なんでも奪っていく妹に、婚約者まで奪われました

ねむ太朗

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  私は、クラウスに向けてルシアン様の暴走を手紙に書いて知らせた。

「サラ、この手紙をお願いね」

「かしこまりました」

  お兄様から話を聞いて三日が経った。
  私が庭園の近くを散歩していると、一台の馬車がプラメル家に到着した。
  私は少し離れた場所から誰が降りて来るのかを見ていた。

  グリデーラ侯爵だった。ルシアン様はいない。
  おや?  と思ったが、自室に戻ってお兄様からの報告を待つ事にした。

  今日は、お父様とお母様とお兄様と当事者のエルーシアが話し合いに立ち会うことになっていた。
  私も参加をするか聞かれたが、ルシアン様に会いたくなかったので断った。

  落ち着かなかった私は、部屋の中をうろうろしたり、窓の外を眺めていた。

  かなりの時間が経ってから、部屋にノックが聞こえた。

  入って来たのは、お兄様だった。

「遅くなってごめんね。今から話すよ」

  お兄様の顔は疲れきった顔をしていた。

「今日は、ルシアン様が来なかった。理由は、男爵令嬢と駆け落ちをして行方不明だからだ」

  私は一瞬固まった。そして、大きな声が出た。

「なんですって!」

「グリデーラ領内を探したが見つからないらしい。もしかしたら、男爵領にいるかもしれないと。ルシアン様を見つけるのに何日掛かるか分からないから、先に謝罪に来てくれたみたいだ」

「そうなのですね……」

「グリデーラ侯爵の話では、ルシアン様にエルーシアとの婚約の解消は出来ない。今までの恩があるから。とルシアン様に伝えたらしい。そうしたら、次の日の朝には屋敷から居なくなっていたらしい。男爵家に連絡を取った所、ご令嬢も行方不明みたいだ」

  お兄様はここまで話すと、呼吸を整えて続きを話した。

「グリデーラ侯爵は、自分の息子が仕出かした事に対してかなり怒っていてね。貴族の義務を放棄した為にルシアン様を廃嫡にすると言っていたよ。そうすると、エルーシアとの婚約がなくなる。グリデーラ侯爵は、エルーシアに深く頭を下げていたよ。エルーシアは、泣き崩れてしまってここで、侍女と母上に連れられて部屋に戻ったよ」

「そうだったのですね」

「それから、グリデーラ侯爵は父上と僕に謝罪をして、すぐには無理だが、今までに支援をしてもらったお金を全て返すと言っていたよ。さらに、賠償金として、鉱山の採掘の事業で得た利益の一割を十年間プラメル家に支払うと言っていた。それで、父上は納得したよ」

   私は、驚いて声を上げる。

「まあ、それってすごい金額ではないのですか?」

「そうだよ。どのくらい見つかるか分からないが、かなりの金額になるはずだ。もしかしたら、父上はこれをねらっていたのかもしれないね」

「まあ、そうだったのですね。そう言えば、公爵家なのにクラウス様との縁談は断ってもいいって、言っていましたわ。ルシアン様の時には私からは断れないって、お父様は言っていました」

「ああ。父上は、娘を婚約させて近づき、グリデーラ家の支援をしたかったんだ。お金を回収する見込みがあったのだろうね……」

  私は疑問に思ったので、聞いてみることにした。

「お兄様、たまたまってことは?  鉱山が見つかるまでに二年近くかかったわ」

「たまたまそうなった可能性もあるけれど……結果的に渡したお金が増えて戻って来たのは事実だからね」

  お兄様と私は、二人でため息をついた。
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