なんでも奪っていく妹に、婚約者まで奪われました

ねむ太朗

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  ケーキを食べ終わり、お茶を飲んでほっと一息ついていた。

  渡すなら今ね!

「私、クラウスにプレゼントがあるのよ」

  クラウスは、少し驚いた顔をしてから尋ねて来た。

「プレゼント?  俺に?」

「そうよ。この間、ドレスを仕立ててもらったでしょ。私から、クラウスにちょっとしたお礼の気持ちよ」

  クラウスは、頬を緩ませた。

「ありがとうリリアーナ」

「サラに預かってもらっているから、少し待っていてね」

  そう言うと、私は個室を出てサラの所に向かう。サラからプレゼントを受けとると、個室に戻ってからクラウスの前まで行って、プレゼントを手渡しした。

「クラウス、いつもありがとう。これは私が刺繍をしたハンカチよ」

  クラウスは、笑顔で受け取ってくれた。

「ありがとうリリアーナ。開けてみてもいいかな」

「もちろんよ!」

  クラウスは包みを開けて行く。その間に私は椅子に座る。
  クラウスは、中から出てきたハンカチをじっと見つめていた。

「これは……俺に似たくまかな?」

「そうよ。かわいいでしょ?」

「かわいいけど、何でくま?」

  不思議そうな顔をしていたクラウスに説明をした。

「ほら、ハーヴェス家に行った時に、ミルクのお髭を付けていたでしょ。あの時のクラウスが、可愛かったのよ。私達の思い出ね」

  クラウスは、少し複雑そうな顔をしていた。

「確かに、そんなこともあったな。でも、どうしてくまなの?」

「あの頃のクラウスは、まだぽっちゃりだったじゃない。それに、ミルクが鼻の下に付いていたわ。だから、くまよ。今は獅子って感じかしら。いや、どちらかと言うと馬かな……。いや、やっぱりくまね。クラウスはどんなに痩せていてもくまよ。くまじゃなくて、くまさんね」

「俺って、くまなの?」

  納得いかない顔をしているクラウスに、私は自信を持って伝えた。

「そうよ!  クラウスは、くまさんみたいに暖かくて、優しく私を包み込んでくれるわ。それから、お兄様は鹿って感じね。エレーナお姉様は、子犬かしら。あっ!  それからジャック様は、イノシシね」

  それを聞いたクラウスが、笑って答えた。

「ははは。ジャック様がイノシシなのは、分かる気がする。そうしたらユリアスは小猿だな」

  ユリアス様は、ジャック様と居る時には猛獣使いに見えるわね。

「ねえ、クラウス。私は?」

  クラウスは、少し考えてから思いついたような顔をした。

「リリアーナは猫だな。最近のリリアーナは、自由で気まぐれなこともあるだろう」

「そうかしら?  自分では分からないわ。でも、猫はかわいいから嬉しいかも」

  そう言った私にクラウスは、微笑んでから話し掛けて来た。

「リリアーナ、ちょっとこっちに来て」

「何?」

  私は椅子から立ち上がり、クラウスに近づいて行く。クラウスの斜め前に立った所で、いきなり腕を引かれた。

「ひゃっっ!」

  気づいた時には、クラウスの膝の上に横向きで座っていた。クラウスは、私を両腕で抱きしめて耳元に顔を近づけて話し掛けてきた。

「リリアーナ、ありがとう。大切にするな」

「ど、どういたしまして」

  私は、火照った顔をなんとか隠して返事をした。しばらくそのままだったが、クラウスの気が済むと離してくれた。

  私は急いで席に戻る。クラウスは、私の様子を楽しそうに見つめていた。

「逃げることないのに」

「恥ずかしいもの」

  クラウスは頬を緩ませてから、何事も無かったかのようにお茶を飲んでいた。

「あっ、動物のお話しはみんなには内緒ね。お兄様に怒られそうだわ」

「ルイス様は怒るかな?  分かった。ルイス様達には秘密な」

「そうね。ところで次に会う時なんだけどね。良かったらプラメル山に行かない?」

「この間に行けなかったよな。いいよ」

  次回はプラメル領で会う約束をしてから、おしゃべりを楽しみカフェを後にした。

  一度公爵家に寄り、クラウスに別れの挨拶をしてから、私を乗せた馬車はプラメル領へと向かって行った。
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