なんでも奪っていく妹に、婚約者まで奪われました

ねむ太朗

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「はぁ……所で、グリデーラ侯爵家は誰が跡継ぎになるのですか」

「ん?  ルシアン様から聞いていないのか?  お姉様がいる事を」

「あっ……そう言えば、ずっと昔に聞いたような……」

「王宮の舞踏会の時だけは、来ているらしいんだけど、ルシアン様には家から出て自由に過ごしている、オリヴィア様と言うお姉さんがいるらしいよ。この間の王宮の舞踏会の時も王家の方々だけに挨拶をしてすぐに帰ってしまったみたいで、結局僕も今だに会えていないんだけど」

「まあ、ではルシアン様のお姉様が爵位を継ぐのね」

「そうみたい。ルシアン様のことが落ち着いたら、呼び戻すって言っていたよ。それからグリデーラ侯爵は、ルシアン様を見つけたら必ず謝罪に向かわせると言っていた」

  なぜ、グリデーラ侯爵からルシアン様みたいのが生まれて来たのかしら?

  集中力が途切れてきていた私は、お兄様の話を聞きながら、そんなことを考えていた。きっと、ルシアン様の話もそんな感じで聞き流していたのだろうな、と思った。

  あれ?  それって……今さらながら振られた原因が分かった気がするけれど、まっ、いっか!
  もう終わった事よね。

  それから、私はもう一つ気になっていた事をお兄様に聞いた。

「エルーシアは、どうしているのですか?」

「実はリリアーナの部屋に来るより先に、エルーシアの部屋に寄ったんだ。だから来るのが遅くなってしまった。すまない」

  私は、気にならなかったので大丈夫です。と言って話の続きを促した。

「エルーシアの様子がおかしいんだ。話し掛けても、反応がいつもより薄い。こっちを向いても目線をすぐに逸らすし、返事が返って来ない事もあるんだ。何かぶつぶつ言っている時もあるんだけれど、聞き取れない」

  お兄様は、悲しそうな顔をして話をしていた。

「そう。相当落ち込んでしまったのかもしれないですね。私も様子を見に行ってみようかしら」

  すると、お兄様は先程よりも大きな声を出した。

「それは、やめた方がいい!  今リリアーナが近づくのは良くない気がするんだ」

「どうしてですか」

「エルーシアは、リリアーナに対して反発をしていただろう。今のエルーシアは、何を考えているのか分からない。リリアーナが近づいたら危ないかもしれない」

  私は、少し考えてから答えた。

「それは、私に危害を加えるかもしれない。と言うことでよろしいかしら」

「ああ。とにかく、もう少し落ち着くまで待ってみよう」

「ええ、わかったわ。お兄様、お疲れの所にご報告をありがとうございます」

「いや、また何かあったら報告に来るよ」

  お兄様は、私の部屋から退出した。

  私は、窓際まで歩いて行き窓の外を眺めて遠くを見つめた。 

  お兄様ったら、エルーシアの様子がいつもより元気がないのに気づくのに、時間が掛かったわね。
  ずっと、エレーナお姉様しか見えていなかったものね。
  それに私もお兄様の気を引く為に、いつも以上に話し掛けたもの。

  それにしても……ルシアン様は想像以上だったわ。ここまで、するとは……

  私には守るべき物が出来たから、誰にも気づかれないように、あなたにやり返させてもらったわ。

  エルーシア……あなたが謝ってきたら、私は許すわ。私もあなたにやり返したのだから、お互い様ね。

  やり返したら後味が悪いわね。
  けれど一方的にやられると、やり返したくなるのよね。
  私はいったい何がしたかったのかしら……

  それから……
  もう私は逃げるのをやめる事にするわ。あの人達と向き合わなくてはならないわね。
  エルーシアが正気に戻ったら、話し合いでもしようかしら。

  私は、考え事をしながらずっと窓の外を眺めていた。
 
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