赦なく打ち砕く。 ※完結まで毎日1話更新します。最終話は2/15の投稿です。 ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。

【完結】虐げられていた侯爵令嬢が幸せになるお話

彩伊 
恋愛
歴史ある侯爵家のアルラーナ家、生まれてくる子供は皆決まって金髪碧眼。 しかし彼女は燃えるような紅眼の持ち主だったために、アルラーナ家の人間とは認められず、疎まれた。 彼女は敷地内の端にある寂れた塔に幽閉され、意地悪な義母そして義妹が幸せに暮らしているのをみているだけ。 ............そんな彼女の生活を一変させたのは、王家からの”あるパーティー”への招待状。 招待状の主は義妹が恋い焦がれているこの国の”第3皇子”だった。 送り先を間違えたのだと、彼女はその招待状を義妹に渡してしまうが、実際に第3皇子が彼女を迎えにきて.........。 そして、このパーティーで彼女の紅眼には大きな秘密があることが明らかにされる。 『これは虐げられていた侯爵令嬢が”愛”を知り、幸せになるまでのお話。』 一日一話 14話完結

0歳児に戻った私。今度は少し口を出したいと思います。

アズやっこ
恋愛
 ❈ 追記 長編に変更します。 16歳の時、私は第一王子と婚姻した。 いとこの第一王子の事は好き。でもこの好きはお兄様を思う好きと同じ。だから第二王子の事も好き。 私の好きは家族愛として。 第一王子と婚約し婚姻し家族愛とはいえ愛はある。だから何とかなる、そう思った。 でも人の心は何とかならなかった。 この国はもう終わる… 兄弟の対立、公爵の裏切り、まるでボタンの掛け違い。 だから歪み取り返しのつかない事になった。 そして私は暗殺され… 次に目が覚めた時0歳児に戻っていた。  ❈ 作者独自の世界観です。  ❈ 作者独自の設定です。こういう設定だとご了承頂けると幸いです。

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚

mio
恋愛
ウェルカ・ティー・バーセリクは侯爵家の二女であるが、母亡き後に侯爵家に嫁いできた義母、転がり込んできた義妹に姉と共に邪魔者扱いされていた。 王家へと嫁ぐ姉について王都に移住したウェルカは侯爵家から離れて、実母の実家へと身を寄せることになった。姉が嫁ぐ中、学園に通いながらウェルカは自分の才能を伸ばしていく。 数年後、多少の問題を抱えつつ姉は懐妊。しかし、出産と同時にその命は尽きてしまう。そして残された息子をウェルカは姉に代わって育てる決意をした。そのためにはなんとしても王宮での地位を確立しなければ! 自分でも考えていたよりだいぶ話数が伸びてしまったため、こちらを姉が子を産むまでの前日譚として本編は別に作っていきたいと思います。申し訳ございません。

【完結】異世界から来た聖女ではありません!

五色ひわ
恋愛
 ミシュリーヌは、第四王子オーギュストの妃としてフルーナ王国の王宮で暮らしている。しかし、夫であるオーギュストがミシュリーヌの寝室に訪れることはない。ミシュリーヌは聖女の力を持っていたため、妻に望まれただけなのだ。それでも、ミシュリーヌはオーギュストとの関係を改善したいと考えている。  どうすれば良いのかしら?  ミシュリーヌは焦っていた。七年間かけて国中の水晶を浄化したことにより、フルーナ王国は平穏を取り戻しつつある。それは同時に聖女の力がこの国に必要なくなったことを意味していた。  このまま、オーギュストの優しさに縋ってお飾りの妻を続けるしかないのだろうか。思い悩むミシュリーヌの前に現れたのは、オーギュストの恋人を名乗る女性だった。 ・本編141話 ・おまけの短編 ①9話②1話③5話

処理中です...