なんでも奪っていく妹に、婚約者まで奪われました

ねむ太朗

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  私はお兄様の部屋の扉をノックする。

  コンコンコン。

「お兄様、リリアーナです。今よろしいですか」

  お兄様の返事が返って来たので中に入る。

「リリアーナ?  どうしたの?」

  私は、顔がニヤけるのを押さえながら話し掛けた。

「ふふふ。お兄様と少しお話がしたくなった、だけですわ」

  お兄様は首を少しかしげ、こう聞いてきた。

「何かたくらんでいる?」

「企む?  そんなこと考えていません。明日は、クラウス様に会えるのが、楽しみで落ち着かなかったの。ですから、お兄様に少しお話相手になってもらいたかったのです」

  私は、かわいく見えるように最後の方は、声を小さくしはかなげに演出をした。

「そうだったのか。リリアーナは、クラウス様が大好きだもんな。疑ってごめんね」

  兄は、ちょろかった。

「お兄様、気にしていませんわ。私は、お兄様のことも大好きですわよ」

「リリアーナは、かわいいな。所でさ、エレーナお姉様ってどういうこと?」

  私はエルーシアと会った時のことをお兄様に話した。

「ですからあの時のエレーナお姉様は、私の天使だったのです。エレーナお姉様にも、許可は頂いていますよ」

「そうか、エレーナ嬢と仲良くなれたみたいで良かったよ」

  私は隊長として本題に入ることにした。

「所でお兄様。今日、エレーナお姉様に聞きましたのよ。夜会では、ご令嬢方に囲まれて、大変モテてらっしゃるとか」

「ああ。モテているのは僕ではなくて、僕が継ぐ予定の爵位かな。僕と結婚すれば将来伯爵夫人だからね。それに、今の年頃の上位貴族は、男女比が片寄っているだろう?  だから、伯爵家の僕でも女性の方から声が掛かるんだよ」

  お兄様は、つまらなそうに言った。

「お年頃の方で婚約者がいないのは、第二王子と第三王王子だったかしら。あまり、詳しくないけれど。そうすると、公爵家と侯爵家のご令嬢達で争奪戦になっていそうですね」

  兄は、苦笑いをしてから言った。

「たしかそうだったよ。まだ、公爵家や侯爵家のご令嬢がひとり娘で婿入り出来る人を探していたのなら良かったんだけど。年が離れた兄が爵位を継ぐ予定だったり、いくつか年の離れた弟が爵位を継ぐ予定の家が多いみたいでね。殿下を諦めて、伯爵夫人に収まろうとしている人達が、僕や僕の友人達に集中してしまうのかもしれないね」

  私はお兄様の話を聞いて気になったので質問をした。

「お友達って、ジャック様とか?」

「ジャックの家は、兄が爵位を継ぐからね。夜会では、友人といる方が多いかな。それに、ジャックはあまり夜会に来ないから夜会では、会えないことが多いんだ」

「まあジャック様は、あまり夜会にお見えにならないのですね」

「そうなんだ。ジャックは、時間を見つければ、稽古に励んでいるからね。あと、騎士になれなかったら、兵士になるらしいよ。兵士なら、すぐになれるからだって。まあ、ジャックの実力なら騎士になれると思うけど……」

「けど?」

「騎士になったら、貴族との関わりは続くけれど……ジャックの中では、貴族との関わりが無くなってもいいと思っているように見えるよ」

「だから、平民の女性の方とばかり、お付き合いをされているのですね」

  この時の私は、ジャック様のことを考えていて、隊長としての任務を忘れかけていた。
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